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na85さん のコメント

 しばらく出てこれないうちに随分話が進んでいて驚いています。男系固執荒らしさんの方はしんやさんをはじめとする有志の包囲網が論破されました。
 というわけで叢叡世さんが孤軍奮闘されていた児ポに関連してですが、これはグローバリズムの議論を抜きにしては語れないことかもしれません。なので、少々回り道をしながら論を進めたいと思います。

 安倍一党(漫画ヲタを公言する麻生がいる)は以前からアニヲタともかなり重なり合うネット住人をコアな支持層としてきました。しかしTPP参加と集団的自衛権の行使容認を無理くり進めて以来ネット住人の中にも徐々に反対派が増えてきました。この辺りで安倍は気づいたはずです。政権にとって本当に必要な支持者は、FBで「いいね!」をくれて自分を気持ちよくしてくれるネット右翼ではなく、カネを持っている大企業や機関投資家などの富裕層であることに。本当に大事にすべきは株や債券を所有している高齢富裕層だと気づいたならば、外人投資家が日本株に投資し続けてくれて株高になるような政策を打つでしょう。
 消費増税分や社会保障費カット分を財源にして法人減税し、年間20万人の移民を安い労働力として入れ、こうして企業の負担を減らせば、リスクが減ったとして米国の投資銀行などの金融機関や個人投資家が投資してくれて日本株が上がり、高齢富裕層の資産が底上げされて支持されます。さらに会食を重ねて抱き込んだマスコミに、この日本企業の株高を好意的に報道させれば、貧富に関わらず老若男女のB層を騙せます。もともとA層は改革さえ叫んでおけば支持してくれるポジショナーですし、D層は忙しすぎて政治に関心がありません。数の少ないC層は民主政治では物の数に入らないと考えているでしょう。
 さて、安倍はコアな(いいね!をくれる)支持層の支持をつなぎとめるために行った浅はかな靖国参拝によってアメリカ様の機嫌を損ねたため、もっとべったりとくっつかねばならなくなりました。集団的自衛権の行使容認でアメリカ様の負担を減らしてさし上げ、TPPで米国に本拠を置くグローバル企業の利益となるTPPを推進せねば見捨てられるリスクがあるわけです。その結果、自衛隊の志願者が減って再び徴兵制を敷くことになろうとも、真に大事な支持層である高齢富裕層が戦地に往くことは無く、また21分野ものTPPショックが貧困層や現役世代を直撃し始めても高齢富裕層は自己責任世界でも生きていけます。
 TPPには知的財産分野があります。主に米国のディズニーやハリウッドの権益を守るためのものです。これらの米国製エンタメが日本を席巻するためには、障害となる日本の漫画やアニメなどの文化を滅ぼしておく必要があります。ディズニーと日本アニメとの違いは主要な登場人物の設定年齢の低さです。海を渡った鉄腕アトムの設定年齢が大きく上げられたことからも分かりますが、児童ポルノ規制を三次元だけでなく二次元にも適用しようという非寛容の本山は欧米のキリスト教文化です。そして、これと利害が一致しているのが、日本アニメを滅ぼした後の沃野を刈り取りたいディズニーアニメです。
 児ポ法で日本のオタク文化を徐々に圧殺したことでコアな支持層の不興を買おうとも、2020年東京五輪のためだという大義を掲げればグローバリズムに合わせることも已む無しと理解を示すだろうという算段です。実際には五輪の経済効果など全くなく、坂の上の雲のさらに上やV字回復などあるはずもなく、オタクが放擲した文化は無駄に溝に捨てたという結果に終わるるでしょう。そして児ポの真の目的は、日本における漫画・アニメ文化の蔓延がディズニー様の得るはずの利益を阻害するかもしれぬというISD訴訟対策なのでしょうが。TPPに参加を決めた時点でグローバリズムへの適応と外資の利潤最大化のための法的措置は避けられず、児ポ規制も防げなかったことになります。
 オタク文化については日下公人氏がこんなことを言っていました。オタクは江戸期で言えば長屋の風流人だと。世界を席巻している漫画・アニメ文化を一例として「あと3年で世界は江戸になる」と。この著書が出た時点では「なるほど」と思いましたが、世界中に戦争をふっかけて回ったり、弱小国と不平等条約を結んでグローバル企業の利益極大化を図ったりする米国の行動がますます苛烈になってきた現代においては成り立たない立論でした。江戸期の春画絵師を風流人に加えてよいならば、現代日本のオタ文化の一翼を支えるマイナー系の漫画家もそうでしょうか。江戸の文化が明治の開化期に大部分が圧殺されたように、現代日本の江戸期から生き残ってきた日本らしさの一部を形成する文化はTPPによって残らず圧殺されるのでしょう。
 さて、それでは今回の犯人である岡山のアニオタ男についてです。犯人逮捕に地域共同体ぐるみの協力が欠かせなかったことは報道などの通りですが、今後さらなる「改革」によって共同体崩壊が加速すれば怪しい人物の目撃証言すら集まらなくなるでしょう。逆にもっと共同体機能が活きていた時代なら、件のアニオタ男が職場や地域などの複数の共同体に参加する機会も増え、反比例して犯行に及ぶ可能性はぐっと減り、それこそ児童性虐待は身内の犯行のみという状態だったでしょう。しかし共同体が崩壊した現代においては、そういった状況に合った対策を打たねばなりません。でなければ、子供を持てるのは移動の際に親族が送り迎えできる富裕層のみとなり、少子化が絶望的レベルにまで至るでしょう。
 しかし、悩ましいことにその対策の一つが米国エンタメ企業と利害の一致する児ポ規制の二次元への適用であるため、やはり慎重に吟味せねばなりません。これは下手をすると平安期や江戸期から受け継いできた日本文化を全滅させることになりかねないからです。私には共同体崩壊の歯止め、東京への人モノカネの集中を規制するほうが効果的だと思えます。やはりグローバリズムへの反抗が全ての解となってくるように思われます。
 今のままでは、米国がそうであるように、富裕層のみが壁の内側に住んで子供をつくり、壁の外側は貧困層と移民ばかりのスラムのまま放置され、そこで生まれた子供は軍に志願させるしかない、そんな世界が日本の近未来にも訪れるでしょう。

