11月3日から6日まで新千歳空港アニメーション映画祭にお邪魔することになりました。いくつかのプログラムでトークの聞き手を務めることになります。以前から気になっていた映画祭なので、楽しみにしています。
これにともない通常第一金曜日に行っていた配信ですが、11月については11日(第二金曜日)に変更になります。
よろしくお願い致します。
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1.最近のお仕事紹介
2.Q&A
3.前回のアニメの門チャンネル
4.連載「理想のアニメ原画集を求めて」
5.不定期アニメ日記
最近のお仕事紹介
1.朝日カルチャーセンター新宿教室「アニメを読む」(東京)
11/19 特別講座『動きのおもしろさを体験しよう』
※ゲスト講師 演出・アニメーター 数井浩子
12/17 映画『ラブライブ!The School Idol Movie』
2.朝日カルチャーセンター新宿教室特別講座
12/3「僕はこんな作品を見てきた。'80年代 バブルの喧噪と昭和の終わり」
アニメーション監督・幾原邦彦氏をゲストに招き、氏が触れてきたアニメ・文学・映画・演劇作品を振り返る講義の第二弾。今回は'80年代の作品を中心にうかがいます。幾原監督が、どのような作品に接することでクリエイターとしての地盤を形成してきたかが垣間見える内容です。聞き手は僕と上智大講師・上田麻由子さんです。
【取り上げる予定の作家】
森田芳光、相米慎二、池田敏春、吉本ばなな、村上龍、村上春樹etc
https://www.asahiculture.jp/shinjuku/course/348243ee-1ee0-ba9b-141a-577daebf06e8
3.SBS学苑「アニメを読む」
今や当たり前のようにTVアニメでも使われている3DCG。しかし、3DCGでアニメが作られるようになるには、長い道のりが必要でした。'80年代の挑戦から最新の成果まで、国内作品を中心に解説します。
http://www.sbsgakuen.com/Detail?gakuno=2&kikanno=177510
4.栄・中日文化センター「アニメを読む」
『心が叫びたがってるんだ。』『あの花』をヒットさせた長井龍雪(監督)、岡田麿里(脚本)、田中将資(キャラクターデザイン)のトリオによる青春群像。この作品の細やかな心理描写の魅力と、作品の本質に迫ります。
https://www.chunichi-culture.com/programs/program_166148.html
5.NHK文化センター青山教室「アニメを読む」
こちらも『心が叫びたがってるんだ。』です。東京の方は是非。
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1088222.html
Q&A
「なぜなにアニ門」で質問を募集しています。「件名」を「なぜなにアニ門」でpersonap@gmail.comまで送って下さい。文面にハンドル(名前)も入れてください。
あるいは、アニメの門チャンネルの有料会員は、アニメの門チャンネルページの掲示板サービスが使えますので、そこに質問をしていただいてもよいです。メルマガの下にあるコメント欄でも結構ですよー。
前回のアニメの門チャンネル
「『君の名は』の次の1本」と題して、大喜利的にさまざまなアニメを紹介する、という趣向で配信しました。取り上げたアニメは以下の通り。
1)まずは見てない人は
『クロスロード』
2)青春アニメ
『海がきこえる』
『時をかける少女』
『とらドラ!』
→さらに踏み込んで
『true tears』
『桜の温度』
3)「震災」の影
『伏 鉄砲娘の捕物帳』
『UN-GO』
4)宇宙からなにか落ちてくる+ヒットメーカーの主題歌
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』
5)宇宙からなにか落ちてくる+前前前世からの巡り合い
劇場版『美少女戦士セーラームーン』
6)プロットに組み込まれた時間ネタ
『STEINS;GATE』
『劇場版銀魂完結編 万事屋よ永遠なれ』
7)叙述トリック要素
『父を探して』
『がっこうぐらし!』
8)東京の風景の再発見(美術)
『幻魔大戦』
『耳をすませば』
『機動警察パトレイバー2』
(番外)『メガゾーン 23』
(キラキラ感)『ねらわれた学園』
9)撮影
『マルドゥック ・ スクランブル』
『響け!ユーフォニアム』
→遡って
劇場版 『エースをねらえ!』
『あしたのジョー2』
と、こんな内容の配信でした。
連載「理想のアニメ原画集を求めて」
文・水池屋(コーディネート:三浦大輔)
第27回『夜桜一番星』&『夜桜二等星』(OAD 夜桜四重奏 ホシノウミ りょーちも 原画・イラスト集)
『夜桜一番星』と『夜桜二等星』は、2010年から2011年にかけて『夜桜四重奏』の単行本に付いていたOAD『夜桜四重奏 ホシノウミ』の資料を掲載した同人誌です。
ここで取り上げるために頒布日を改めて確認したのですが、頒布されたのは、もう5年も前なのかと驚きました。初めて見た時は、そのキラキラとしたラメの光る表紙に驚いたものです。
内容は、りょーちもさんの描いた設定資料、版権ラフとその清書、本編作業の修正や原画などが掲載されています。
