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顔面核爆弾さん のコメント

>あ、お好きなジャンルを批判しているつもりはないんですよ!

もちろん、理解しております。
クロスアンジュや恋愛ラボも作品自体は大好きなので当時ちゃんと円盤も全巻購入しましたwww
今ではあの悪名高い『みなみけおかわり』の冬木君も大好きで自分の友達のように思っておりますwww

>ただ此方が男性キャラだからと嫌悪してしまうのは「男とは愛されない性です」と他ならぬ自分から表明していることになりかねない様で留意しているのです

なるほど。
兵頭さんが『愛され格差』と表現した現象は知らず知らずのうちに我々の心の奥底に潜んでいる訳ですね(※冬木君を嫌っている人たちが良い例)。
私も職場で上司のキモいオッサンから『君! 自分の外見が周りを不愉快にしている自覚はあるのかねッ‼︎ 外見の乱れは心の乱れ! 君の日々の行いの悪さが外見から露呈している!』と恐ろしいミサンドリーを感じさせるパワハラ的お説教を食らいましたwww
実は言うと私は『X染色体が1つ少ないから男は欠陥品』いう支離滅裂な言説を子供の頃から母親に言われて育ってきたので、一昔前までずっとそう信じていたんですよ。 というか、今まで「男の人って殆どが犯罪者予備軍の暴力装置だから無能は安楽死させた方が世界のためじゃね?」的なことをわりと本気で思っていたので、兵頭さんに出会ってから考え方が180度変わりました。ですが、未だに私はチンポ騎士ではない自分に後ろめたさを感じる時があるんですよね。自分は本当に解放されていいのだろうかみたいな……。それくらい私の周りにはフェミ女が大量にいて、フェミにコミット出来る男でないと結婚はおろか女性と関わることも出来ないような状況が今の日本なんだと思います。
こんな私でも努力して、姉の伝手で知り合った腐女子クリエイターのためにネタを提供してあげたり、無償でゴーストライターになってあげたり、特典目当ての腐女子友達のために『劇場版黒子のバスケ』の特典付き前売り券を何十枚も購入したりと女性らに毎日尽くしておりますが全くモテませんwww
前に兵頭さんが『ロマンチック・ラブ・イデオロギー(という名の、リアル世界のルール)は「女の子をゲットするために、男の子は犠牲を払う必要があるのだ」という「女尊男卑」』と喝破しました。これは大変素晴らしい正論なのですが、どうしても自分の中の男らしさが邪魔をすると言いますか、チンポ騎士洗脳が完全には解かれていないのかもしれません……。

>『君の名は。』はラノベ・ギャルゲーの原作に問わず巷に溢れる高校生の男の子女の子が恋愛をする作品達と本質的には変わらないものだと思っています。

まさに仰る通りです。
私は『君の名は。』を見終わった瞬間、自分の人生はなんて糞ゲーなんだろうという絶望的な虚無感に襲われました……。
リアルでも日常的にクソ男とクソ女がイチャイチャしている光景を見せつけられ、創作物の中でも恋愛こそが絶対普遍の究極真理であると言わんばかりに非モテを排除しにかかる。その結果、非モテの居場所はこの世界のどこにもないと痛感させられる訳です。そして、この世界に非モテの居場所がないのなら、せめて自分の創作の世界だけでも彼らが活躍出来るような物語を作りたいと決心し、私はラノベ作家になりました。けれど、現実のクリエイターたちはリア充ばかりで結局我々のような非モテの居場所はオタク業界にすらなかった! 私はそれが悲しい‼︎
兵頭さんが前に俺妹について書いたブログで『どうして? どうして編集者もオタクで、「こんなオタクな美少女を彼女にしたいな、読者たちにもそんな女の子を届けてあげたいな」と考えたのだ、とそういう発想にならないのでしょうか』と熱い論調でペトロニウスを論破してくれた時、私の目から涙が溢れました。
