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小飼弾の論弾 #273 「TikTokは誰のモノに?4兆個トランジスタのAIチップ、死者も出たボーイングの闇」
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小飼弾の論弾 #273 「TikTokは誰のモノに?4兆個トランジスタのAIチップ、死者も出たボーイングの闇」

2024-03-26 07:00










     「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
     無料公開部分の生配信およびアーカイブ公開はニコ生・ニコ動のほか、YouTube Liveでも行っておりますので、よろしければこちらもぜひチャンネル登録をお願いいたします!

     今回は、2024年3月19日(火)配信のテキストをお届けします。

     次回は、2024年4月2日(火)20:00の配信です。

     お楽しみに!

    2024/03/19配信のハイライト

    • SFを超えたカウンターカルチャーだった『DUNE』
    • マイナス金利解除の影響と「目をつぶる」重要さ
    • 「体育会系的」自民党JCと航空機市場の寡占問題
    • 視聴者質問「本に読まれるとは」「『ゴールデンカムイ』感想」
    • 「AppleのAI研究」と「ヒューマノイドの定義」
    • TikTok問題の影響の範囲について

    SFを超えたカウンターカルチャーだった『DUNE』

    山路:最初軽い話題ということで、

    小飼:そう、いつも軽い話題、軽い話題ってさ、軽い話題詐欺という、僕は個人的に呼んでるんですけど、

    山路:いや、本当に軽い話題だと思うんですけど(笑)、映画、見た映画の話ですよ。『DUNE』が、『DUNE』のパート2が。

    小飼:そうそう、来週だと思ってたら、なんか1週間ちょっと感覚がずれていた。

    山路:弾さんがこの『DUNE』をまだ見てないというこの不手際、

    小飼:うん、不手際です。いや、本当に、本当にもう申し訳ないというのか。

    山路:まぁ見てない人のためと、あと見てない弾さんのために、まぁネタバレとかじゃないですけど、

    小飼:でも、こういうのもなんだけど、原作はもう散々読んだわけだから、

    山路:原作からちょっと変えてあるみたいですよ。

    小飼:だからどこが変えてあるのかなっていうのがたぶん一番のネタバレで、だからそこは。どこを変えたんだろうなー。

    山路:第3作ではもしかしたらダンカン・アイダホがどうのこうのっていう(笑)、

    小飼:あ、そうか、映画だと第3作になるんだ。じつは原作というのか、フランク・ハーバート、原作者の第3編というのは一番ウェーッとくる作品で、どうせ映像化するのであれば、そこまでやってほしいなという気持ちが。これはもう原作出て久しいんで、そこだけネタバレしちゃいますと、ポールの息子の皇帝になった話ですね。そのポールの父親、第3作目の主人公から見ると、じいさんから名前を取ったレトですね。レト二世の話なんだけども。これがなかなかエグくて。ただそのヒントというのは第1作から出てます。第1作の一番の、なんと言えばいいのかな、コアというのは、要はスパイスはどうやって作られていたのか、なんで惑星アラキスの特産なのかということで、これはもうさすがに言ってもいいかな。砂虫が作ってきたというね。

    山路:みんな薄々気がついていたとは思うが。まだナビゲーターとかは本格的には出てきてないんですよね。

    小飼:そうなんですよね。前に映画化された『デューン』では、いちおうギルドナビゲーターも実写化というのか、映像化されている。

    山路:前の映画って、スティングがフェイド・ラウサをやったやつですよね。

    小飼:そうです。本当に人間離れしちゃってるんですけど、もっと人間離れした映像を見せてほしいですね。でも、これは第1作目だけの印象なんですけど、オーネソプターはすごいよくできている。

    山路:羽ばたき機ね。

    小飼:そうそう。

    山路:建物とかその他のことの臨場感、実在感がすごいですよね。小道具のそれぞれもそうだし。

    「先行上映のIMAX見た、よかったわ」(コメント)

    山路:良かったですよね。IMAXで見てほしいなと思いました。あと、

    「なんで最近の映画は3時間ぐらいが当たり前なんだ、砂の惑星水の膀胱」(コメント)

    山路:っていうコメント(笑)。スティルスーツを着ていかんといけないですよね。水分を外に出さないためには。

    「どこまで作るんだろう」(コメント)

