ども。ギンです。
先日、ちょっと珍しいタイプのタイアップをいただきました。

紹介したゲームタイトルは『SAEKO: Giantess Dating Sim』。
サイコロジカルホラーADVのインディーゲームで、ご依頼いただいたのはHYPER REALさん。

実はHYPER REALさんには以前にも別のタイトルで実況プレイさせていただいたことがあって、そのご縁から今回またお声がけいただきました。
こうして繋がりが続くのって、本当にありがたいことです。

で、この『SAEKO: Giantess Dating Sim』ってどんなゲームなの?って話なんだけど……
ニッチもニッチ、すっごく人を選ぶ系のゲーム。

まず、作ってる人が“巨大娘フェチ”を公言していて、ゲームの世界観もそのまんまそういう方向。小人にされた主人公が巨大娘に飼われるという唯一無二のゲーム体験ができる作品です。

それだけじゃなく、出てくるキャラクターや世界観がとにかく独特で。

小人化してしまった主人公も実はかなり狂っているし、ちょっと猟奇的な女子大生・冴子との関係を軸に、いわゆる“マイノリティ”な性癖や価値観を持った人たちが登場します。

こういう物語と聞いて、「え、なんでそれレビューするの…?」って思う人もいたかもしれません。
実際、私も最初お声がけいただいた時はちょっとびっくりしました。
だって、明らかに女性向けじゃないし、大衆向けでもない。むしろ真逆。

ぶっちゃけ、「なんでこのゲームを私にレビューしてって頼んでくれたんだろう?」って思いました。

でもたぶんね、“ギンなら偏見なくフラットに見てレビューしてくれそう”って思ってもらえたのかなーって。勝手に都合の良い解釈をしました。笑

で、そういう意図で声をかけてくれたのかなぁと(勝手に)汲み取ったらもう、ゲームレビュアーとして腕が鳴るってもんですよ!終始、「この作品は私に何を伝えたいんだろう」って意識をめぐらせながらワクワクした気分でゲームをプレイさせてもらいました。

いつもそうなんだけど、「ゲーム作品」という海にダイブして没入して、味わって、浮上してきて。そうして感じたことたちをレビューや感想動画に起こしていく…という行為が好きなんですよね。今回もとても楽しかったです。

(それに比べると最近の「買った方がいい人動画」は、動画の特性上あえて要点だけをまとめるようにしているので、感想動画よりもアウトプットとしてはちょっと味気ないですよね。あれはあれでいいんだけど。)


■「冴子」というキャラクターについて

ネタバレになるので気になってる方はここでブラウザバックしてほしいのですが。




冴子はおそらくサイコパスで、ナルシズムや官能的(捕食型?)サディスト的な要素を持ったキャラクターです。
人に共感することができず、親密性が欠如していて恋愛感情を抱くこともない。
むしろ他人に加害することで快楽を感じるという、ちょっと特殊な人物。

本人も思考では加害してしまうことを「いけないこと」だと理解している。
けど自分が悦びを感じること、心が反応することはどうにもできない。
倫理観がゼロの悪意のある怪物ではなく、倫理観を搭載していない感じの人でした。

もちろん現実世界であの行為の数々は許されるものではないんですけど、こういう気質・嗜好の人って稀だけどこの世界には確かにいる。
きっと冴子みたいに、自分の内面を隠して“普通のふり”をして生きていたりする。

そんな存在にフォーカスして、それをフィクションとして真正面から描いたこの作品は、かなり攻めているし、挑戦的だなと思いました。

ゲームの中だけは自由に表現できる・許される自由がある──
作中にそんなテーマも感じて、それがとても印象的でした。


■正直この作品、めちゃくちゃ人を選びます…!

本当ーーーにニッチ。マジです。

全体としてかなりダークな世界観だし、間接的とはいえ性的な表現や、グロテスクな描写も多いです。
そういうのが苦手な人には、正直かなりキツいし、気色悪いと思うんじゃないかな。

でも、私はというと……実はこういう世界観、けっこう平気なんですよね。
偏見なく楽しめるタイプというか、鬱系のTRPGとかエログロ系の同人誌とかも昔から好きだったので。笑

だからこそ、この作品が持っている“気持ち悪さ”や“痛み”の奥にある、
「心の闇を抱えた人にそっと寄り添うような優しさ」みたいなものも、ちゃんと感じられた気がします。

比喩ですけど、光がまぶしすぎる人には闇の方が癒しになることもある。
このゲームには、そういう闇に癒されるフェーズの誰かを、そっと抱きしめるような優しさがあると思いました。


■ “好き”を堂々と言える時代になったんだなぁ

制作陣のリーダー・kyp(キプ)さんは、中学生の頃から“巨大娘フェチ”だったそうで。
それを聞いて真っ先に想像したのは、たぶん昔はそれを誰にも言えずにずっと抱えてた少年の姿でした。

でも今は「エロゲー大好きです!」って堂々と書かれていて。
いろんな価値観が(好き嫌いこそあれ)受け入れられやすくなってきた。
そういう時代になったんだなぁと、しみじみ感じました。いい時代だ。

とはいえ自分のフェチや好きなものを、堂々と人前に出して、作品として形にする。
それって恥ずかしさとか怖さとか、色々な感情と向き合った上での覚悟が必要だと思うんです。

その覚悟を持って作品を世に出した制作陣の彼らの姿勢、私はすごくかっこいいなと思いました。


■たぶん、10代で出会ってたらもっと刺さってた

このゲーム、大学生くらいの年齢層を想定して作られてるらしいんですが、それもすごく納得で。
大人と子どもの狭間にいるあの時期って、心がすごく不安定で、闇に惹かれたり、歪んだ感情に共感してしまったりする時期だったなーと振り返ってみて思うんです。

私自身、もし大学生の頃にこの作品に出会ってたら、もっと深く刺さってた気がするし、もしかしたらその頃の自分を救ってくれる作品になっていたかもしれないなって思いました。

登場する小人たち全員に、奇しくもそれぞれちょっとずつ似たような経験があったり共感できる要素があって。プレイ中、いろんなシーンを生きてきた過去の自分のことをすごく思い出しました。


■最後に──

繰り返しにはなりますが『SAEKO: Giantess Dating Sim』は、ものすごくニッチで、かなり人を選ぶ作品です。
でも、どこかに必ずいる「この作品を必要としている人」にとっては、深く心に残る一本になると思います。

私にこのレビューをお願いしてもらえたこと、心から嬉しかったし、レビュアーYouTuberとして冥利に尽きます。タイアップじゃなかったら、きっと一生出会えなかった作品です。

もしこの文章や動画を通して、必要としている誰かにこのゲームが届いたら、それだけで今回のレビューをやった意味があるなって思っています。

いやほんと、めちゃくちゃ良い経験でした。
ありがとうございました。

では。