そんなモンの統計なんかきっと誰もとっていないだろうけれども、旧正月明けて今年が始まる直前から始まった「有名人の訃報」は、まるで淘汰かレミングのようで、異常値を示していると思う。トゥルゴイと笑瓶ちゃん(通信簿ガチのオール1)を見送ったと思ったら(「新音楽制作工房」の代表としてTwitterをしているのですが、彼ら2人への手向けの写真を掲げた。我ながらなかなか良いと思うのでチェックしてみてください。芸人がフリースタイラーとしてマイクを握るブームがまだ続いているかどうかは知らないが、あの写真が天国のデ・ラ・ソウルだ)、いつも歌っている「G.o.a.P」の作曲者である、元ムーンライダースの岡田徹さんが亡くなったかと思うと(岡田さんと僕は、一時期同じ事務所にいて、そのつてでライダースのアルバムにサックスで参加していたりするのであるが)、「あ、、」という感じでウエイン・ショーターが亡くなった。
とはいえまあ、ウエインは既に死んでいたか、あるいはまだ死んでいないと思う。「現世でも200は行くな」と踏んでいたけれども、そんな事したら人々が驚く。仏法はそれほど詳しく知らないが、長生きによって人を驚かすのは(早や死にによって驚かすよりも、遥かに修行が必要で、徳の高い事であろうとも)善行とは言えまい。なんの信心もない人々の平均値では「十分天寿を全うした」と言わせしめる89歳である。
僕のテナーサックスのケースには(大好きな)シールも(そんなに好きではない)有名人のサインも一つも貼っていないが、ウエインのサインだけが記されている。それは2005年に彼が来日した時に、僕と村井さんでインタビューに行った時のものだ。最近、この日記に、やっぱり写真を添えようと思い始めているのだが、デジタルカメラを買わないといけないので、買ったら自慢げに披露するが、そこには「2005 good future! Wayne Shorter」とある。僕は42歳で、精神分析治療の最初の段階を終え、1stソロアルバム「デギュスタシオン・ア・ジャズ」のあと、2ndソロアルバム「南米のエリザベステーラー」をリリースしたばかりだったが、仏の力は凄まじく、あれ以来、僕の未来はグッドなままだ。ありがとうウエイン。僕は数ヶ月後に還暦になるに際し、古いサックスを全部オークションにかけることにしたけれども(ガチで。楽譜や服なども放出し、売り上げは全てペペトルメントアスカラール財団に寄付します笑)、あのケースだけは一生大事にするよ。
コメント
コメントを書くこの現実、火の中水の中を生きる修験道、自由:自ずからに由る、やっぱ、現実、どこで、技術によって、呪術や魔法によって、解決を探る、喪失という悲しみ、現実という困難、さっき中華屋でテレビ観てたら、空港でイタリア人が、もっと炭酸水を置けって、日本には、あのシュワシュワが足りないって、確かに、泡沫の日々、sparklingは、山下達郎、blue noteを TSUTAYAでコピーしてカセットで聴いたけど、一番好きなのは、ECMで聞いた、Charles Lloyd / The Water Is Wide、でも、粋な夜電波には、色々、聴かせて貰って、楽しかったなあ〜
>>3
曲球かつ本質的なのが「ティーンタウン」で、地味かつ正統的なのが「ウエザーリポート(新しい方)」の「トゥーラインズ」でしょうね。
>>4
こうちゃんラップしてよ!!
>>4
もとい、しなくて良い!!笑
ウェインショーターがそんなグッドヴァイブスの人とは思いませんでした!ショーターとマイルスのエピソード(お前の才能はまだ誰にも理解されてないと、マイルスが言ったという)も好きですが、ショーターの近作は菊地さんの視点だとどのように捉えていますか?遺作となった『エマノン』のレヴューで、オーネットコールマンの二番煎じだ、というのがありましたが、自分は全く違うと思いましたし、どう捉えていいかがわからないという印象だったのですが。(確か『エマノン』のブツはアメコミがあしらってあったと記憶しています)
2、3か月前に「フットプリンツ」読みました。その時、印象に残った言葉をメモに残しました。しかしこれが見つからない。まるでコロンボですが。でも2枚だけ見つかりました。
「自力で何とかしろと諭すモーツァルトのこの逸話からは誰もが等しく音楽の才能を持っているに違いない、というウェインの信念もうかがえる。」
「水には電気が流れている。アコースティックミュージックも同じ。深いところには電気的なものが流れている。そうだろう? 」
この残った2枚のメモを僕へのウェインからのお告げと思う事にします。
>>8
ウエインは、少なくとも入信して以来は笑顔を絶やさない元気なお坊さんみたいな感じでしたね。実はそこそこの数のレコーディング風景が残されてるんですけど、テイク選びする時の楽しそうな口ぶりと、若いメンバーたちへの押し付けがましくない説教(説教の名人ですよ。晩年は)の気持ち良さがすごかったですね。アフロアメリカンの音楽家の中で稀有な感じです。
「エマノン」は、コミックブック付きでお持ちですか?あれ、本人が書いてるんですが笑、遺作がアレで本当に良かったと思ってます。元々はジャズなんかより、SF漫画が好きな夢見る少年だったんで。「オーネットの二番煎じ」っていうのは笑、誰が言ったのか知らないですけど笑、まあ、無いですよね笑(オーケストラとやってるだけですよ共通点は笑)。
ただ、マイルスの第二期黄金5が、50年代後半のオーネット4に、10年遅れて同じ結果になった(=教養主義の果てと無教養主義は同型)という歴史観は「M/D」にも書いてますし、夜電波でもラジオデイズでも実際に音出してやって見せてますが、誰もこのことは指摘しないですね笑。
>>9
コロンボのメモは、アレは犯人をイラつかせるためにわざと探してるだけで、結局は出てきますけどね笑。有名(?)な、「水には電気が流れている」は、モンクに元ネタがあって、その元ネタはアイザックアジモフだと言われていますね。
>>10
菊地さん、ごめんなさい。レヴューはMMでした!クソレヴューですよね〜!スターウォーズで言うところの師範代的な方だったのでしょうか。いずれにしても、作曲家としてのウェインショーターは菊地さんのダブセクステットなどの作品でしか食っていない=消化されてない感じがしてます。国内外問わず。
>>12
MMといえば、ミステリーマガジンですね笑。だったらジャズのことはわからなくても仕方がないですね笑。
ウエインの音楽自体は広範に影響与えていると思いますが、第二期黄金クインテットの作曲家としてのウエインの楽曲は、確かに僕ら以外にはあまり継承者いないですね。