現実にいる殆どの編集者はペトロニウスのように『キモオタの承認欲求を満たすような金になるゴミを作れ』と命令してきますが、私は兵頭さんのようにオタクのことを心底想ってくれるクリエイターがこの世界にたった一人でもいてくれたことが本当に嬉しかった……。
私は決して独りではなかったんだと自分にもう一度自信を持つことが出来ました。
ちょうど私の過去の作品が絶版になったので、気晴らしに今度はなろう作家にでもなろうかなと考えておりますwww
『SPA!』の副業特集で、なろう経由のラノベ作家のインタビューが載っていたそうですが、「テンプレを並べるだけで何十万、ボロいっす」みたいな内容で殺してやりたいと兵頭さんがコメントしておりましたwww
まあ私も同感なんですが、本音を言うとテンプレを並べるだけで何十万なら私もなろう作家になりたいですねwww
作品のタイトルはGUY FAWKESさんの言葉をお借りして『右派と左派って弱者男性バッシングではスクラムを組んでいるとしか思えない件について』なんてどうでしょうかwww
ストーリーは今即興で思いついたのを書いていきますねwww

顔面核爆弾のイカ臭い部屋にある本棚には大量の資料や先輩方のラノベ本、腐女子連中からもらったBL本が並べられ、至る所に姉がプレゼントしてくれたポケモンのフィギュアが置かれている。
いつものように2ちゃんねる男女板のスレで女叩きをしていた顔面核爆弾の
頭上に漆黒の光が射しこんできた‼︎
闇の閃光の奔流に顔面核爆弾は腕で顔を覆う。耳の奥で強風が鳴り響いた。
暗黒の粒子が脳裏を交錯する。
自分の肉体が漆黒の闇の上に乗った、と顔面核爆弾は自覚した。
足が地を離れて、身体がふわりと宙に漂う。まるで、悪夢の真っ只中にいるかのような感覚であった。
それはどこへ通じる道だったのだろう。
顔面核爆弾は漆黒の闇に包まれながら、ある声を確かに聞いていた。
「マジンヒョードーGに選ばれし混沌の勇者よ、今こそ魔界に来たれ! 大司教GUY FAWKESの名において命じる! 汚い包茎ニキビヅラ低身長デブハゲ超絶無能キモオタ虫歯ド貧乏コミュ障ワキガ歯並びガタガタ不細工、名を顔面核爆弾! 我との契約のもと、その内に秘めし大いなる暗黒のフォースを解き放て‼︎」
顔面核爆弾はぼんやりとした意識の中で、誰かが呼びかけてくるのを感じた。逆らいがたい何かが顔面核爆弾の胸の奥を刺激する。
「オウフwwwいわゆる異世界モノのテンプレパターンキタコレですねwww」
漆黒の闇の中で顔面核爆弾は自分が異世界に召喚されたことを理解した。
「フォカヌポウwwwチートもらって異世界で俺tueeeするの楽しみでござるwww朗報)なろう読者がついにリアルで異世界転移した模様wwwコポォ」
たまらず声をあげた瞬間、闇が目の前で弾け飛び、やがて禍々しい空が顔面核爆弾の視界に飛び込んできた。
「ドプフォwwwはよチートよこせでござるwww拙者を俺yoeee主人公から俺tueee主人公にするでござるwww」
顔面核爆弾は跳ね起きていた。心臓が高鳴り、酸素を欲している。深く息を吸い込むと、清涼な空気が肺をいっぱいに満たした。
「おぬしのことはよく存じておる。なんせ、おぬしは魔界では有名な汚い包茎ニキビヅラ低身長デブハゲ超絶無能キモオタ虫歯ド貧乏コミュ障ワキガ歯並びガタガタ不細工だからな! 世界中探しても、おぬしほど救いのないヤツはおらぬだろう。ふわーっはっはっはっはっはっはっ‼︎」
GUY FAWKESは一糸纏わぬ姿で愉快そうに高らかに笑う。
「お前には選ばれし『汚い包茎ニキビヅラ低身長デブハゲ超絶無能キモオタ虫歯ド貧乏コミュ障ワキガ歯並びガタガタ不細工』だけが乗りこなすことが出来ると言われている神が宿りし機体・マジンヒョードーGに搭乗してもらう‼︎ 心してかかれッ!」
「オウフwwwスパロボに参戦できそうな機体ですなwwwこれは期待できますぞwww機体だけにwww」

◇◆◇

こつん、こつん……。
暗闇に複数の足音がこだまする。
先頭を歩く素っ裸のGUY FAWKESに顔面核爆弾が並んで続き、その後ろを全裸の弱者男性たちが歩いてくる。
