
RIZIN仙台で扇久保博正のベルトに挑戦する神龍誠インタビューです!(聞き手/松下ミワ)
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――扇久保博正選手とのケージ上での煽り合い、素晴らしかったです!
――スミマセン(笑)。試合も素晴らしかったんですけど、お2人の煽りが素晴らしすぎて。
神龍 まあ、たしかにそこも盛り上がってたんじゃないですかねー。
――あれ、言い争いをしているうちにだんだん2人のスイッチが入っていったような雰囲気を感じたんですけど。
神龍 まあ、あっちは怒ってたんじゃないですか?
――神龍選手は?
神龍 ボクはもともとキライやし、そのままの気持ちを出しただけなんで、べつに乱されたりもしてないですけど。まあ、途中でちょっとスイッチが入ったかもしれないですけど、全然落ち着いてましたよ。でも、マイクの変な反響のせいで、ボクが大根役者みたいになっちゃったんですけどね。
――え、そうでしたっけ?
神龍 友達に言われたんですよ。大根役者みたいだったって。ケージの上って音の跳ね返りが凄いから自分の声もわからなくなるんですよね。でも、大根役者と言われても、べつにつくってやっているわけじゃないんで。扇久保は緊張して震えてたし「噛むなよ」とは思いましたけど。
――き、厳しい! 結果として仙台大会でのフライ級タイトルマッチも決まりましたし、神龍選手の思惑どおりでしたね。
神龍 最高ですね。いい勝ち方もできて、一番いいストーリーでつなげられたかなって。
神龍 そうなんですよ。ボクが負けてたり、いい勝ち方ができなかったらマイクも持たせてもらえてなかったと思うし。「いい勝ち方ができたらケンカを売っていいよ」とは言われてたんですけどね。

――しかも前回の対戦ではけっこう煽り合いもキツめでしたけど、今回はスマートで。
神龍 でも、ここから先どうなるかわかんないですよ。ボクは便所掃除なんてべつにどうでもいいんですよ。一番は父親のことを馬鹿にされたのが気に食わなくて。前回、それで試合が終わったら「俺が全部悪かった、ごめんな」とか言ってたじゃないですか。それで済ませんなよって。ボクは自分が負けてるからそうは言えなかったんですけど、本当はそう思ってるし。
――扇久保選手としては和解したいということだったんでしょうかね。
神龍 でも和解が成立するのはボクが和解したいと思ったときですよ。今回も向こうは便所掃除のことを持ち出してふざけてきたけど、仲良しこよしする気はないんでね。いまから人生の奪い合いをするし、そこで変に笑いに走るつもりはないですね。
――ちなみに、前の対戦は意外ともう2年も前なんですね。
神龍 いやあ、怖いですよ。時が流れるのが早すぎて。でも、ボク自身は年4試合してるから、けっこう経験を積めたんじゃないですかね。
――前回は判定決着でしたが、いま考えるともう一歩だったなと思う部分はどのへんだったんでしょう?
神龍 うーん、もう一歩というより、あのときは判定で勝ってたと思っちゃったんですよ。ボクのほうが的確に顔に打撃を当ててたし、負けてるという認識もなかったから、舞台裏の映像でも「なんで負けたんだろう……」って。でも、どこが判定のポイントなのかという部分で、ペチペチ当ててるローキック、あのダメージのない攻撃でも手数にはなるから。そこをあらためて自分の中に落とし込んだっすね。
――また、前回と違ってRIZINは判定がラウンドマストになりました。今回はそこもしっかり把握してという。
――変更前といまと比べてどちらがわかりやすいですか?
神龍 どうなんですかね? ラウンドマストのほうが、わかりやすいとは思いますね。「このラウンドを落としたな」「ここは取ったな」とか、なんとなくわかるじゃないですか。トータルマストは15分で考えるから、1分刻みで「いまの1分はどっちだろう」という、それを加算しながらやっているんで。それって、セコンドの負担は大きいじゃないですか。ボクは試合に集中するんで、判断はセコンドに任せてるんで。
――というか、そんな1分刻みで繊細にやってたんですね。
神龍 だって判定で負けるのが一番イヤなんで。でも、今回の福岡大会もスプリット判定があったじゃないですか。あれ怖いですね。たぶん、審判団もまだ認識が統一されていないのか……。堀江(圭功)選手とパトリッキー・ピットブルの試合は割れ方がエグいし。ああいうのは怖いです。選手としては、それで負けるのが一番イヤなんで。
――たしかに。判定決着になる可能性も含めて、勝敗を分けるポイントはどこになりそうですか?
