みなさんこんにちは、そして、こんばんは。及川幸久です。

毎月第1金曜恒例、Kダブシャインさん、ウマヅラビデオさんとの鼎談「おいウマシャインの世界のニュース!ゆるトーク」。第3回となる今回も、国際政治×都市伝説×ヒップホップの3つの視点で、9月の世界を振り返りました。

今回のラインナップは、バチカンを牛耳る「灰色の教皇」、エド・シーランを巻き込んだ音楽界の分断、スペイン・セウタ移民のその後、「南海トラフの嘘」と熱移送説、中間選挙直前のアメリカ、そしてAIをめぐってバーニー・サンダースとスティーブ・バノンという真逆の2人が合流した話――盛りだくさんです。

冒頭はAI談義から始まりました。アメリカの音楽業界ではメジャーレーベルがAI使用を自主規制中で、アルバムジャケットにAIを使ったバンドが批判を浴びているとKダブさん。ウマヅラさんも「AIサムネの動画は再生されていない印象がある。人間はあの違和感を潜在的に感じ取っているのでは」と、人間の手作り感こそが差別化になりつつあるという、先々週のニコ生(第214回)とつながる話になりました。

そしてゲストの近況を2つ。Kダブシャインさんのアルバム『新日本人』が今年でリリース10周年。「社会を批判するだけでなく、日本人自身が時代に応じて自分を新しくしていく」というメッセージが込められた一枚です。ウマヅラさんは9月29日に30歳の誕生日を迎えられました(おめでとうございます)。また、ホリプロが運営するホラーYouTubeチャンネル「未明ファイル」に、Kダブさんがナザレンコさんらと出演。政治的立場がまったく違う者同士が「怖い話」では同じテーブルを囲める――右も左もないホラーというジャンルの面白さを感じるキャスティングで、実は次回には、ウマヅラさんと私も出演する回が収録済みです。

■ 都市伝説の終着点はバチカン――「灰色の教皇」とは何者か

最初のメインテーマは、ウマヅラさんの独壇場です。

いろんな都市伝説や陰謀論を追いかけていくと、最後に行き着く場所がある。それがバチカンだ――とウマヅラさんは言います。

表に出ているのは「白い教皇」、現在のレオ14世です。その裏に「黒い教皇」と呼ばれる存在がいる。イエズス会の総長です(少し前の総長アドルフォ・ニコラス氏は、日本の上智大学で教えていた人物でした)。

では「灰色の教皇(グレイ・ポープ)」とは何か。白にも黒にもつかず、その両方に影響力を持つ、表には決して出てこない第3の存在――それがローマ貴族のオルシーニ家だというのです。

鍵になるのが「黒い貴族(ブラック・ノビリティ)」という概念です。古代フェニキアから続くとされる欧州の貴族階級で、ローマ教皇領が失われたときに黒い喪服を着て喪に服したことからこの名がついた。ファルネーゼ家、サヴォイア家など複数の家がありますが、その頂点に立つのがオルシーニ家。ロックフェラーやロスチャイルドは世界の権力者として「表」に見えている存在ですが、都市伝説の世界では、そのロスチャイルドすら「金庫番」として使っていたのがこの貴族階級だと語られます。

現在の当主は、普段は一実業家としてごくまれに表に出てくる程度。いまの世の中で直接の実行力を振るっているわけではない。しかし歴史の中で教皇を輩出し、社会の枠組みそのものを作ってきた「基盤としての力」があるから、イーロン・マスクのような現代の権力者にいつでもアクセスできる――これが灰色たるゆえんです。

もう一つ、興味深い系譜の話がありました。オルシーニ家とマッシモ家の源流は、古代ローマのファビウス・マクシムス将軍。カルタゴの名将ハンニバルに正面から戦っては勝てないと見て、内部からじわじわ崩壊させる持久戦で勝った人物です。この「武力を使わず、内側からゆっくり変える」というモットーを受け継いだのが、イギリスのフェビアン協会――シンボルマークは亀です――であり、テクノロジーで社会構造を内側から変えていく現代のグローバリズムの源流だというのです。そしてウマヅラさんによれば、この血筋の話は、あのエプスタインにまでつながっていく――。