ここは最初に顔面核爆弾が降り立った場所の背後にそびえる岩山にある、洞窟の中だった。
天井が高く、左右の通路幅も広い。GUY FAWKESがかざす松明だけが唯一の明かりだった。
ぼうっとした光の輪の中に浮きあがるぬめぬめとした岩壁を、顔面核爆弾は不思議そうに眺めている。
その隣でGUY FAWKESが詳しく説明してくれていた。孤立感をいっそう増長させる洞窟の深い暗闇にあって、GUY FAWKESの凛とした声だけが救いだった。
GUY FAWKESの話によると、スラム街『魔界』に住んでいた弱者男性たちが、『天上界』より使わされた左派の軍勢によって、攻め滅ぼされた。
左派を率いていたのは至高のリベラルより支配を授かる序列一位のフェミ・上野千鶴子だ。
「うわぁッ⁉︎」
顔面核爆弾はぬめった岩床に足を滑らせて、地面にしこたま頭をぶつけた。
「ふわーっはっはっはっはっはっはっ‼︎ 間抜けなヤツめ! さすがはマジンヒョードーGに選ばれし『汚い包茎ニキビヅラ低身長デブハゲ超絶無能キモオタ虫歯ド貧乏コミュ障ワキガ歯並びガタガタ不細工』だな‼︎」
「ドプフォwww褒められてんだか、バカにされてんだかわからんですぞwww」
顔面核爆弾はボソッとつぶやくと、よたよたと立ち上がった。
さらに奥へ進んでいくと、目の前が大きく開けた。天井はさらに高くなり、広場となっている場所に何かがシルエットとなって見えた。
「ん?……」
顔面核爆弾は目を凝らして、呆然とつぶやく。
「見よ、これが魔界の最終兵器にして究極ロボット『マジンヒョードーG』だ‼︎」
主に円柱で構成されたシンプルなラインのボディにとんがった形の高熱板が胸に張り付き、複雑な面構成の頭部がのっかっている。暗黒の巨人の背からは果てしない闇の翼が広がっており、その姿は禍々しい悪魔そのものだ。
近年のロボットアニメにありがちなやたらとんがりモノをくっつけてゴテゴテに飾り立てた機体とは違い、プリミティブな魅力が感じられる。
「オウフwwwカッコ良すぎてフル勃起でござるwwwフォカヌポウwww今すぐスパロボに参戦ですぞww」
ボウッ!
その瞬間、震動と炎が顔面核爆弾の足もとを襲った。
「ほぉ〜、これが噂の『マジンヒョードーG』か!」
顔面核爆弾は振り向いた。
弱者男性たちの影から離れて燃え盛るいくつもの松明の炎に左派の軍勢が赤々と照らされて見えた。
皆、光り輝くほどに金持ちオーラを纏っており、背中に神々しい翼が生えている。
左派たちの腰にさがった剣や手斧が鈍くきらめいているのを目にした時、顔面核爆弾は息を呑んだ。左派の軍勢から放たれる凄まじい殺意のオーラが顔面核爆弾を怯えさせた。
「まさか。尾けられていたのか……」
GUY FAWKESは呻くように言うと、左派の軍勢の先頭に立つ者をにらみすえながら叫んだ。
「貴様ら左派の犬どもが俺たちのホームに土足で入るとはな。それなりの覚悟はできているんだろうな⁉︎」
「ふん、自分らの立場を理解した言動とは思えんな。次元の門を開き、何を企んでいるかと思えば、こんな所に『マジンヒョードーG』を隠していたとは……。これを使って、近々戦争を仕掛けるつもりだったのだろう? やはり、貴様らはマッチョな自民党支持者のナショナリストであり、その本質は単なるミソジニストだ」
「はあ⁉︎ お前は何を言っているんだ‼︎」
GUY FAWKESは驚いた様子で大声をあげた。
「ふん、とぼけても無駄だ‼︎ このまま『マジンヒョードーG』を置いて立ち去れば命だけは助けてやる。さもなくば、至高のリベラルより支配を授かるKTBの名においてここで皆殺しだ‼︎」
フェミの軍勢の先頭で、ホスト面のナルシーが言い放つ。
怯える顔面核爆弾をよそにGUY FAWKESが前に進み出た。
「ププ……」
KTBは、いくつもの炎に照らされて闇に浮かびあがるGUY FAWKESの一糸纏わぬ姿を見て笑いをこらえている。
「何故そこまでして、弱者男性を蔑む?」
GUY FAWKESは裸で武器を持っていないにも関わらず、毅然とした態度で武装したKTBと向かい合う。