神龍 まあ、ボクがやりたいことやれれば勝てるっす。能力的なものは全部負けてないし。あっちがいまやってるのはポイントゲームだったりするから、そこだけやらせなければまず負ける要素はないと思っています。
――やはり判定は見据えつつ。
神龍 あとは大きいパンチを振ってくるんで、それだけ被弾しないように。スピードではボクが圧倒しているから、そういう一撃を狙ってくると思うんですよ。ただ、今回はボクが勝ちますよ。
――そう言えるのも、やはりズールー戦が自信になった部分があるんですかね。本当にいい勝ち方でしたし。
神龍 やっと、その話に辿り着きましたね!(笑)。
――スミマセン、遅くなりました!
神龍 いや、今回の試合は自分の中でもこれまでやってきたことがちょうど噛み合ってきたのかなという感覚がありました。

――警戒してたのはやっぱり打撃だったんですか?
神龍 まあ、そうです。ボクとズールーって組みでは圧倒的に差があると思ってたんで。でも打撃勝負しないで組みだけ狙いにいくとやっぱり蹴られちゃうし。打撃でもしっかり上回ったうえで組むという理想のかたちだったと思います。
――最初、しっかり打撃勝負されてますもんね。
神龍 しかも、組みもボクからタックルにいったわけじゃないですからね。
――ズールー選手の蹴りをキャッチしてグラウンドの展開になって。
神龍 もともと打撃はずっとやってきていたんですけど、それがやっと出たというか。打撃も練習の成果がいきなり1カ月で出るわけじゃないじゃないですか。1年経ってやっと出るみたいな感じだから。ボク自身も前々からやってて、そこがやっと出てきてるのかなって。
――それは、ATTに行く前からの積み重ねもあって?
神龍 ATTに行く前からですね。長く練習していると、やっぱ全然引き出しが増えるんで。そういう意味ではボクは打撃もセンスがあると思ってるし、自分で目はいいと思っているんでね。
――ズールー選手といえばフライ級GPで伊藤裕樹選手がいい勝ち方をしましたが、そのへんもプレッシャーはありました?
神龍 まあ、伊藤以上の試合をするのは絶対条件ですよ。
――試合前、SNSでも絡まれてましたけど(笑)。
神龍 ……なんかありましたっけ?
――青い髪でフォトセッションに臨んだ神龍選手に対して「さては女できたな」みたいな。
神龍 ああ~、しつこいですねえ。アイツ永遠に絡んでくるから、どっかでもう1回ボコさないと。
――伊藤選手も神龍選手にリベンジしたい気持ちがあるんでしょうね。
神龍 まあ、チャンピオン目指すうえではボクを超えなくちゃいけないですからね。
――そんな伊藤選手との絡みも含めて、ズールー選手との試合は面白かったです。
神龍 まあ盛り上がったんじゃないですか? 堀口(恭司)さんとも戦っているし、伊藤ともやってるし、ボクで4戦目だったのかな? RIZINでいうと。
――これで春夏秋冬を一周したという。
神龍 そうです。最後の春ズールーはボクとの試合だったという。でも、夏は明らか調子悪そうでしたけどね。あの伊藤裕樹戦。
――え、そうでしたっけ?
神龍 YouTubeで見返してほしいんですけど、夏の公開計量のときのズールーの表情がめっちゃ悪いんですよ。凄く目がうつろなんです。あれ、ガチで体調悪かったんやなって。なんか(山本)アーセンさんのYouTubeで言ってたのは、夏ズールーは計量終わってゲロ吐いてたらしいです。
――えー! じゃあリアルに調子悪かったんですね……。
神龍 なんか当たったんですかね? 夏だったし。
――じゃあ、ズールー選手もギリギリの戦いだったという。
神龍 そのわりにはやっぱり強かったし、体調不良でしっかり3ラウンド戦っていたんで。途中でスタミナが切れなければ伊藤にも勝てたと思うし。
――微妙に伊藤選手を牽制してますね(笑)。ちなみに、TRIBEの長南亮さんの投稿で試合後にダニー・サバテロ、ナターシャ・クジュティナとATT勢3人で映像に映っていたのも、なんだか話題になってますよねえ。