「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
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 今回は、2026年4月21日(火)配信のテキストをお届けします。

 次回は、2026年05月5日(火)20:00の配信です。

 お楽しみに!

2026-04-21配信のハイライト

  • 「ティム・クック退任でAppleどう変わる?」と「人間より速かったロボマラソン」
  • AIによる小説、AIによるセキュリティ
  • 「AIで人類滅亡?」と「SF超大作『マップス』とAI」
  • 「我々は生まれつきDVオヤジ」と「我慢を捨てたアメリカ」
  • 「アメリカの勝ちはなくなった」イラン戦争とスエズ運河の歴史
  • すべての初等関数を一つの二項演算子と定数1だけで

「ティム・クック退任でAppleどう変わる?」と「人間より速かったロボマラソン」

山路:今日の朝に発表があったニュースからいこうかなと思うんですけれど、

小飼:地震?

山路:それも重要なニュースなんですけれども(笑)、

小飼:それは昨日か、

山路:AppleのCEOのティム・クックが退任することになったという、

小飼:ああ、そうか、船長引退かと言ってもなんか、取締役会からは抜けないんだよね、

山路:会長になるんでしたかね、

小飼:普通会長って議決権、差し出しちゃうんだけど、それは握ってるみたい、なんかそこ日本的だなみたいな。ただまあ1票だけだし、まぁ社長が会長になったという、すごい日本的、社長が会長になる、ですね。それが実現するのは9月1日でしたっけ、もう少し時間がある、

山路:なんていうか、すごく円満な退任だったなと思って。

小飼:あのさ、時価総額10倍に上げてさ、売上高を4倍にしてさ、これで文句出されたら本当に、どこ文句出すんだって言ったんだけど。でもね、Appleぐらい期待が大きい会社というのはやっぱいくらでも出てくるんですよ。Siriが相変わらずバカすぎるとかって。いや、だからお前の言ってるAIって、この程度? いくらでも出てくる。

山路:6月のiOS27が楽しみですけどもね。ティム・クックは創業社長じゃなくて、

小飼:Vision Proってあれ一体今後どうなるのかとかね、本当にいくらでも文句出るんです、

山路:最近私、Vision Pro毎日のように使ってますけどね、

小飼:ほう、

山路:寝ながらマンガを読むのに非常にすばらしいデバイスなんで(笑)、

小飼:あとマウスの充電なんとかしてくれとかね。ましてや今度のCEOというのは、

山路:ジョン・ターナス、

小飼:そうそう、ハードウェアのトップなので。真っ先にマウスの充電口をなんとかしやがれ、です。だからあれは本当にunAppleですよ、本当にApple Pencilどうするんだ、みたいなね。

山路:それにしてもティム・クック、うまく立ち回りましたよね、いろんなところで。トランプにも過度におもねらず、

小飼:いや、あれは見たくなかったな、あれの前に引退しとくべきだったなーと、個人的には思う、

山路:黄金のなんたらみたいなのを贈呈してとか(笑)、

小飼:いや本当に。でも、ああいう泥臭いこともできるし、ちゃんとやる人だっていうのは大口投資家に対してはものすごいプラスの評価でしたね。

山路:絶対にジョブズにはできなかったこと。

小飼:無理無理無理。

山路:まあ見てみたかった気もしますけどもね、

小飼:いや、ジョブズだったら本当にハリセンじゃなくて、その時に出てた最新のiPhoneで殴りつけますよ、助走つけて。いや、だからよかった、ジョブズが鬼籍に入ってて。

山路:よかったっつーのも変な話だが、

小飼:いや、だから2024年の選挙中にトランプが狙撃された時があったじゃないですか、

山路:耳を撃たれた、

小飼:そうそうそう、だからあれが本当か嘘かっていうのは、また再びゴシップになってるんですけれども、それはさておき、その時の狙撃犯は逃しても、ジョブズだったら絶対逃しません、仕留めてました(笑)。だから先に亡くなっててよかったね、よかったねっていうのは言い過ぎだとは思いますけれども、他にどういう言い方すればいいのかわかんない。

山路:しかしティム・クックって最初、ジョブズから交代した時ってAppleの株がすごい下がったじゃないですか、カリスマ経営者からいきなり、え、誰なん? みたいな感じで。

小飼:知る人ぞ知るという、

山路:だけどロジスティックスの鬼というか、

小飼:いや本当に。ジョブズの時よりも2桁、桁が二つ上がってるんですよ。

山路:時価総額とか売り上げとかそういう、

小飼:いや、生産力、

山路:生産力ね、ジョブズの時代の管理体制ではそんなことはできなかった、

小飼:ジョブズの時にもかなり上がってて、Appleの時価総額はMicrosoftやGoogleを抜いてITでトップ、だからその上にはサウジアラムコしかなかったと(※編注:エクソンモービルの誤り)。今やサウジアラムコもその下ですけれども。とにかくもう米国の株式の時価総額でトップに、ジョブスの時点でいたんですよ。その時からさらに10倍上げてるわけですよね(笑)。