「むしろ、こっちがお聞きしたいですなあ、GUY FAWKES殿www 弱者男性などいないとリベラル様が仰っているのに、何故そこまでして被害者ヅラをするのです? いい加減、男らしさの鎧を脱いでは如何ですか?」
「『弱者』というものは相対的なものであり、男性の中にも弱い立場の人が存在するにも関わらず、勝手に殺していいと申すか⁉︎ 魔界に住んでいる弱者男性たちは『男らしさの鎧』など着ていないどころか、今も服すら着ていない真っ裸ではないかッ! だが、生きている‼︎ 自分の意志で、自分の心で必死に生きている‼︎ リベラル様の御心に叶ぬからといって、誰かの命を力づくで奪って良いわけはない‼︎! それは『マジョリティー』が『マイノリティ』を力で傷つけ、葬り去ろうとする事と同じではないか‼︎!」
武装した相手を前に臆する様子もない。弱々しい外見に気迫と威厳をこめたその姿こそ、まさに真の漢と言うにふさわしく、顔面核爆弾は我知らず見とれていた。
「ぐぬぬ……どうやら、我々フェミとは考え方のベクトルが違うようだ。とにかく、『マジンヒョードーG』がここにある以上は放ってはおけん! どうしても渡していただけないと言うのなら、力ずくで奪っていくのみ」
「うおおッ!」
フェミの軍勢の叫び声が、一瞬にして静寂を突き破った。先頭のGUY FAWKESに飛びかかって剣を叩きつけようとする。
GUY FAWKESはすんなりと剣先をかわした。
「ほら、おぬしは『マジンヒョードーG』に乗るのだ! そのために我はひと月もの間、次元の門を開く魔術の儀式をやっていたのだぞ!」
呆然とする顔面核爆弾の肩にぶつかるようにして、GUY FAWKESが叫んだ。
「ドプフォwww乗りたいのはやまやまでござるが、どう乗るでありんす?www」
すると、血に濡れた剣を引きずって、フェミの兵が顔面核爆弾の所へ近づいてくる。
フェミ化粧の下にのぞく残忍な笑みが、顔面核爆弾の血を凍らせた。
そして、一瞬にして剣を振り上げた。
「ドプフォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォwwwwwwwwwコポォ……」
その瞬間、心地よい同調感、そして堪えきれないほどの熱に全身が包みこまれていた。
内臓までもが熱くたぎり、灼熱していく自分の肉体と意識とを遠く感じていた。
どく、どく、どく……。
心臓の鼓動がいっそう高鳴る。
自分ひとりだけではなく、誰かと肉体を共有しているような奇妙な感覚と白熱する高揚感に駆りたてられ、立ち上がった眼下に、小さな影が動きまわっているのが見えた。どれもが自分を見上げて、何かを叫んでいる。
「なにッ⁉︎ 『マジンヒョードーG』が動いているだと‼︎」
KTBは愕然としながら、『マジンヒョードーG』を見上げている。
「オウフwwwもしかして拙者は今、マジンヒョードーGの中にいるでござるかwwwドプフォwwwしゅごいッッッwwwヒョードーGが拙者の手足のように動いますぞwwwフォカヌポウwww」
マジンヒョードーGと融合した顔面核爆弾は嬉しさのあまりその場でスキップをした。
「うわあああああッ‼︎」
ヒョードーGのスキップによる震動が、地面を伝って地震が起こる。
「何をしておる、アホんだら‼︎ フェミの軍勢をこてんぱんに叩きのめすのだ!」
「フォカヌポウwww拙者はアムロ君とシンジ君を足して二で割ったような性格でしてwww争いを好まない平和主義者なのですぞwww」
顔面核爆弾はヒョードーGと融合したことによって、ロボットアニメの主人公になったような気分でテンションが上がっていた。
「ええ〜い、全員『マジンヒョードーG』に向かって突撃〜‼︎」
マジンヒョードーGに向かって、フェミの軍勢が一斉に特攻してくる。だが、ヒョードーGにダメージを与えることはおろか、傷一つ付けることも出来ない。
「オウフwww拙者の機体マジ無敵過ぎワロタwww弱者男性TUEEEEEEEEEEwwwwww」
ヒョードーGの口の溝から凄まじい突風が吹き荒れる。
