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第二回アニメレビュー勉強会で高得点を集めた原稿の第1位になります。
お題は『MINDGAME』(湯浅政明監督)。ゲストはライターの廣田恵介さんと、上田繭子さんでした。
今回は投稿のあった原稿が40本あり、参加者32人は持ち点80点(40本×2点)を40本の原稿に自由に割り振りました。
第1位の方には「アニメレビューマイスター」の名前が贈られます。パチパチパチ。
お題は『MINDGAME』(湯浅政明監督)。ゲストはライターの廣田恵介さんと、上田繭子さんでした。
今回は投稿のあった原稿が40本あり、参加者32人は持ち点80点(40本×2点)を40本の原稿に自由に割り振りました。
第1位の方には「アニメレビューマイスター」の名前が贈られます。パチパチパチ。
第1位
原稿【27】/柿崎俊道/想定媒体:小学2年生
(タイトル)
『マインドゲーム』は7才の君たちに見てほしいけど、見てほしくないアニメ映画
(本文)
毎月、僕がおすすめのアニメを紹介しているこのコーナーだけど、今回はおこられるかもしれない。『マインドゲーム』はもしかしたらお父さん、お母さんが一番きらうアニメなんじゃないかな、と思うから。
このアニメには、君たちが出会うであろう現実の数%がちゃんと描かれている。長い人生、だれだってこわい人に脅される経験は1回や2回はあるもので、自分の力ではどうしようもない状況に追い込まれることだってある。
主人公の西くんはそうやってヤクザのこわいお兄さんにピストルをつき付けられ、バンッとあっさり撃たれちゃう。ピストルの弾はお尻の穴から頭に突き抜ける形でポンッと抜けて、死んじゃう。
ここから天国に行った西くんが神さまを振り切って、生き返ってやりなおすというアニメの本番がスタートするんだけど、僕もふくめて、たぶん君たちの多くはここで人生が終わる。西くんにはなれないんだ。
その現実をお父さん、お母さんは君たちに見せたくない。がんばってもダメな人生がたくさんある。この『マインドゲーム』にはそんな大人がたくさんいるよ。
たとえば、学生時代にサッカー選手を目指していた男・アツは、失敗の果てにヤクザの手下としてあばれん坊の男として登場する。そして、焼き鳥屋で撃たれて死ぬ。ヤクザとしてがんばっていたけど、でも、死ぬ。
トラックの運転手でイケメンの男は美人と結婚しそうになったけど、ヤクザのアツにおどされて失神し、イケメンではなくなってしまう。しかも、カツラがずれてハゲがバレるおまけ付きだよ。
小鳥が大好きだった少年は数年後にはチンピラになる。西くんを追いかけているうちに自動車とともに、かべにぶつかって爆発する。もちろん、死ぬ。
こんなはずじゃなかった……。
この世にはそんな大人がたくさんいる。才能を花開かせることが最高だと思っている人にとっては、ダメな大人だ。才能があったかもしれないけど、それを活かすことができなくて生きている。そして、死んでいる。
現実世界をやり直した西くんの前にはパラダイスが広がる。『マインドゲーム』は映画だから、そこに気持ちよさがなければ作品として成立しない。ピンチを乗り越えた先にごほうびのような世界が広がっている。だけど、それすらも捨てないと、成長はないんだよ、ってことで、さらにがんばって西くんは先へ進む。
お父さん、お母さん、ぼくは君たちのことを考えると、そういうシーンを見てモニョモニョしちゃうんだ。頑張ってもダメかもしれない。頑張った先にパラダイスが待っているとは限らない。ぼくたち大人はぶつかって失敗した思い出がいっぱいある。そんなつらい経験を君たちにはしてほしくない。だから見てほしくない。
このアニメの映画が公開されたのは2004年。君たちが生まれた年だ。生まれたばかりの君たちを抱っこしながら、『マインドゲーム』を見ていたお父さんとお母さんがいた。モニョモニョしていた大人がいた。この映画を見るとき、それを君たちに知っていてもらえると、ぼくはけっこううれしい。そして、映画を見たあとに、がんばって生きてくれると、もっとうれしい。
※一言コメント 習っていない漢字が含まれている点も含め、小学校2年生にこの原稿の意味がわかるか、という点が一番議論となったこの原稿。君が成人した時に読んでほしい、みたいなフレーズがどこかにあればそうしたひっかかりはなかったのでは、などの意見が出ました。
さて、そして2月にやるといっていた第3回アニメレビュー勉強会ですが、藤津の予定がもろもろ重なってしまい、ちょっと無理な状勢になってしまいました。そこで翌月3月4日(日)に行いたいと考えています。現在会場交渉中ですので、決まり次第twtterやメールでご報告します。
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