    山路:とりあえず、3作目、パート3まで作ることは確定で、『砂漠の救世主』を映画化するのは確定のはずですけどね。

    小飼:第2作はより悲劇なので。ポールを皇帝にしてしまったばっかりに、みたいな話なので、第2作は。原作通りだとしてね(笑)。

    山路:パート1って、いちおうアメリカでヒットしたけど、ようわからなかったって言ってる人もいっぱいいたんですよね。

    小飼:そりゃそうだよ、

    山路:イントロダクションですもんね。

    小飼:主人公が一番苦しいところで終わってるので。物語の谷の部分で終わってたので。

    山路:本当に作品世界の紹介みたいなところで。それでもパート2作られて、パート3も作られるって、ヴィルヌーブ監督、ヒットメーカーになってきたじゃないですか。

    小飼:というのか、それ以上に原作がすごい強い作品だからね。

    山路:『DUNE』ってややこしいって言う人いますけど、話の骨格自体はシェイクスピアの古典劇みたいな感じですよね。

    小飼:ああ、というのかな、って言われると、僕はシェイクスピアの悪口だったらいくらでも(笑)。でも悪口が出る程度に、半強制的に読まされるんですよね、シェイクスピアって。なんだけども、話してるとこんなの絶対ありえないというのが、現代だったら実在のところどころに差し障りがありすぎて無理だという。たとえば、『オセロ』という話があるじゃないですか。4大悲劇の一つなんですけども、これがいかにありえない話かというのは、塩野七生がエッセイで書いているので。

    山路:弾さん的にはつまり、小道具というか、物語のディティールみたいなところがめちゃめちゃやんけっていうところが気になるところ?

    小飼:めちゃめちゃというのか、なんと言えばいいのかな。ハリウッドとかの忍者的な感覚で中世イタリアをとり扱ってるんですよね。

    山路:なるほどね。

    小飼:『ロミオとジュリエット』もいかにありえない話かというのも、いろんな人がいろんなところで解説しているので。なんだけども、今時のイタリア人は同じくらいミーハーなので、日本人が忍者だ忍びだというのを英米で取り上げるというのをむしろ歓迎しているのと同じような感覚で、イタリア人はシェイクスピアを受け付けているので。

    山路:なるほどね(笑)、インバウンド需要的な。

    小飼:インバウンドの需要的な。インバウンドの先輩なので。

    「ロミジュリにたった数日であんな恋が盛り上がるわけないだろうとかって?」(コメント)

    小飼:いや、そっちではないんだよね。そっちではないんだよね、なにがありえないというのは、

    山路:私の知り合いにも、1日で結婚決めたっていう人がいますからね。だから恋が盛り上がるわけないというのはちょっと違うかなとも思ったり。

    小飼:だけれども、たとえばどんなところがありえないかというと、『オセロ』だと、オセロ本人がああいう形でベネチアで出世するというのがありえない。だから、血統貴族主義なので、外様中の外様のオセロがあんな偉い立場に立つということがありえないというのが。

    山路:ストーリーの根幹に関わってくるところの設定が雑っていう、

    小飼:そうなんです。ベネチアはそんな国ではない。

    山路:そういうところの作りが甘いって話なのね。

    小飼:日本の江戸時代の時代劇で、将軍を選挙で決めてたみたいな違和感があるわけですよ(笑)。それでもあまりに人口に膾炙してしまった話なので、もはやあれはあれ、それはそれになっているわけですよ。やっぱり笑いが込み上げてきちゃう(笑)、

    「ラストサムライ的な勘違いっぷり」(コメント)

    小飼:いや、それどころじゃないの、『ラストサムライ』とかっていうのはむしろ時代考証をしっかりしてるぐらいの感覚なわけ。
     でもやっぱり、時代劇って大きな嘘を入れたやつのほうが面白いんだよね、『ゴールデンカムイ』にしてもさ、あれだけしっかりアイヌのこととか調べした上で土方歳三が生きてることにしてるわけじゃん、そういう大嘘が面白いんだけれども。

    山路:大嘘をやっぱり効果的に使うためにも、脇をきちんとつくっておかないとってことね。

    小飼:やっぱり実際のところどうだったのっていうのは知っておいたほうがいいですよね。それで言うと、『源氏物語』とかっていうふうになると、あれくらい昔になると危うくなるんだよね。当時は本当にどうだったのかとかっていうのは。

