ども!ギンです。
今日は先日東京競馬場に応援しに行った競走馬「スティルアイライズ」のお話。


2023年に生まれた牝馬(女馬)、スティルアイライズ。
通称、まめちゃん。

父はウオッカの息子・タニノフランケル、母はダイワスカーレットの系統、スカーレットテイル。
名ライバルとして語られる名馬たちウオッカとダイワスカーレットの血を引くということで、生まれる前からちょっとした話題になっていたお馬さんです。

競走馬名はスティルアイライズ(Still I Rise)。

名前の由来は「それでも私は立ち上がる」っていう意味。
小さくても競走馬になることを諦めない、という強い思いが込められています。

実はこの子、ウオッカとダスカのロマン血統ということでYouTubeの「仔馬カメラ」さんで生まれる瞬間もライブ配信されていて、まさに“誕生からずっと見守られてきた存在”。

そんな彼女は、生まれた時からとにかく小さくて。
体重は平均的な仔馬の体重の半分ぐらい。
その後もずっと体が小さくて、競走馬になれるかどうかは正直分からなかったそうです。

でも、1歳の夏を過ぎたあたりからぐんと成長して、「何とかデビューはできるかも?!」と希望が見えては、小さいがゆえに預ける厩舎がなかなか決まらないという苦難もありながら、無事に加藤和宏厩舎に預けることが決まり。

その後もデビューに向けてのゲート試験はクリアできたのは良かったけど、
調教(レースのお稽古)のタイム的に「足が遅い。レースではタイムアウトするぐらい大差負けするかも」と馬主さんから言われるレベル。
デビューせずに養老牧場に入れようか、という話も出たという。

そんな絶望と希望が交互にやってきながら乗り越えて、
ついにスティルアイライズはデビュー戦の日を迎えました。

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10月18日、東京競馬場の第4レースで新馬戦デビュー

現役時代からウオッカが大好きで追っていた私は、まめちゃんのことは要所要所でチェックはしてて。
「これは応援しに行かないと」って思って、久しぶりに現地へ行きました。

初めて生で見たスティルアイライズは、とても意思がしっかりしてそうな子でした。
人がたくさんいても怖がる様子もなく堂々としていて、首を元気に振りながら、威勢よく歩いてて。
むしろ「やる気マンマン!」ってくらい張り切ってるようにも見えました。

でもやっぱり体は小さいし、馬体のバランスも微妙。
ネットでも、フォトパドックでまめちゃんの姿が出た当時からいろいろ言われてました。
「頭が大きい」「前脚が短すぎる」「後ろ脚もマシだけど短い」って。

正直言ってしまえば、中央競馬のサラブレッドたちが“モデル体型の集まり”だとしたら、まめちゃんはそこに混ざった“普通の体型の子”って感じ。

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パドック大好きでひそかに独自研究している私の感覚的には、正直言ってレースで活躍するのは難しそう。馬主さんが言っていた内容もうなずけた。

性格も良さそうだし、賢そうでもあるし、とってもいい子だなぁとは思うけど、体の使い方があまり上手じゃない。
速く走る馬は首と胸から前脚の運びと後脚の蹴り出しがキレイに噛み合って、前へ前へと推進していく歩き方をするんだけど、スティルアイライズの場合、意欲はあるんだけどバタバタ動いていて力が上に上にと逃げてしまっていた。

まだ2歳だし、気持ちが落ち着いて空回らずになることと、体が成長してトモ(お尻)がもう少ししっかりしてくれば、また違ってくるのかなとは思うけど…。とにかく走ることに対して真面目で頑張り屋さん、気持ちが強いというのは良き。ド根性タイプだったウオッカとダイワスカーレット2頭を彷彿とさせる。


そしていざレース

結果的には最下位の18着。
…だったんだけど、ラスト200mぐらいからスパートで加速していったスティルアイライズを目の前で見たら

「速ぇぇぇぇぇ!!!!!!!!」
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ちょ、競走馬ハンパねぇよ!!
スティルアイライズめっちゃ速いじゃん!!!!!!!
あの脚の長さでどうかなとか思ってたけど、スパートめちゃくちゃ速いよ!!!!!

1~2頭抜いたんじゃないか!?と思うほどの迫力と速さをもって駆け抜けていったスティルアイライズを見て涙出た。

スティルアイライズ、めちゃくちゃカッコイイじゃん…!

画面でしか見てないと「なんだよ最下位かよ、遅ぇな」で済まされちゃうかもしれないけどさ、そう言うやつは一回近くで直接見てみ!!!度肝抜かれるぐらい速いぞ!!!!マジだぞ!!!!

しかし、あんなに速いスパートができても最下位。
結果は結果。事実は変わらない。
あらためて競走馬の世界の厳しさも再確認させられた。

データ的なところでいえば斤量(背負う重り)は軽かったとはいえ実際、上がり3ハロン(ゴールまでの600m)のタイムが「34.0」が出せていたのだから言うほど悪い結果ではなかったと思うんだけどね。


競走馬になれない馬も、たくさんいる

でもまめちゃんのことを知って、改めて思ったんですよね。
競走馬になるって、そもそもすごいことなんだなって。
ましてや中央競馬でデビューって本当にすごい。

みんなデビューして当たり前と思いがちだけど、体格や気性、脚の強さ、体質…いろんな要素でデビューすらできずに引退する馬も多い。
もちろん知識では知ってたけど、こうして“顔が見える馬”を通して実感すると、重さが全然違う。

この子は小さいし、見た目のバランスも良くないし、能力も足りない。
調教でもタイムは良くなかったし、馬主さんも「遅い」と言っていた。
実際、デビューはせずに養老牧場に送るっていう選択肢も上がってた。

それでも、彼女は中央競馬でデビューした。
これって本当にすごいことだと思う。


サラブレッドの運命って

まめちゃんを見ていて思ったのは、サラブレッドの世界は「生まれ持った体」で、もう運命が大きく左右されてしまうんだなぁってこと。
怪我もあるし、体調の崩れもあるし、気持ちが折れてしまうことも命取りになる。

競馬って、「華やか」「感動的」って言われることも多いけど、その裏には本当にたくさんの壁がある。
まめちゃんは血統でスポットライトが当たったけど、まめちゃんのような馬はきっと見えないところにいっぱいいるんだろうなぁ。


スティルアイライズの懸命に走る姿に心打たれたこと、
競走馬ってやっぱり速いんだって感動したこと、
称賛を浴びることなき「勝馬」以外の世界を身近に見たこと、
いろいろな思いが渦巻いた1日だった。

ともあれ、とにかく伝えたいのは、

「まめちゃん、デビューおめでとう。これからも無事に!」

ですね。

では!