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菊地成孔さん のコメント

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菊地成孔
>>8

 ウエインは、少なくとも入信して以来は笑顔を絶やさない元気なお坊さんみたいな感じでしたね。実はそこそこの数のレコーディング風景が残されてるんですけど、テイク選びする時の楽しそうな口ぶりと、若いメンバーたちへの押し付けがましくない説教(説教の名人ですよ。晩年は)の気持ち良さがすごかったですね。アフロアメリカンの音楽家の中で稀有な感じです。

 「エマノン」は、コミックブック付きでお持ちですか?あれ、本人が書いてるんですが笑、遺作がアレで本当に良かったと思ってます。元々はジャズなんかより、SF漫画が好きな夢見る少年だったんで。「オーネットの二番煎じ」っていうのは笑、誰が言ったのか知らないですけど笑、まあ、無いですよね笑(オーケストラとやってるだけですよ共通点は笑)。

 ただ、マイルスの第二期黄金5が、50年代後半のオーネット4に、10年遅れて同じ結果になった(=教養主義の果てと無教養主義は同型)という歴史観は「M/D」にも書いてますし、夜電波でもラジオデイズでも実際に音出してやって見せてますが、誰もこのことは指摘しないですね笑。
No.10
20ヶ月前
このコメントは以下の記事についています
「ウエイン・ショーター 」  そんなモンの統計なんかきっと誰もとっていないだろうけれども、旧正月明けて今年が始まる直前から始まった「有名人の訃報」は、まるで淘汰かレミングのようで、異常値を示していると思う。トゥルゴイと笑瓶ちゃん(通信簿ガチのオール1)を見送ったと思ったら(「新音楽制作工房」の代表として Twitter をしているのですが、彼ら2人への手向けの写真を掲げた。我ながらなかなか良いと思うのでチェックしてみてください。芸人がフリースタイラーとしてマイクを握るブームがまだ続いているかどうかは知らないが、あの写真が天国のデ・ラ・ソウルだ)、いつも歌っている「 G.o.a.P 」の作曲者である、元ムーンライダースの岡田徹さんが亡くなったかと思うと(岡田さんと僕は、一時期同じ事務所にいて、そのつてでライダースのアルバムにサックスで参加していたりするのであるが)、「あ、、」という感じでウエイン・ショーターが亡くなった。    とはいえまあ、ウエインは既に死んでいたか、あるいはまだ死んでいないと思う。「現世でも200は行くな」と踏んでいたけれども、そんな事したら人々が驚く。仏法はそれほど詳しく知らないが、長生きによって人を驚かすのは(早や死にによって驚かすよりも、遥かに修行が必要で、徳の高い事であろうとも)善行とは言えまい。なんの信心もない人々の平均値では「十分天寿を全うした」と言わせしめる89歳である。    僕のテナーサックスのケースには(大好きな)シールも(そんなに好きではない)有名人のサインも一つも貼っていないが、ウエインのサインだけが記されている。それは2005年に彼が来日した時に、僕と村井さんでインタビューに行った時のものだ。最近、この日記に、やっぱり写真を添えようと思い始めているのだが、デジタルカメラを買わないといけないので、買ったら自慢げに披露するが、そこには「2005  good future!   Wayne Shorter 」とある。僕は42歳で、精神分析治療の最初の段階を終え、1 st ソロアルバム「デギュスタシオン・ア・ジャズ」のあと、2 nd ソロアルバム「南米のエリザベステーラー」をリリースしたばかりだったが、仏の力は凄まじく、あれ以来、僕の未来はグッドなままだ。ありがとうウエイン。僕は数ヶ月後に還暦になるに際し、古いサックスを全部オークションにかけることにしたけれども(ガチで。楽譜や服なども放出し、売り上げは全てペペトルメントアスカラール財団に寄付します笑)、あのケースだけは一生大事にするよ。    
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