    山路:あと『DUNE』の話ですけど、パート1にも言えることなんですけど、そういうフレメンって中東の部族、絶対にモデルにしてるじゃないですか、回教徒、

    小飼:その通りです、

    山路:パート2ってそういう彼らの宗教的な要素っていうのがクローズアップされてくるんですけど、これ、今アラブ世界の人が『DUNE』の映画なり見たらどう思うのかなっていうのはちょっと。

    小飼:いや、だからロレンス・オブ・アラビア(アラビアのロレンス)がカリフとかシークになったような話ではありますよね、ド外様じゃないですか、ポール・アトレイデスなんて。ただ外様でもいいんですけども、じゃあ今のベドウィン的に、フレメンを集束、まとめようとしたら、ポールはチャニしか娶るってないわけです。実際に婚姻で部族をまとめて国を作ったといえば、

    山路:サウジアラビア、

    小飼:そうです。アブドゥルアズィーズですよ。サウド家の。4人まで妻を持てますよね。4人まで持てるだけではなくて、ちゃんと契約にのっとれば、離婚もできるわけですよね。だから4人娶って、5人目を娶るとき、1人を契約にのっとって離婚して、手切れ金を渡してっていうのを100回だか200回だか繰り返したんだったけな(笑)。そういうこともあって、サウジアラビアっていまだに国王が2代目なんですよね。まだ息子の代なんですよ。まだ孫の代までいってない。まぁでもそれは置いといても。あくまでもベドウィンにインスパイアされたという(笑)、

    山路:ただ、かなりイスラムのテロの正当化みたいなことに繋がったりとか、そんなことないですか?

    小飼:何しろジハードという言葉をそのまま使ってるしね。原作もその通りです。

    山路:そこのところで、よくアメリカで好意的に受け入れられてるなっていうのもちょっと思ったんですよ、今。

    小飼:それゆえ好意的に受け入れられたというところはあると思いますよ。だから、単なるサイエンスフィクションを超えて、カウンターカルチャーだったんじゃないかなと思ってるっていうのも、これは完璧にカウンターカルチャーとして受け入れられたという作品として超有名なのは、ハインラインの『Stranger in a strangeland』という、日本語で『異星の客』、

    山路:火星のやつね、

    小飼:そうです、火星人の話。あれはもう完璧にカウンターカルチャーで、単なるSci-Fiじゃなかったんですよ。だからどれくらい熱狂的に受け入れられたかっていったら、ビリー・ジョエルの歌で『We Didn’t Start the Fire』というひたすら歴史的なイベント、20世紀の歴史的なイベントを並べていく歌があるんですけど、そこにちゃんと出てくるんですよ(笑)。それは置いといても、

    山路:今特に、ガザとかパレスチナの話ってすごいアメリカなんかでも注目を集めているわけじゃないですか。アメリカなんかの民主党も共和党も、イスラエル寄りだったりもしますよね。だけど、この『DUNE』ってものすごくある意味、アラブの人のほうにどっちかというとシンパシーを感じさせる話になってませんか、それはちょっと穿ちすぎですかね?

    小飼:こういうのもなんだけれども、『DUNE』7部作なのかな、ハーバード本人が死んだ後も書かれ継がれたので、じつは。被抑圧者が抑圧者のほうに回る話でもある。映画の第3作目がそうなってほしいな。虐げられたアトレイデスが、虐げる側に回る話、本当にそうなんですよ。ハルコンネンがかわいく見えるほどの(笑)、

    山路:あらそうですか、めちゃめちゃパート3楽しみじゃないですか。

    小飼:ちゃんとそういう話になってくれてるかな、という。

    山路:ヴィルヌーヴ監督、やっぱり私、今まで『メッセージ』『ブレードランナー2049』と『DUNE』パート1見ましたけど、全部どれも刺さったので、私のなかでかなり信頼している監督にはなってますけどね。

    小飼:主人公が報われない話でもありましたよね。

    山路:ああ、どの作品にも共通してるかもしれない。

    小飼:その意味で期待してます。その意味では最初の映画というのはわりと勧善懲悪というのか、ポール・アトレイデスが虐げられて逆転する、逆転して勝った、で終わる話ではあるので。でも第1作っていちおうそれで終わりではあるんですよね。アトレイデスの逆襲なので(笑)、

