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マクガイヤーチャンネル 第455号 2026/4/15
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おはようございます。マクガイヤーです。

先日、『渇愛』の岩松あきら監督にご招待頂きまして、シモキタ-エキマエ-シネマ K2にて新作短編映画『愛の挨拶』を観に行きました。『渇愛』と同じく仕掛けてくる映画でした。

https://k2-cinema.com/event/title/667

木曜日まで上映しているそうです。



マクガイヤーチャンネルの今後の放送予定は以下のようになっております。



〇4月20日(月)19時~「『鎧真伝サムライトルーパー』放送記念 プロテクターヒーロー特集」

『鎧真伝サムライトルーパー』が2026年1月6日より放送されています。1988年~1989年にかけて放送された『鎧伝サムライトルーパー』の続編です。当時は『聖闘士星矢』の大ヒットを受けて『サムライトルーパー』が制作されこちらもヒットし、密教バージョンの『天空戦記シュラト』も放送されました。

お友達の虹野ういろうさん(https://x.com/Willow2nd)は、これら一連の作品群は「プロテクターヒーローもの」と呼ぶべきジャンルを形成している――という論をかねてから提唱しています。

そこで『鎧真伝サムライトルーパー』1クール目放送終了に合わせて、ういろうさんを招いてプロテクターヒーローについて詳しくお聞きする番組を放送致します。



〇5月前半(日時未定) 「最近のマクガイヤー 2026年5月号」

・時事ネタ

・『センチュリアン』

・『幸せの、忘れもの。』

・『サンキュー、チャック』

・『アギト 超能力戦争』

・『台湾ハリウッド』

・『LOST LAND ロストランド』

・『ARCO アルコ』

・『オールド・オーク』

・『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』

・『アウトカム』

・『ハムネット』

・『殺手#4(キラー・ナンバー4)』

・『ザ・ブライド!』

・『俺たちのアナコンダ』

・『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』

・『パリに咲くエトワール』

・『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVSブンブンジャー』

その他、いつも通り最近面白かった映画や漫画について、まったりとひとり喋りでお送りします。



〇藤子不二雄Ⓐ、藤子・F・不二雄の作品評論・解説本の通販をしています

当ブロマガの連載をまとめた藤子不二雄Ⓐ作品評論・解説本『本当はFより面白い藤子不二雄Ⓐの話~~童貞と変身と文学青年~~』の通販をしております。

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また、売り切れになっていた『大長編ドラえもん』解説本『大長編ドラえもん徹底解説〜科学と冒険小説と創世記からよむ藤子・F・不二雄〜』ですが、この度電子書籍としてpdfファイルを販売することになりました。

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合わせてお楽しみ下さい。





さて、本日のブロマガですが、『私がビーバーになる時』について書かせて下さい。この映画、わずか104分で『アバター』が5作でやろうとしていることを完全に越えてしまったと思うのですよ。



●『私がビーバーになる時』とは

3/13から公開されている『私がビーバーになる時』ですが、現時点でピクサーの最高傑作だと思うのですよ。

自然と動物を愛する……を通り越してほとんとエコテロリストな主人公メイベル・タナカが、「ホッパー」と呼ばれるロボット動物に意識を転送し、動物たちと意思疎通を図りながら、祖母との思い出が詰まった森の空き地を守ろうとする――というのが『私がビーバーになる時』のあらすじになります。

動物たちは王政をとっており、ビーバーの王ジョージは英国王やハムレットのパロディをするおじさんでありつつ、民を種族ではなく一人一人の個人として認識する(故に名前で呼ぶ)賢王です。人間を含めた登場キャラの中で最も賢く知性があるジョージにより、メイベルの考え方がゆるやかに変わっていく過程が本作最大の魅力です。

ただ、これ自体は白人酋長ものによくあるプロットといって良いかもしれません。面白いのは、後半から予測もつかない展開になることです。

なんとジョージは「哺乳類の王」であり、鳥類・魚類・爬虫類・両生類……それぞれの王が登場します。ジョージを含めて王たちによる「動物大評議会」を開くのですが、昆虫の女王がリーダー格だったり、「同じ哺乳類なのだから人間をなんとかしろ」とか言われるのが最高です。

メイベルは不用意に動物と人間と対立を煽ってしまうのですが、その気になれば動物たちは人間を滅ぼすことができること、『バンビ』のオマージュをやりつつ『ボディ・スナッチャー』や『シャークネード』のそれもやるに至っては、劇場で身悶えしてしまいました。処女長編である『トイストーリー』をブラックにしすぎて怒られた俺たちの大好きなピクサーがとうとう帰ってきた!

