日曜日にイベント『アニメの門場外乱闘編 総括2016』があり、その準備などでバタバタしてメルマガの発行が遅れてしまいました。申し訳ありませんでした。
そして12月25日15時より、今度は秋葉原UDXでやはり今年を振り返るトーク「年忘れ! 今年のアニメを振り返るこのキーワード!」を行います。こちらは入場無料。この配信でお世話になっているあにしゅがさんのイベント「あにしゅがクリスマス」の中で行います。
こちらはゲストが数土直志さん、小川びいさん、前田久さんの3人。計4人で今年を振り返っていきます。お時間ある方、是非お立ち寄りください。
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1.最近のお仕事紹介
2.Q&A
3.前回のアニメの門チャンネル
4.連載「理想のアニメ原画集を求めて」
5.お蔵出し原稿
最近のお仕事紹介
1.朝日カルチャーセンター新宿教室「アニメを読む」(東京)
12/17 映画『ラブライブ!The School Idol Movie』
2.1月期の朝日カルチャーセンター新宿教室「アニメを読む」(東京)
来年1月からは恒例になった京田知己監督の絵コンテ講座、2月は『アニメとリアル「リアル」とは何か編』、3月は第二期が放送中の『昭和元禄落語心中』です。予約是非。
https://www.asahiculture.jp/shinjuku/course/6dae2477-773b-02bb-e58c-581065357899
3.1月のSBS学苑パルシェ校「アニメを読む」(静岡)
1月29日10:30からは『ロボットアニメの歴史』を取り上げます。日本のアニメ史の中でも独特の地位を占めてきたロボットアニメというジャンルが、どんなふうに変化してきたかを追いかけます。
http://www.sbsgakuen.com/Detail?gakuno=2&kikanno=177856
4.2月の栄・中日文化センター(名古屋)「アニメを読む」
2月4日15:30より「3DCGアニメの歴史」と題して、最近増加している3DCGアニメはどのように発展してきたかを振り返ります。ピクサーの創設から始まり、国内の『レンズマン』から『アルペジオ』に至るまでの取り組みを振り返ります。
https://www.chunichi-culture.com/programs/program_171186.html
5.そのほか
1月29日午後には静岡県三島市民向けの「みしま健幸大学」の講師として、『新海誠作品の魅力』について講座を行います。
また1月末に出るインタビュー集『声優語』の出版を記念して、2月にイベントを2つ予定しています。来年そうそうにはオープンにできると思います。
そちらもよろしくお願い致します。
Q&A
「なぜなにアニ門」で質問を募集しています。「件名」を「なぜなにアニ門」でpersonap@gmail.comまで送って下さい。文面にハンドル(名前)も入れてください。
「アニメの門チャンネル」によせられた質問が次の通りになります。
Q:アニメ(業界動向や表現/演出手法など)における、今年もっとも印象に残った、数年後に「2016年が転換点になった」と言われそうな何かがあれば個人的な見解をお聞かせ下さい。
A:質問がかなり茫漠としてはいるのですが、これだけ大ヒットが連発し、おもしろい作品が並んだ2016年は間違いなく歴史に残る年だと思います。
前回のアニメの門チャンネル
前回は「10月番組アレコレ」と題して、10月番組の魅力をそれぞれ追いかけました。
『フリップフラッパーズ』
『終末のイゼッタ』
『響け!ユーフォニアム2』
『ユーリ!!!onICE』
『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』
『ブブキブランキ 星の巨人』
『文豪ストレイドッグ』
『ドリフターズ』
『舟を編む』
あたりをとりあげてお話をしました。次回は1月13日(金)、上田繭子さんをゲストに「2016年回顧」を行います。
連載「理想のアニメ原画集を求めて」
文・水池屋(コーディネート:三浦大輔)
第31回『AKIRA ANIMATION ARCHIVES』
