na85さん のコメント
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第52号 2013.9.3発行
「小林よしのりライジング」 『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。 毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、よしりんの心を揺さぶった“娯楽の数々”を紹介する「カルチャークラブ」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、珍妙な商品が盛り沢山(!?)の『おぼっちゃまくん』キャラクターグッズを紹介する「茶魔ちゃま秘宝館」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが無限に想像をふくらませ、とことん自由に笑える「日本神話」の世界を語る「もくれんの『ザ・神様!』、秘書によるよしりん観察記「今週のよしりん」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)
【今週のお知らせ】 ※理性など軽く吹き飛ばしてしまう「男の性欲」。果たして性欲に支配される男を待つのは、人々の同情か?軽蔑か?今週の「ゴーマニズム宣言」は今夏に起こった、世にも奇妙で滑稽な性犯罪を爆笑分析!! ※「もくれんの『ザ・神様!』」根之堅州国(ネノカタスクニ)を訪れたオオナムチ。「あはん♥」な出会いをしたスセリビメの父親は、なんとあの暴れん坊将軍スサノオノミコトだった!!オヤジ・ザ・スサノオによる恐怖のシゴキに、オオナムチは耐えられるのか!? ※『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて、一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」!今回は企画始まって以来の大激戦に!!おったまゲタ~っしゅ!! 【今週の目次】 1.ゴーマニズム宣言・第54回「真夏の性欲の狂宴」 2.しゃべらせてクリ!・第14回「ぽっくん、沙麻代ちゃんを警備しまーしゅ!の巻」 3.もくれんの「ザ・神様!」・第16回「第16回 オヤジ・ザ・スサノオ、恐怖のシゴキ!!」 4.よしりん漫画宝庫・第50回「よしりん漫画はバトル・ストーリー!」 5.Q&Aコーナー 6.新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど) 7.読者から寄せられた感想・ご要望など 8.編集後記
第54回「真夏の性欲の狂宴」 人間は性欲に衝き動かされてみっともなく生きている。特に男の性欲は理性など軽く吹き飛ばす。 その性欲もまっすぐに女性への求愛に向かうよりも、屈折した経路を辿って思いもよらない現われ方をする場合がある。 しかもそれは夏という時期に偏るのだから、男はゴキブリ並みの単なる生物である。 大阪で、8月12日、夜10時40分ごろ、ハシゴを使っておよそ5.2メートルの高さの屋上に登り、露天風呂の女湯を覗いていた31歳の男が逮捕された。 なんとこの男、消防士だったのだ! 銭湯の主人が、ハシゴがあるのに気づいて不審に思い、登っていって男の背後から「何しとるんや!」と一喝すると、男は驚いて屋上から地面へジャンプし、そこから走ってフェンスを越えて逃げて行ったという。 消防士で普段いろいろな訓練をしているのが、こんなところに活かされてしまったということなのだが、結局、逃げる際に右足のかかとと腰を骨折して2ヶ月の重傷、逮捕されて「 妻と不仲で、女性の裸を見たかった 」と動機を供述しているという。 この一件は、性欲の暴走と消防士のプロ意識が見事に重なった、実にドラマチックな痴漢犯罪である。 おそらくこの男、根っからの消防士であり、高いところに上って女の裸を覗かないと、興奮しないのだろう。 「高所裸体症」という職業病に罹っているのだ。 今どき女の裸なんて、アダルトビデオやネットなどで、手軽に存分に見ることができる。何の障害もなく、何のリスクもなく、お手軽に見られる女体が世の中には氾濫している。 だがこの消防士は安価で安全な女体などに価値を見いだせなかった。あえてハシゴを掛け、高所に上る危険を冒して、二次元でなく、立体的な女体を覗くという行為こそが、彼の性欲を真に開放する手段だったのである。まさに「 消防士の業 」というものであろう。 「妻と不仲で、女性の裸を見たかった」と言ったらしいが、なぜ不仲になったのか? 「高い所で脱いでくれ」という男の要求を妻が呑まなかったからだと容易に推察される。 夫婦ではしごを上って、下界を見下ろしながら愛を交わしたいという男の要求になぜ妻が応えてあげなかったのか? 妻が消防士の業を理解していさえすれば、男は犯罪者にはならなかったのだから、この事件の真の責任者は妻であると考えるべきである。 一方、8月24日には、神奈川県横浜市中区に住む無職の35歳男性が窃盗容疑で逮捕され、その自宅からはポリ袋に入った 200個のサドル が発見された。 逮捕された男は警察の取り調べに、「 女性の臭いを嗅ぎたかった。自分は革フェチ。ビニール製のサドルはダメ。革製だけ。盗んだサドルを家に持ち帰り、臭いを嗅いだり舐めたりしていた 」と話しているという。 子ども用のシートがついた電動自転車など、女性が乗っていそうな自転車を狙って犯行を繰り返していたとみられ、「 サドルの匂いを嗅げば、女性が座っていたか分かる 」とも話しているそうだ。 恐るべき嗅覚と味覚の持ち主である。 男の股間を擦り付けたサドルだったどうする?吐き気で悶絶するはずではないか。
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!