Kダブさんによれば、プロテスタントが多いアメリカではバチカン系の話はあまり語られないそうです。ただ、いまの政権はJ・D・ヴァンス、ルビオなどカトリックの閣僚がいつになく多い。頭の片隅に置いておきたい視点です。

■ なぜエド・シーランは炎上したのか――音楽界を引き裂くパレスチナ

もう一つの前半テーマは、Kダブさんの本職、音楽界の話です。

グラミー賞を4度受賞したイギリスの人気シンガーソングライター、エド・シーラン。彼のツアーで起きた騒動が、アメリカの音楽界を引き裂いています。

発端は、ツアーのオープニングアクトを務めていたラッパーのマックルモアです。彼は筋金入りのリベラルで、ステージ上でパレスチナの旗をまとい、「フリー・パレスチナ」を訴えました。問題視されたのは「from the river to the sea」というフレーズ。パレスチナ解放のスローガンですが、「イスラエル人をすべて追い出せ」という意味にもなるという解釈があり、いまのアメリカ、特に保守側では反ユダヤ主義の言葉と見なされているのです。

ここで動いたのが、ツアーのプロモーターでスタジアムのオーナー、NFLニューイングランド・ペイトリオッツのロバート・クラフト氏――ユダヤ系の大富豪です。「マックルモアには自分のスタジアムを使わせない」。エド・シーランはやむなく彼をツアーから外しました。

すると今度は、エド・シーランが「仲間を守らなかった」と叩かれ始めます。他のオープニングアクトもバックバンドも降板し、彼は一人で機材を鳴らしてステージをこなす日もあったそうです。背後には、ADL(名誉毀損防止同盟)のようなイスラエル系圧力団体の存在も指摘されています。

Kダブさんの見方はこうです。「エドはイギリス人で、アメリカのゴタゴタに巻き込まれただけ。かわいそうだ」。実際、客はエド・シーランの音楽を聴きに来ているのであって、政治的メッセージを聞きに来ているわけではない。ツアーはその後もソールドアウトが続いています。

イスラエル・ハマス戦争以来、パレスチナ問題はアメリカの分断の火種になりました。Kダブさんが最後に言ったことが印象的でした。「ナラティブが分かれたまま、お互いに議論しないのが一番の問題。簡単に白か黒か言わない方がいい。ただ、ネタニヤフが正義の味方だとは、どう見ても思えない」。

さて、ここまでが無料パートです。この続き――「南海トラフ」という言葉がいつ、なぜ生まれたのかという衝撃の話、欧州議会が「侵略」と認めたセウタ移民のその後、米中首脳会談で見せた習近平の異変、サンダースとバノンが共闘する理由、そしてスピルバーグの新作映画まで――は、会員限定パートでお届けします。

■ お知らせ

来週10月9日のニコ生は、カナダ人ニュースのやまたつさんがゲスト出演です。カナダの移民問題、9月の国連総会で見えた反グローバリズムの流れなど、久々の共演でじっくり語ります。ぜひ予約を。

新刊『伝え方は「間」が9割』(Wisdom Books)は10月7日発刊。その発刊記念YouTubeライブを10月5日(月)20時から、Wisdom Booksのチャンネルで行います。ゲストは、韻を踏む言葉のプロ・Kダブシャインさんと、ラジオパーソナリティのトムセン陽子さん。本の巻末にはASKAさんの特別寄稿も入っています。全国の書店での書店セミナー&サイン会、無料で登録できるWisdom Books公式プラットフォームの情報とあわせて、概要欄をご覧ください。

ウマヅラさんの30歳バースデーイベント(10月・渋谷、チケット制のオフ会)と、アパレルブランドMUSEとのコラボ(「ニューワールドオーダー」がコンセプト、10月14日まで受注生産)も、ウマヅラさんのXから申し込めます。