「うわあああああああああ‼︎」
フェミの軍勢はヒョードーGの発するとてつもない突風によって、遥か遠い彼方へと吹き飛ばされていった。
No.8
95ヶ月前
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 さて、『ダンガンロンパ』です。  ファンの期待を受け、満を持して本年の初めに発売された新作ですが、その評価は大いに荒れております。  Amazonのレビューは目下のところ554なのですが、星1つが197。星5つが113ですから「賛否両論」とは言え、いかにファンの失意や怒りが大きいかわかります。  そんなわけで以下、ネタバレを含み簡単に経緯を記したいと思いますので、知りたくない方はご覧になりませんよう。  後、ヒット数を稼ぐため、○○師匠を彷彿とさせるセンスのない週刊誌のリード文風タイトルをつけてみましたが、いかがでしょうか? *     *     *  ――ちょっとネタバレの前に前フリを入れましょう。  同人誌文化華やかなりし頃――『エヴァ』放映時だったでしょうか。と言っても今がどんな感じなのか、とんと疎くなってしまい、わからないのですが――「ジジイ落ち」というのが流行っていました。ぼく自身はそこまで見た記憶はないのですが、当時の評論系同人誌でそれについてのコラムを書いている人物がいました。  エロシーンのクライマックス、美少女キャラのあられもない姿が大ゴマで描かれた一番の見せ場を読みつつ、更なる刺激を期待してページをめくると、そこにはクッソ汚いジジイのどアップが描かれている。或いは、痩せこけた飢餓地帯の子供の絵が描かれている。で、読者に冷や水を浴びせるような一言を放つ。後者であれば「君たちが無為にオナニーしている間も、世界には食べ物もなく死んでいく者たちがいるのだ、云々」など。  その同人作家氏は、これを以下のように評しました。  この落ちを一番最初にやった者はよい。先進性も批評性もあった。それなりの気概を持って描かれたのだろう。しかし、それを真似た者には、それらは全くない。単なる悪趣味な嫌がらせをやっているだけだ。  記憶で書いてるので、ぼく自身の考えも混じっているかも知れませんが、そんな主旨でした。そして、ぼくはこれに全面的に同意します――いえ、むしろ一番最初にやった者にすら、 評価すべき批評性などない と、ぼくは考えます。  これを理解するにはいくつか押さえておくべきポイントがあるでしょうが、一番大きい理由としては、当時のエロ同人作家がオタク界の花形であり、ワイドショーのコメンテーター的「ご意見番」といったスタンスにいたことが挙げられるように思います。何しろネットもそこまで普及していない時代ですし、ぼくたちは同人誌を買うと共に、フリートークページに書かれた作者のアニメ評などを貪り読んでおりました。要は彼らは「エラかった」のです。  こうしたことが許されていた背景には同人誌が「趣味だから」「商売じゃないから」といった認識があったからですが(今はもっと商業化されているでしょう)、それ以上にとにもかくにもこの業界は「クリエイター様エラい主義」が非常に濃厚で、同人作家って何やったっていいと思われていたのです、当時は。  更に、そうした心理的土壌の深層には「オタクの、オタクへの憎悪」がありました。  当時はオタクの社会的地位がほとんど士農工商エタ非人申酉戌亥の、更にその下くらいに設定されておりました。近年、オタク文化が市民権を得たおかげでぼくたちは逆説的に「オタクは差別されている!」と団結するようになりましたが、当時はあまりにも地位が低いために、お互いにお互いを憎み、呪いあうことで精神の安定を得ていたのです。当時の同人誌即売会のパンフには「オタクは人間に最も近い動物なり」などと書いていた人物もおりました。そう、そもそもこの「オタクのオタクヘイト」は 上に立つ業界人連中がそそのかしていたのです 。  もちろん、エロ同人誌の売り手の気持ちを想像した時、心情はわからないでもありません。