『AKIRA』という映画は、特殊なアニメ作品だと思う。
漫画家である大友克洋さんが自ら監督したという制作の環境もそうだけれど、映像自体が特殊な作品だと思います。
そして、この作品でしか見ない表現や技法がある点からも、未だに特殊な作品であり続けていると思います。
今では映像作家としての活動が多い大友克洋さんですが、当時どれだけアニメ的な制作に関する知識や経験があって『AKIRA』を作っていたのだろうかと、不思議に思うことがあります。
そうした疑問の一部に答えてくれるのが、この本です。
掲載されている資料によって、ストーリーボードや設定資料の作成から、レイアウト、作画監督的な作業まで大友克洋さんが手がけられていたことが分かります。
まずは、その量とクオリティに圧倒されます。掲載されている資料は映画全体のごく一部だと思うんですが、それに加えて絵コンテも描いているわけで、その作業量に驚異的なものを感じます。
設定作業には、森本晃司さんが参加されていたそうです。それ以外に、その後の大友さんの映像作品のように、大友さんの漫画作品のアシスタントをしていた方達が、設定周辺の作業に関わっているのかどうかというのは、自分にはよく分かっていないのですが、この本を見る限り、『AKIRA』的な世界観、映像のイメージの大部分を大友克洋さんが個人で担っていたのが伝わってくる内容で、大友克洋という才能の凄さを改めて感じさせられる本です。
この本は資料だけでなく、インタビューも充実していて、アニメーターとして参加した、なかむらたかしさん、森本晃司さん、井上俊之さん、沖浦啓之さん、北久保弘之さんのインタビューが掲載されています。今となっては、日本を代表するアニメーターという面々ですが、井上さんや沖浦さんは当時は20代の若手アニメーター。そして、この本の面白いところは、他の参加アニメーターの方達も、担当カットと共にその後の仕事歴が並んで掲載されているところです。
井上さん達の他にも、今のアニメ界で活躍しているどんな人達が参加していたのかを見ることができ、作品のアーカイブというだけでなく、インタビューの回想なども含めて、参加した人達のアーカイブともなっているのが面白いところです。
発売された2002年から十数年経って、参加していた面々の名前を見てみると、こんな人が参加していたのかと改めて驚かされる人もいて、発売後の環境の変化が感じられるのも面白いところです。
今から、改めて同じ本を作ったとしたら、また違った内容になるのかもしれません。
設定資料集としては、メインの設定の作成だけでなく、大友さんが自分でレイアウトを描くことで設定制作の作業を兼ねていたのかなと思いました。
また、そうしたレイアウトや美術設定を、同じページの中で色のついた美術ボードと見比べられるのが資料的に見やすくてよい内容だと思います。
原画集としては、カットナンバーと共に、原画、修正原画が担当者と共に明記されており、フルカラーでの掲載も多く見ごたえがあります。
今では、ベテランの井上さんや沖浦さんの若手の頃の原画を見られる歴史的な価値も感じますし、エフェクトの原画を大きく取り上げていたりするのも、嬉しいところです。
情報量の多い誌面で、パラパラと見ているだけでも、楽しめる資料性の高い本です。
個人的に好きな点としては、カバーの内側に、縦PANの金田の全身を写したカットのレイアウトが印刷されていて、大きな絵で見応えもあるし、遊び心を感じられて良いんですよね。
『AKIRA』の映像の特殊さは、スタッフの若さや、大友さんのアニメ映像を作ることに対しての、ある種の未熟さにも理由があるのかもしれません。それだけに、いま観ても、他には無い勢いを感じさせる作品です。そんな当時の空気が閉じ込められた、タイムカプセルのような1冊です。
この本を通じて、『AKIRA』という作品を見直すことで、この作品を作り上げた、力強いエネルギーの一端を感じ取ることができたような気がします。
(『AKIRA ANIMATION ARCHIVES』/講談社/3024円)
お蔵出し原稿
『アリーテ姫』の魅力は「百科事典を読む少女」というところにある――ということを一番最初に書いた原稿です。初出は2008年。連載『ANIME喜怒哀楽』の20回目です。