今回の「ゴー戦」は中東情勢みたいなシリアスな内容かな?と思っていたらとんでもない、還暦を迎えられたよしりん師範が最初に書かれたのは初心に還ったような「初期ゴー宣」的内容でびっくりでした。そして滑稽な事件についての大真面目な解説が大笑いでした。
1件目の痴漢消防士にはおそらく、快楽はリスクの報酬であるという固定観念があり、彼の消防士というアイデンティティからそれは消防士が最も輝ける高所でなければならなかったのでしょう。師範の「真の責任者は(消防士の業を理解しない)妻であると考えるべきである」という結論に吹き出してしまいました。
2件目のサドル窃盗犯に加えた師範の解説では「オリジナリティ溢れる珍味」「股間の味わいは短時間である」「女股間サドルはクセになる珍味」「特殊なグルメ」「この男を満足させるコクのある股間味」というチン語の数々が可笑しくて可笑しくて笑いを堪えるのが大変でした。おそらくこの犯人は単なる革製品と女性の股間との密着による不自然に作成された産物では満足しないはずです。普通に日々の生活を送る女性が持つ温もりを、性衝動と結びついたことにより股間の芳香という形で得たかったのでしょう。つまり今後特定の女性が革ボンデージを着けても満たされる可能性は薄いと思われます。
3件目の側溝覗き男では、師範の「『あなたは将来何になりたいですか?』と問われて、『道になりたい』と答える若者がいたら、哲学者だと思うに違いない。答えが深淵すぎるのである。」という大真面目な解説が最高に可笑しかったです。このケースも、たとえリスクが大きくなかなか満足が得られなくても、だからこそ余計に固執したのでしょう。危険で特殊な任務を負ったスパイや工作員のような心境で臨み、報酬としての女子のスカートの中の映像を脳裏に焼き付けて満足するのでしょう。
「男たちはリスクを恐れなかった」「ただ満足感を得たかった」「たとえ公衆道徳に反していたとしても」などという田口トモロヲのナレーションが聞こえてきそうです。情けない「地上の星」を求めた男たちの「真夏の性欲の狂宴」に見られるような性衝動が絡みついた業は「真夏の方程式」ぐらいでは解けません。そのモチベーションと能力を別方面に生かすことはできなかったのかと思うわけですが、これも難しいと思われます。
現在の日本社会では国家・地域社会・企業・家族といった日本人それぞれが複数に属しているあらゆる共同体が目先のカネだけを目標にしている観があり、TPP参加を目前にしてますますこの傾向が強くなっており、命を懸けられるほどの共同体のプロジェクトXは年々少なくなっているように思います。最早スタジオジブリやよしりん企画のような傑作を生み出せる創作者集団やAKB48のような成功したアイドル集団に関わる人々ぐらいにしかないのかもしれません。共同体に属す個人個人が実存を感じられ、それぞれが持つ「業」を結果として社会を色々な意味で豊かにするように方向づけするためには、やはり家族から国家までの共同体に血肉が通う必要があるように思います。国家共同体においては、そろそろ米国からの独立を至上の目標に据えても良いころでしょう。ナショナリズムの与える実存はネトウヨのように歪んだものでなければ、ヘンタイ的な「業」すら超えるかもしれません。
また「人目があるからオカシナことはできない」という顔の見える範囲での地域共同体の機能は、そこに属す個人の変態行為の抑制にもつながるでしょう。共同体機能のない都市部に棲む個人が変態行為を行えば、マスコミが伝えた後その個人を表す記号にヘンタイという但し書きが付記され以後の人生を台無しにするだけです。ま、こういう理性的な思考を軽々と超えてしまうのが性欲の絡みついた「業」なのでしょうけれど。
木蘭師範の「ザ・神様」は、「どんな美男子でもなあ、ここ一番で根性みせなきゃ、加齢臭放ったとたんに『くさっ』の一言でポイ捨てなんだよ!!」という一文が真理を突いていて身につまされます。よしりん師範が『遅咲きじじい』で加齢臭フェチの女性を登場させましたが、散太郎はここ一番で根性見せられるキャラでした。まただからこそ穢れ(気枯れ)のない香しい加齢臭(フェチ女性を参らせる)を放つことができたのでしょう。いつもどおり脱線していくところでした。今回ねずみにも助けられたオオナムチですが、日本には自分から働きかけないのに何時のまにか人から愛され助けられるのが美徳とされているように思います。共同体の安定と強化のためには争いを回避する能力に長けていることが重視されたからだと思われます。結果的にスサノオも味方につけ、どうしようもない嫉妬野郎ヤソガミどもだけは退治という方向でした。
しかし現在の日本は平安中期や江戸期といった鎖国による安定の時代ではなく、冷戦時米軍庇護下で貯めた豊かさをグローバル企業群に奪われようとする時代です。
やはり「闘え! 闘う魂こそが輝くのだ!」ですね na85
最大の失態は、これまで「しゃべクリ」に1本ずつ投稿し、その全てが社会派枠で載っていたことに胡坐をかいていたことです。ついに自作が載っていないしゃべクリを目にするとこれがなかなかショックでした。もっと業火をつぎ込んで闘わなければ勝てない時代に入ったようです(闘う場所そこ?笑)。
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