血眼で自らのエロ同人誌を求めるオタクたちを見るとどうしても、「醜い」と感じてしまう。それは無理からぬというか、当たり前のことではありましょう。  しかしそもそも最初にエロ同人誌を(他人様のキャラ人気に乗っかって)描いたのは自分です。彼ら自身が誰よりもエロ漫画に自らのリビドーをぶつけていたはずなのですが、いざそれを客観視してしまうと(漫画を描く時にもそんな自分を客観視しておいてほしかったものですが)嫌悪感を感じてしまうのでしょう。  結果、彼らは他人様のキャラ人気にあやかったエロ同人誌で稼ぐ俺様はエラいエラいクリエイター様、買う者はゴミのようなオタクどもなので 何をしてもよい 、という自意識を発達させてしまったのです(し、その弊害は今も残っているように思われます)。  ――とまあ、大体言いたいことは言っちゃいました。  上の話が本件とどう関わるのかというと、(というわけで以下からネタバレですが)本作、最終章のチャプター6で黒幕が登場し、「お前たちはゲームキャラだ」と言ってしまうのです。  メタネタです。  もっとも、今回、キャラクターたちの人形が糸で釣られているといった、それを匂わせる演出が繰り返され、ぼくも当初から「黒幕はスタッフたちそのものでは」と予測をしていました。  が、それは半分当たり、半分外れといった感じです。  この『V3』の世界では『ダンガンロンパ』というコンテンツが大人気。『1』や『2』もこの『V3』世界ではゲームとして消費されています。主人公たちにコロシアイを強いていた黒幕の正体は「チームダンガンロンパ」のスタッフたちだったのですが、そのスタッフ以上に、彼らへと作品を求める、『ダンガンロンパ』の熱心なファンたちの声の方が前面に出てきているのです。  主人公たちはしかし、そんな連中の見世物になるためにコロシアイをさせられていた事実に憤り、「ゲームを終結させる」「『ダンガンロンパ』そのものを否定する」ことを決意します。決死の覚悟で学級裁判そのものを放棄、学園を破壊、そんで、何か九死に一生を得て「ぼくらの戦いはこれからだ!」でエンド。いや、最後はどうだったか忘れちゃいましたが、 何かそんな感じだったと思います 。  このメタネタ、それほど斬新でもありません。 『勇者特急マイトガイン』の最終回でも、「主人公たちがこの作品世界がフィクションだと気づく」落ちをやっていました。悪の大首領は「オモチャを売りたい玩具メーカー」であるとの暗示がなされ、スタッフたちのホンネが透けて見えました。  そう、この種のネタってクリエイターなら誰しもがやりたくなるものなのでしょうが、なかなかスマートにまとまりません。  本作においてはそれが顕著で、『ダンガンロンパ』ファンたちがモニタに現れ、ニコ動的演出で、コロシアイを止めさせようとするキャラクターたちを延々と罵ります。「もっと楽しませろ、今までどれだけのカネを落としてきたと思っているんだ」と。  そもそも先にフィクションと書きましたが、本作の主人公たちは生身の人間です。「チームダンガンロンパ」は生身の人間の出演者を募って(或いは拉致して? 描写が曖昧で判然としません)コロシアイに参加させています。生身の人間でありながら、その記憶をリセットし、捏造された疑似記憶を植えつけることで、フィクショナルなキャラに仕立て上げ、フィクショナルな舞台の中で役割を演じさせている、ということのようです。それを視聴者たちは見物して楽しんでいる。視聴者たちも出演者たちも、そのコロシアイを「ゲームだと思って」視聴し、出演を志望しているのだろうけれども、そこも詳述されず、判然としない。  そうした非現実的な、しかもあやふやな状況を仮想して、「お前たちファンはコロシアイを楽しんでいる悪しき存在だ」と糾弾されても、困惑するしかありません。それこそ非実在の少女に対する性的虐待を批判されるようなものです *1 。  そのくせ、一体全体どういうわけかスタッフはそうした責から完全に免れている。