この連載では、時々「デジタル作画」について触れていますが、自分がデジタル作画的な制作資料を、原画集で見たのはこの時が初めてだったと思います。
『一番星』には第1話、第2話の資料を掲載。『二等星』には第3話の資料が掲載されています。
『一番星』掲載の第1話の資料は、主にりょーちもさんの作画修正、第2話はレイアウト、ラフ原画、原画。『二等星』は第3話でりょーちもさんが描かれていた原画に関する資料が掲載されているようです。
『一番星』掲載の第1話の修正はアナログの鉛筆画で描かれているようですが、第2話の原画では、デジタル、アナログの描画が混在しています。レイアウトまではデジタルなんだけれど、原画の清書はアナログでしてあったり。『二等星』掲載の第3話では、さらに色々とバリエーションが有り、レイアウトがデジタルで原画はアナログだったり、その逆だったり、途中までアナログの原画なのに、途中からデジタルになっていたりと、その当時の試行錯誤のほどがうかがえます。
りょーちもさんはこの作品の後、演出業にシフトしていくので、この同人誌はアニメーターとしてのりょーちもさんの資料として貴重なものになっています。欲を言えばタイムシートも掲載してほしかったところですが、その分たくさん画像が掲載されており、原画集として満足感のある内容です。ページ数も『一番星』と『二等星』を合わせて200ページとなかなかのボリュームだと思います。
また、この同人誌に掲載されているりょーちもさんの試行錯誤の過程そのものが、デジタル作画の過渡期の記録としても貴重なものとなっていると思います。
りょーちもさんはこの後、同じ原作をTVシリーズ化した、『夜桜四重奏 ハナノウタ』で監督をされますが、この作品はデジタル作画の実験場でもありました。この作品では、数話のみながら、フルデジタル作画の回が存在します。
りょーちもさんを中心として、フルデジタル作画のチームを一から作り上げ、実現したものなのですが、そこでは独自のプラグインが導入されたFLASHによって作画作業が行われていたそうです。
そのプラグインの実態は、作品に参加した人たちにしか分からなかったのですが、先日コミックマーケットで頒布された『ちもっしゅAdobe Animate/Adobe flash professional を使ってジャパニメーションを描く方法』によって、その内容が明らかになりました。
タイトルに、ジャパニメーションと銘打たれていますが、これはFLASHを使ってアニメーションを作ることと、ディー・エル・イー作品などでよく見る「FLASHアニメーション」との混同を避けるためのものだと思われます。
この同人誌は、原画集ではなく、プラグインのユーザーマニュアルで、アニメーターが出す同人誌としてはかなり珍しいものだと思います。
日本の商業アニメーションでの作画作業の特徴をいかにデジタル作画に置き換えるかが考え抜かれていて、非常に興味深い内容です。
FLASHのタイムラインの内容をタイムシートに書き出せる機能があったり、修正用紙に色がついているのを半透明レイヤーで再現するなど、アナログアニメ作業では、もはや当たり前となっている事をデジタル作画で疑似的に再現している機能などがあるようです。
これらは、デジタル作画の工程をスムーズに行うためのものですが、日本の商業アニメーション制作の中で独自に進化してきた工程を改めて見直すきっかけにもなっていると思いました。
このプラグインは近々、一般にも販売する予定があり、同人誌はそのためのマニュアルのβ版のようです。販売された上で、どのように広まっていくのか、どうなるかということは、まだまだ分かりません。
りょーちもさんは、ここ数年は3DCGのアニメーション作品に演出の立場から関わられることが多いですが、そのお仕事ともども今後のアニメ映像の変化にどのように関わっていかれるのか興味深いところです。
この3冊の同人誌は、デジタル作画の過渡期を生きる、りょーちもさんの試行錯誤の一部を垣間見れるという点でも、楽しく読める内容となっていると思います。
(『夜桜一番星 OAD 夜桜四重奏 ホシノウミ りょーちも 原画・イラスト集』、『夜桜二等星 OAD 夜桜四重奏 ホシノウミ りょーちも 原画・イラスト集』/ちもうっけ/各1620円)
不定期アニメ日記
先日、仕事のおともに映画『横道世之介』を見始めたらこれが大変おもしろかった。監督は沖田修一。『南極料理人』もよかったが、それ以上にこの映画はおもしろかった。
'80年代末に、東京の大学に進学してきた長崎出身の横道世之介を中心に描かれる、等身大の青春ものだ。もちろん物語だから、現実からの“飛躍”はあるのだが、全体にさりげないエピソードの連続でできていて、ドラマチックな盛り上げをするわけではない。そういうエピソードが、沖田監督の長回しを中心にした静かな演出で綴られていく。
Wikipediaをみると『横道世之介』が大学に入学したのは1987年という設定らしい。おそらく吉田修一の原作小説に記述があるのだろう。ということは僕と同年生まれで(ただし僕は浪人したので、入学は1988年)、だから大学生活の風景はとても懐かしいさを感じた。僕は名古屋の学生で、横道世之介は東京の学生で、細部を見ていけばなにが似ているわけでもないのだが、あれからもう30年も立ってしまうと、「同じ時代の空気がちゃんと再現されている」という大枠のほうが重要になってきて、見ていると「うんうん、そうだった」となんだか懐かしくなってしまう映画だった。
ここでこの映画についてネタバレをする。