2月24日から『さよならの朝に約束の花をかざろう』が始まりました。脚本家の岡田麿里さんの初監督になります。変化球に見えて、実は直球で、見た人が自分の人生や自分のまわりの人のことをいろいろ思い出す作品になっています。見終わった後は誰かと語りたくなるのは確実なので、皆で見て、いろいろ語り合うとおもしろいのではないかと思います。
 では、いってみましょうか。

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1.最近のお仕事紹介
2.連載「理想のアニメ原画集を求めて」
3.お蔵出し原稿
4.連載一覧


最近のお仕事紹介

1.朝日カルチャーセンター新宿教室「アニメを読む」(東京)
 3月17日『君の名は。』【受講申込】

2.朝日カルチャーセンター新宿教室「アニメを読む」(東京)
 4月期は以下の通りです。
 4月21日 脚本を書いてみよう! 特別講師:大河内一楼
 5月19日 『コードギアス 反逆のルルーシュ』
 6月16日 『DEVILMAN crybaby』(+旧作)
 【受講申込】

3.3月のSBS学苑(静岡)
 3月は「声優の歴史」を取り上げます。歴史に限らず、知ってるようで知らない声優さんのあれこれを筋道を通って理解できるようになる内容です。【受講申込】


連載「理想のアニメ原画集を求めて」

文・水池屋(コーディネート:三浦大輔)

第60回『ルパン三世 PART IV 原画集』

 以前にも 『ルパン三世』第4期 のOP原画集を紹介したことがありますが、今回は第4期の本編の原画集です。
 本編 2クール分の中から選ばれた原画の抜粋が掲載されており、連続した動きを見せる本と言うよりは、一枚一枚の絵をフルカラーで大きなサイズでしっかりと見せる構成となっています。
 購入した当初、初見ではちょっと物足りないかなあ、それに値段設定がお高めだなと思いました。しかし、じっくり読んでみると掲載されているコメントが中々に濃く、読み応えのある内容でした。掲載されている原画の取捨選択も良く、近年のアニメには珍しくバラエティに富んだ作画のアニメだったのだなと思い直しました。

 この『ルパン三世』第4期の総監督は、第2期や劇場版でアニメーターとして活躍していた友永和秀さんです。友永さん以外にも、坂巻貞彦さんを初め(なんと一人原画でした)、ベテランアニメーターが数多く参加していました。中には『伝説巨神イデオン』で有名な湖川友謙さんなども参加されていて、かなりのベテラン揃いの作画陣でした。また大平晋也さん、橋本晋治さん、小林治さん、仁保知行さんなど、アニメ業界の中でもかなりの個性派が参加されていました。大平さんの原画もかなり色濃く個性がそのまま画面に出ていて驚きましたね。
 また、同じく絵の濃さで驚いたのが齋藤浩信さんの劇画調のアクションカット。もともと出崎統さんの作品に参加されていた方だそうですが、まるで『あしたのジョー2』かと思うような絵の濃さと動きでした。美少女や美少年がキャラクターの中心の現行のアニメ作品とは一味違う、器の大きさを感じる振り幅の広さでした。

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 掲載されている原画には、総監督の友永和秀さん、キャラクターデザインの横堀久雄さん、プロデューサーの浄園祐さんのコメントが一つ一つについているのですが、ここが面白かったですね。浄園さんはプロデューサーとしては異例なほど作画に対して言及が多い方ですね。作画的なポイントに細かく言及されていて、かなり珍しい方だなと思いました。
 面白かったのは友永和秀さんのコメントで、これは大変読み応えのあるものでした。コメントを読んでいると、浄園さん横堀さん友永さんが三人で話し合っているものを書き起こしている形式なのかなと思います。ここまでキャリアのあるベテランアニメーター、それも伝説的な方が作画に対して細かくコメントをしている文章で、ここまでまとまったものは見たことがないかもしれません。
 言及の仕方も、演出というよりはアニメーター寄りの内容で、中にはどう描いているのか分からないので原画を確認したというような言葉もあり、アニメーターとして現役な姿勢が感じられました。

 坂巻さんの作画を友永さんが解説する文章を現代に読んでいるというのは、中々に凄い感覚です。『ルパン三世』第4期は、鉛筆のタッチを色濃く反映していて、線が完全につながっていなかったり、強弱があったりと、今のアニメでは珍しい線でした。これも原画集で見ると絵としての良さがあって良かったです。
 ルパンのアニメシリーズは、時代とともに数々の絵柄の変遷を持っている作品です。第4期は流行の絵とは逆行し、第1期の絵を思い起こさせる独特のディフォルメでした。
 時代が進むにつれて、絵や動きは洗練されていきますが、そこから取りこぼされていくものも多いのかもしれない。この原画集を見ていて、そんなことを考えました。
 例えば、この作品では車やバイクをアニメーターが絵として描いていますが、現行の作品では殆どがCGに置き換わっており、作画で車やバイクが出てくる事自体が珍しい状態になっています。当たり前のようにバイクや車が走り回っているだけでも珍しい事ですが、第21話のように装甲車などの描くのが大変なものでも、もちろん作画で動かす。少し前までは当たり前だったことが、できなくなっている。洗練されるということは、進むだけではなく、進化の道が途絶える事でもあるんだなと思います。

 前回の『DEAD LEAVES原画集』でも、作画のスタイルが時代の流れによって途絶える可能性があるということについて触れましたが、それは作画のスタイルのことだけではないようです。もっと細かく、現実的で日常的なモチーフに対するアニメーターのテクニックも突然途絶えることが日常的に起こっているんだなと思いました。
 もちろん、ベテランだけでなくテレコムの新人アニメーター佐久間千秋さんのような若手に対する指導についても触れられており、一つの作品の中で活躍する様々な年代のアニメーターの世代を感じさせられます。
 横堀さんキャラクターデザインのルパンは今年の春から新作が放映されるようです。どのような作品になるのかはまだ分かりませんが、他のアニメとはまた違う作画の魅力が楽しめそうで、始まるのを楽しみにしています。

(『ルパン三世 PARTIV 原画集』/監修トムス・エンタテインメント/協力テレコム・アニメーションフィルム/双葉社/4,320円)


お蔵出し原稿

 前回に続いて、幻に終わった単行本原稿の「0稿」を掲載します。『TVとアニメの時代(仮)』の第3章になります。ようやく第一次アニメブームのところまで来ました。

【TVとアニメ第三章】

第1稿140724 第1稿完成

【章タイトル】第一次アニメブームの到来と終焉

新たなブームの到来

 アニメの放送本数は、一九七六年秋に二〇本を超えると、さらに増加していく。その増加の過程は大きく二つの段階にわかれている。