山路:ただそれって世界の資本の動きみたいなものっていうのが、ものすごく変わっちゃったからの気もするんですけどもね。

小飼:も、あるんですけれども、でもAppleのなかなかすごいなっていうところっていうのは本当にコールドキャッシュをジャラジャラ稼いでる本という本当に金のなる大木なんですよね、

山路:製品の当たり外れとかにも左右されないような仕組みも作りましたしね。

小飼:まぁあっちが外れても、こっちでリカバーできるという体制ですかね。それでもね、やっぱりマウスなんとかしろよ、あれは本当に、あのさ、恥の概念ってどこに行ったんだよ。

山路:なんかLightningからUSB-Cに変わった時も変えねえっていう(笑)、

小飼:あれは本当に恥ずかしい。だから、あれに匹敵する、embarrasingな何かっていうのは競合他社の場合、どこだろうね。

「ジョブズはホームボタン廃止をどう思うのかな」(コメント)

山路:でも、ジョブズはティム・クックに継がせる時に、俺だったらどうするか考えるとか、そういうことはすんなって言ったそうですからね。

小飼:それもあるし、当初案ではホームボタンってなかったんですよ、じつは。なんだけど、これがないとユーザーすごい困るだろうと。とにかく迷子になったらここ押せというものがあるというのは、すごい強いよね、ありがたいよねっていうのでつけて、ずっとついてたんですけども。で、十分多くのユーザーのiPhoneに慣れたところでFaceIDにしますって言って、FaceIDも受け入れられたところで、十分経ってから廃止しますって言ったんですけれども、じつは僕のメインのiPhoneってSE2なんですよ。TouchIDマシンなんですよね。で、まだ最新のOSが動きます。

山路:次ぐらいがヤバい感じですか?

小飼:どうなんでしょうね、でも確かにバッテリーがけっこうヘタってきたんで。Apple Care延長して入ってるんで、バッテリーの交換は無料でできるんですよ、どうしたもんかね(笑)。

「クックもサプライチェーンの中国依存リスクに気づくのは遅かった?」(コメント)

山路:って質問、

小飼:ジョブズの時代から気がついて、iPhoneの組み立てをやってるところというのは当初はFoxconnだけだったんですけど、その後Pegatronとか複数出てきたんです。中国だけではなくて、インドでやったり、ブラジルでやったり、

山路:ベトナムもありましたよね、

小飼:ベトナムも増えてきました。今は昔のApple製品の箱っていうのはDesigned by Apple in California Assembled in Chinaって書いてあったんですけども、今in Chinaがないんですよ、だからどこで最終組み立てやってたかっていうのがエンドユーザーにはすぐにはわからない仕組みになってきたんですよね。要するにチャイナとは限らないと。

山路:よくその規模の生産をインドとかに分散できたなとも思うけど、それすごいなとも思うんですけどね。

小飼:ねえ、

山路:そんな組み立て工場を分散できるのは並大抵のことではないですよね、

小飼:ではないです、

山路:それができるんだらみんなやってるわって話で。

小飼:Appleっていうのは本当にマイクロマネジメントの会社なので、お前らに任せた、で済んでたはずが絶対ないんですよ。

山路:なるほどね、もう、

小飼:本当に最後のもう本当にlast 1 inchどころかlast 1 mmまで口を突っ込んでたはずなんですよ。そのために中国までは定期便飛ばしてたというのか、飛ばさせてたんですよね。そのためにサンフランシスコ国際空港にApple専用ブリッジを作らせて、

山路:ブリッジまで作ったんですか(笑)、

小飼:そうです。定期便を飛ばしてたと。毎日50人くらい本当にAppleのエンジニアが行ったり来たりするような体制を作ってた。

山路:そこの製造ということに関して、かなりAppleは小さい企業からノウハウもかっ払って、どんどん自分のものにしてみたみたいな話も聞きますけどね。

小飼:本当それそれ、

山路:そこのところ黒いというか、かなりずるいやり方を恨んでる人もいるとは聞きますけどね、

小飼:それは相変わらずのアメリカ資本主義というのか、の権化だったんですけれども、でもそれでもアメリカ資本主義のAppleが勝てなかったやつ、少し撤退するしかなかった領域というのもあって、なんだと思います? Appleが勝てなかったやつ。

山路:えーっと、車、

小飼:そういう答えも中国を見てればあるとは思うんですけれども、だから車でなくて、iPhoneの中身。

山路:イメージセンサー?