スタッフは超越的な黒幕、ファンは主人公たちを口汚く罵る醜い存在と、役割がくっきりと分かれているのです *2 。アニメ版『3』で 愚かしい、節度を失った残酷描写 でブーイングを受けたのはスタッフ側だろうに。  これでは「事実関係を捏造により入れ替え、相手を罪に陥れた」ようにしか見えません。  上にニコ動と書きましたが、仮に本作が十年前に作られていればここの演出は間違いなく2ちゃんねるのアンチスレとして表現されていたはずで、一言で言えばこれらはファンへのぼやき、『ダンロン』を作りたくないというグチという、一番やっちゃいけないモノにしか、ぼくには見えませんでした。  何しろ、黒幕は歴代作のキャラクターたちに次々と変身し、その口から旧作を否定する台詞を吐いてみせるのです。あたかも、『ダンガンロンパ』そのものを完全に葬りたいとでも思っているかのように。ご丁寧なことに旧作の声優が全てのキャラたちの台詞を新録しています。ぼくはこれは恐らく、ミニゲームの台詞収録のついでだったのだろうと考えることで何とか自分を納得させていたのですが、プレイしてみると ミニゲームの方に新録はない模様 。  スタッフたちは、ファンに深い憎悪を抱いているかのようです。  そう、それはまるで、自分のエロリビドーをぶつけた漫画をカネに換えているのは自分なのに、読者にお説教をする、エラいエラいエロ同人誌作家サマのように。ネットで叩かれたので、それを劇場版『エヴァ』で大人げなく晒し上げた庵野のように。 *1 また、この作品世界では「世の中が平和で退屈なため」に娯楽としてのコロシアイが求められているとされます。それは不景気な世の中での逆説的な癒しとしてデスゲーム物が流行っている現状とは全くの裏腹で、これもまた奇妙な設定です。 *2 Amazonのレビューで痛烈に皮肉っている人が いました 。この人ほどはっちゃけないまでも、「実はチームダンガンロンパは人間の心を荒廃させるゲームを制作することで世界征服を企む悪の組織」とか、そんな風にした方がよかったんじゃないでしょうか。  当ブログでは、今まで繰り返し、『ダンガンロンパ』について語ってきました *3 。  それは本シリーズが極めて優れた「女災批判ゲーム」であったからです。  ですが、今回は作品が「女災」そのものとなってしまいました。 「女災」とは女性ジェンダーによる災害、もう少し詳しく言うなら「被害者ぶることによる加害」です。  いえ、確かに『ダンガンロンパ』のスタッフはほとんど男性でしょう。そしてまた「クリエイター」と「消費者」という関係性を男女ジェンダーのアナロジーとして考えた時(受け/責めで考えた時)、「クリエイター」が必ずしも女性的とは言えないとは思いますが、少なくとも本作において、全てをファンに押しつけ、一切の責から免れていたのはスタッフの側です。  そしてまたお約束の(という気がするわりに、じゃあこの種の演出がなされた作品が他にあるかとなると、ぱっとは出て来ませんが)ニコ動のコメント的にファンの罵声が流れる演出を見ていると、何だか旧来の大メディアがネット世論に怯え、敵意を剥き出しにする様、フェミニストが「ネットの女叩き」に憤ってみせる様と被って見えます。  ネットなどで大衆が発信できるようになった状況に「我らのアドバンテージが失われる」との危機感から描かれた本作は、言わば「弱者男性に対するフェミニストの悪辣な攻撃」、「貧困層であるネトウヨに対するリベラル様の汚物は消毒だ行為」と「完全に一致」していると言えるでしょう。  そう、『ダンガンロンパ』は今回、自爆芸をもって 「彼ら彼女ら」の醜さを描破しきってしまった のです。 *3「 これからは喪女がモテる? 『ダンガンロンパ』の先進性に学べ! 」 「 被害者性と加害者性の微妙な関係? 『スーパーダンガンロンパ2』の先進性に学べ! 」 「 これからの女子キャラクター造形はこうなる? 『ダンガンロンパ』の先進性に学べ! 」 「 弱者性と強者性は転倒する? 『絶対絶望少女』の先進性に学べ! 」  本作では「ギフテッド制度」という設定が語られます。