    山路:『帝国の逆襲』ならぬ(笑)、

    小飼:そうそうそう。

    山路:『DUNE』パート2を見てないで20分語ってしまいましたね(笑)。

    小飼:いやでも、テッド・チャンの『あなたのための物語』というのは、いきなり報われないというのか、あれを本当にお話にしたのはすごいよなと。でもさ、英語のタイトルが『Arrival』で、日本語のタイトルが『メッセージ』だったっけ、ってしちゃったのはなー。でも、ちゃんと一番最初に最後を提示するというのは、本当に原作通りで。

    山路:私、原作未読で映画見ましたけど、映画、全部見終わってから席立つ前に、「そういうことか!」と(笑)、席立つ前にああ、そういうことだったのねと気づいた。

    小飼:ネタバレ耐性の強さがすごいね。
     それでいうと『ブレードランナー』の続き、シークェルはいちおうもう原作がなくて、自分でどうにでも脚本を書ける立場にいたわけじゃないですか。あれでああいう終わりにするっていうのも、渋い監督だなと。

    山路:どっちもやっぱり傑作なんで、もしも『メッセージ』と『ブレードランナー2049』見てなかったら、

    小飼:(コメントを見ながら)そうそう、バカうけが宇宙から来る話です。でも、そのバカうけが宇宙から来る前というのが本当に、映画の肝中の肝で。

    山路:さっそく次、もうニュース、

    小飼:(コメントを見ながら)第3作目もヴィルヌーヴ監督がやるの? それは期待高い。

    マイナス金利解除の影響と「目をつぶる」重要さ

    山路:今日の、今話題になっているニュースに行きますか。日銀マイナス金利解除を決定という。

    小飼:ずいぶんかかったね、というやつだけれども。

    山路:これってすごいことなんですか?

    小飼:それよりもマイナス金利を発動したということがすごいんですよね。歴史的には、どっちかというと。

    山路:白川さんの時だっけ、あれ、黒田さんの時だっけ、どっちだっけ、ちょっと忘れたけど。ある意味マイナス、日銀から民間の銀行へのところがマイナス金利になっていたわけですよね。

    小飼:そういうことです。当座預金に入れると、利子がつくじゃなくて金取ると。日銀のメッセージとしては、なるべく当座預金に入れとくなと。

    山路:で、市中にちゃんと金を供給しろというメッセージだったわけですよね。結局、それってあんまり効果的に働かなかったというか、前回、「今の日本の状況ってどうなんですか」って私が聞いたら、弾さんは「これはマイルドなスタグフレーションだね」って言ってたじゃないですか。要は物価が上がっても、賃金がそれに見合ってないっていう。それってどうしてマイナス金利とかで市中にお金を供給するように日銀がやったにも関わらず、そんなに金が回らなかったんですかね。

    小飼:それは日銀がお金を渡せる対象というのが、要するに銀行だけだから。いちおうウルトラCを使ってETFとかを買って、間接的に株式市場とかにもお金を流すということもやったけども、要は末端にお金を配る術というのを日銀は持ってない。だから日銀がどうしようが、どうしようもないわけ。

    山路:日銀にできるのはほんとにその当座預金の金利をどうするかみたいなことを調整したりとかするだけっていう、

    小飼:そうそう、日銀が無能とかっていうのではなくて、日銀の機能ではないんですよ。ただいちおうそのベースとして、最初に配るべきお金がどれだけあるかっていうのは、これは日銀マターで、これはもっとできたでしょうと。だから、あんまりETFを買うとかマイナス金利をやるとかではなくて、日銀がやるべきことというのは国債をドーンと買うという(笑)。貨幣を配ると。それを政府が受け取って、それを政府がばらまかなきゃいけなかったんだけど、これをやんなかった。

    山路:だから結局、金が一部のところに溜まっちゃって。

    小飼:そうなんですよ、政府は小賢しいことばっかりやってたわけ。

    山路:ポイントとかね(笑)。

    小飼:そうそうそう。

    山路:ポイント大好きだからなー。

    「日銀が大量に保有しているETFはどうするんでしょう」(コメント)

    小飼:それはこっそり市中に流すでしょう。

    山路:前、弾さんが言ってたようなベーシックアセットの原資にできないんですか? だって日本国のもんなんでしょ。だったら私らのもんでもあるわけじゃないですか。それって売却しなきゃいけないってことじゃないですよね、べつに。

     
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