正直、予告編を観た段階では映画のルックが地味すぎて、まったく期待していなかったのですよ。しかし、明らかに戦争や反乱、分断の時代における他者との対話の大切さ――世相を反映すると共に普遍的な話を紡ごうとしています。様々なアナロジーが可能な「どうぶつが喋る映画」と戦争テーマは相性が良いわけですが、リアルタイムで大衆の怒りが戦争を煽るさまをみせつけられるたこともあって、感じ入ってしまいました。『リメンバー・ミー』以来となるピクサーのオリジナル作品として最高の初動成績となっているそうですが、納得です。

監督のダニエル・チョンはカートゥーン ネットワーク制作の『ぼくらベアベアーズ』の監督でもありますが、カートゥーン ネットワークとピクサーの悪魔合体感があるのも最高です。

『ぼくらベアベアーズ』は現在U-NEXTで観られるのですが、一時期放送リストから外された『ほら穴を守れ!』や『クマインフル』、やりたい放題の映画版がおすすめです。


そんな傑作『私がビーバーになる時』ですが、わずか一作、104分で、『アバター』が5作でやろうとしていることを完全に越えてしまった映画であるとも思うのですよ。


●「俺なりの『DUNE』」としての『アバター』

これを説明するには、まず『アバター』シリーズがなにをやろうとしているのかを説明しなくてはなりません。

一言でいうと、『アバター』はジェームズ・キャメロンなりの『DUNE』をやろうとしているのです。

「俺なりの『ガンダム』」としての『ドラグナー』や『エヴァンゲリオン』、「俺なりの『ゴジラ』」としての『シン・ゴジラ』や『ゴジラ-1.0』……オタクであるならば人生のどこかで「俺なりの〇〇」をやってやろうという野心を秘めているはずです。で、欧米のそれは『ゴジラ』や『ガンダム』の代わりに『DUNE』や『指輪物語』になります。それが『スター・ウォーズ』であったり『ナウシカ』であったりするわけです(宮崎駿は日本人ですが趣味は欧米児童文学です)。


で、『アバター』は主人公が自然と共に生きる先住民の白人酋長となり、「救世主」として反乱を起こすも悲惨な戦争となる……という『DUNE』をジェームズ・キャメロンなりにやった話だと思うわけです。

具体的に共通点をまとめると以下のようになります。

 『DUNE』『アバター』
先住民の住む土地 アラキス / デューン パンドラ
外来者が狙う資源 メランジ(スパイス) アンオブタニウム
外来者の軍事勢力 ハルコンネン家 RDA社とその傭兵部隊Sec-Ops
先住民 フレメン ナヴィ
誰もが恐れる巨大生物 サンドワーム トゥルーク
先住民と共生する主人公 ポール・アトレイデス ジェイク・サリー
主人公のパートナーとなる先住民 チャニ ネイティリ
技術と超能力 相手を思い通りに動かす「ボイス」と予知能力 遠隔操作される肉体(アバター)に意識を転送する。
救世主としての名前 ムアッディブ トゥルーク・マクト
精神世界への媒介 命の水 魂の木
クローンとして蘇るライバル ダンカン・アイダホ マイルズ・クオリッチ大佐

『アバター』は現在のところ第三作まで製作されています。ドゥニ・ヴィルヌーヴ版『DUNE』と同様に、第三作から「(戦争を煽る)英雄や救世主には注意しろ」的展開となる……かと思ったらなりませんでしたが、第四、五作は確実にそういう展開になると自分は考えています。


●『アバター』越え映画としての『私がビーバーになる時』

で、上の表に『私がビーバーになる時』を加える形で共通点を挙げると以下になります。


 『DUNE』『アバター』『私がビーバーになる時』
先住民の住む土地 アラキス / デューン パンドラ 近くの森の空き地
外来者が狙う資源 メランジ(スパイス) アンオブタニウム 高速道路を通すための土地
外来者の軍事勢力 ハルコンネン家 RDA社とその傭兵部隊Sec-Ops 市の仕事を請け負った建設会社と市警
先住民 フレメン ナヴィ 動物
誰もが恐れる巨大生物 サンドワーム トゥルーク サメ
先住民と共生する主人公 ポール・アトレイデス ジェイク・サリー メイベル・タナカ
主人公のパートナーとなる先住民 チャニ ネイティリ キング・ジョージ
技術と超能力 相手を思い通りに動かす「ボイス」と予知能力 遠隔操作される肉体(アバター)に意識を転送する。 ロボットのビーバー(ホッパー)に意識を転送する。
救世主としての名前 ムアッディブ トゥルーク・マクト 王の「足」
精神世界への媒介 命の水 魂の木 ビーバーのダムと祖母の思い出が詰まった岩
クローンとして蘇る親友にしてライバル ダンカン・アイダホ マイルズ・クオリッチ大佐 虫の女王→タイタスもしくは市長

如何でしょうか。宇宙を股にかける壮大なスペースオペラが、「近くの森の空き地での高速道路建設」という身近過ぎる舞台に置き換えられつつ、本質は外していないところがお分かりいただけると思います。

先住民と共生する主人公が白人男性ではなくアジア人女性なこと、先住民側のパートナーであるキング・ジョージと恋に落ちるのではなくリスペクトで繋がったソウルメイトになるところなどが現代的です。

映画一作、104分にまとめるために様々な要素が改変され省略されていますが、その意味で注目したいのはライバルです。主人公に煽られつつ和解できない虫の女王とその息子が悪役として機能している一方で、最後の最後まで対話を諦めない市長も用意されています。主人公が「事故」で女王を殺してしまうシーンも悪趣味ギャグとして演出されている一方で、タイタスは心の底では主人公を許していない――すべての戦争は恩讐を産むというシリアスな現実を表しているようにも思えます。本作は、アバターが5作かけても到達できない高みに達していると自分は考えています。




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