小飼:あーまぁでもそれは、ソニーとは良好な関係にありますし、さらにSamsungからも買おうとかしてますし、

山路:うーん、メモリーもあれだし、なんだろう、バッテリーか、

小飼:モデムなんです、

山路:ああ、モデムか、

小飼:セルラーのモデムなんですよ。これ、自分で設計して製造はIntelにやらせようっていう。で、やったんですけれども、案の定Qualcommから特許侵害に訴えられて、負けたわけですよね。

山路:あれ? でも、弾さんも使ってるiPhone Airって、Appleのモデムチップ積んでませんでした?

小飼:いやー、だから賠償金を払った上で元に戻すわけですよ。

山路:あっ、えっ? あれは入ってないのか? 結局。

小飼:要は半導体の、チップのIPというのを全部、自分のところで持とうとしてたんですけれど。5Gに関してはQualcommを使うしかないと。そうでないと特許侵害になってしまうから(※編注:2025年9月発売のiPhone Airには、モデムチップとしてAppleが開発した「C1X」が搭載されている)。

山路:ほうほうほう。そうかそうか。

小飼:そういうこともあるんですよ。だから自分の製品なのに、どうしても外部のやつを使わざるを得ないっていう。それに比べればイメージセンサーとか、ソニーがダメなのか、じゃあしゃあねえ、Samsungから買うかとかっていうことができるんですけども。ちなみにですね、イメージセンサーに関しては自分のところで設計図を持ってた、持ってるっていうだけでは、じつはやっぱりどうしようもなくて(笑)。やっぱり物理との境界線なので。今のイメージセンサーっていうのは、ものすごく薄く研ぐんですよ。なんでものすごい薄く研ぐかっていうと、バックサイドイルミネーションって言って、要は光センサーがある面と、そこからの電気信号を受け取って多少の処理をしてCPUその他の電気回路に流す部分っていうのが、ちょうど表裏になってて。この部分っていうのは厚くできないんですよ。で、要はものすごい薄く削るわけですよね。だから普通のチップとは作り方が違うんですよね。

山路:なんかMEMSというか、

小飼:だからその部分っていうのはソニーかSamsungに任せてます。そこの部分っていうのはTSMCではやってないです。TSMCもノウハウ持ってないですし、TSMCはもっと儲かる仕事をやっているので、はっきり言って(笑)。まぁでも別の意味でハイテクですよ。

「これからの新体制の新体制Appleは攻めに出るか、守りに入るか」(コメント)

山路:そのハードウェアエンジニア出身のジョン・ターナスさんがCEOになって、なんかこれで変わると思います?

小飼:どうなんでしょうね。

山路:ジョン・ターナスさんってそもそも何やってた人なんですかね?

小飼:ハードウェアの親玉ですよ。iPhoneのAシリーズも、

山路:基調講演にも出てましたっけ?

小飼:iPadの、本当に、同じAシリーズのProシリーズですとか。なんといっても、Mac用のApple Siliconだから、Mシリーズをちゃんと軌道に乗せたということで。

山路:これなんか世の中的に言われてるのが、AppleはとにかくAIに出遅れてて、AIに注力しなきゃいけないのに周回遅れ、みたいなことよく言われてるじゃないですか。

小飼:だけれども、それでも全体の業績に響かなくしたのも、クックの業績なので。

山路:これ、ハードウェアエンジニア出身、今まで言ってみたらバックオフィスの出身の人がCEOだったのが、今度はハードウェアの開発のほうの人がトップになる、それでなんかこうやっぱり製品とか変わってきたりするんですかね? よく、クック時代はそんなに新しい製品出なかったんじゃないのみたいな言われ方もすることありますけど。

小飼:でも、そうは言ってもApple Watch出たし、

山路:AirPodsも出してますね。

小飼:AirPodsも出たし。この両製品っていうのはすでにiPhoneのユーザーになった人がAppleのエコシステムから抜け出せなくするような、本当に檻の格子のような役割をするプロダクツだったわけですよね。

山路:ああ、AppleWatch使えないとちょっとやっぱり乗り移れねえなというところがありますもんね。いやいや、これから本当にどうなるかわかんないですけども。

小飼:本当にリンゴ沼ですよ。だから、本当に沼師だったわけです、沼ナマズだったわけです、クック船長。15年間お疲れ様でしたと言っても、9月1日までは、9月1日というのか、逆算すると8月末日までは現行体制が続くわけですよ。

山路:じゃあちょっとこれまたAI絡みというか、IT絡みというかAI絡みのネタなんですけど。

小飼:これの受け止め方がなんと言えばいいのかな、本当に日本のウヨの皆さんは本当にまとめて逝ってヨシというのか。(このレースには)玄人も参加してたし、素人も参加してたし、素人のやつが本当に用意ドンですっ転んでバラバラになるやつとかだけをあげて、