超高校級の才能を持った少年少女たちが集められ、コロシアイを強要される、というのが『ダンガンロンパ』のお約束ですが、本作においては「超高校級」たちは「ギフテッド制度」により奨励金や選挙権・被選挙権といった、さまざまな特権が与えられるとされているのです。  この「ギフテッド」自体が「先天的な天才」とでもいった意味であり、「才能」自体が『ダンガンロンパ』のテーマとして選ばれていました。『絶対絶望少女』では「与えられざる者」の甘えを喝破するシーンが描かれましたし、また「才能を持つ者は同時に才能に縛られる」といったテーマが語られたこともあったと思います(どこでだったかは忘れちゃいましたが)。  が、この「ギフテッド制度」という言葉、第一章で語られたのみで早々に打ち棄てられ、 以降は出て来ません 。実はこれも意図的な演出で、彼らは以下のように言いたかったのです。  我々は「与えられし者」である「クリエイター」だ。しかしながらそれ故に背負っているはずのノブレス・オブリージュなど履行する気はさらさらない。利だけを得て、後は「受け」としての無責任さを十全に味わうつもりだ。  そう、本作は『絶対絶望少女』などで描かれた崇高な精神を敢えて打ち捨て、(わざわざ導入した新設定を全く無視することで、確信犯的に打ち捨てる様をファンに見せつけ)「女災」の醜さを自ら演じることで、批判したゲームであったのです。  先の「ジジイ落ち」に立ち戻るならば、やはり一昔前のオタク界はそうした自由な気風があり、だからこそ先鋭的な表現が生まれたことも事実です。  翻って現代のオタク作品は商品として落ち着きすぎている。ファンもクリエイターを自分たちを満足させる商品を生み出す役割を担った芸者だと捉えているフシがある。  ぼくもそれがいい傾向だとは、全く思いません。  エロゲーやラノベの惨憺たる現状は、そのような風潮が生んだものだと言えます。  だから、本作についてはそこに牙を剥く気概ある意欲作であったのだと評することも、できるとは思います。  しかしそれでも、オタクへの憎悪を根源にした、左派のまた別な目的意識をもって主張される、「クリエイター様エラい主義」が正しいとはどうしても思えません(時々書きますが、岡田斗司夫や大塚英志が叩かれるのはそうしたクリエイター様エラい主義を相対化しようとしたからなんですね)。 『V3』の主人公たちが否定し、終結させた『ダンガンロンパ』はこれからどうなるのでしょう。  先にスタッフがやる気を失っていると書きましたが、同時に作品に対する愛情が全くないわけでもないでしょう(例えば藤子Fだってまさに「才能に縛られ」、延々と『ドラえもん』を描いていました。本人の中には『ドラえもん』以外の作を描きたい/『ドラえもん』を極めたいというアンビバレントな気持ちが共存していたのではないでしょうか)。  また、単純に商売として、ヒット作を簡単に終結させるとは、考えにくい。  だからまた次回作が出ることは充分に考えられますが、一方、或いはファンが本作で愛想を尽かして、作品の寿命があっさりと尽きることも充分に考えられる。  本作は「クリエイターが勝つか、ファンが勝つか」の勝負、リアル世界を舞台にした クリエイターとファンの壮大な「コロシアイ」実験 でした。  そしてその結果を、ぼくは予言します。  よくも悪くも、もう「クリエイター様マンセーの時代」は終わっている。  それは丁度、ぼくたちが「女災」についての認識を深めつつあるのと、全く同じ理由で。 『ダンガンロンパ』の息の根が完全に止まることはないでしょうが、次は「エッジさを失った、各方面のご意見を聞いたお利口さんなコロシアイ」が開始されるのではないでしょうか。  楽しみに、待ちましょう。
兵頭新児の女災対策的随想
「女災」とは「女性災害」の略。

男性と女性のジェンダーバイアスを原因とする、男性が女性から被る諸々の被害をこう表現します。



このブログでは女性災害に対する防災対策的論評を行っていきたいと思います。