 日本の伝統はグローバリストでもリバタリアンでなくコミュニタリアン na85
No.160
125ヶ月前
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第93号 2014.7.15発行 「小林よしのりライジング」 『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。 毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、よしりんの心を揺さぶった“娯楽の数々”を紹介する「カルチャークラブ」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、珍妙な商品が盛り沢山(!?)の『おぼっちゃまくん』キャラクターグッズを紹介する「茶魔ちゃま秘宝館」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが無限に想像をふくらませ、とことん自由に笑える「日本神話」の世界を語る「もくれんの『ザ・神様!』」、秘書によるよしりん観察記「今週のよしりん」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行) 【今週のお知らせ】 ※「ゴーマニズム宣言」…靖国神社をめぐる言論状況は刻々と変わっている。首相が参拝しさえすれば良いのか?安倍首相の靖国参拝に対して米国政府が「失望した」と表現した意味とは?そもそも靖国神社は何のための神社なのか?反知性主義がはびこる自称保守派への警告!保守も知らない靖国神社の真実を直視せよ! ※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!神社界が男系固執と聞いて参拝したくなくなった、でも英霊への尊敬の念は変わらずある…この気持ちどうすれば良い?大河ドラマ『軍師官兵衛』、信長と光秀の描き方をどう思う?AKB48の「恋愛禁止条例」ばかりがクローズアップされる現状をどう思う?幼稚園児の息子のバッグに女子からのラブレターが…!黙って見守るべき?「美尻」とはどんなもの?もし徴兵制が敷かれたら自分は耐えられそうにないし、今の日本の指導者に命じられても納得がいかない…自分のような弱い人間は、この問題をどう考えるべき?…等々、よしりんの回答や如何に!? ※ウィキペディアの記事を徹底的に添削しちゃう大好評「よしりんウィキ直し!」。今回は冒頭から想定外の爆笑に見舞われるこのコーナー。が、しかし!本題の『天皇論追撃篇』では男系固執論者の救いようのない「男尊女卑感情」が明白に!皇室を消滅に追いやる真の「売国奴」は誰なのか!? 【今週の目次】 1. ゴーマニズム宣言・第94回「間違った戦争でも靖国神社に祀るか?」 2. しゃべらせてクリ!・第54回「女装家・ぽっくんが眩惑しちゃるぶぁい!の巻〈後編〉」 3. よしりんウィキ直し!・第24回「ゴーマニズム宣言⑭:『天皇論追撃篇』(新天皇論)⑩」 4. Q&Aコーナー 5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど) 6. 読者から寄せられた感想・ご要望など 7. 編集後記 第94回「間違った戦争でも靖国神社に祀るか?」 『 保守も知らない靖国神社 』(ベスト新書)が発売された。  靖国神社をめぐる言論状況は、10年前と現在では全く違っている。それなのに自称保守論壇の頭脳は完全に硬直化していて、10年前の議論をそのまま繰り返し、「首相の靖国参拝に反対している国は中国・韓国だけであり、そんなものは気にせず堂々と参拝すればいい」とばかり言っている。  昨年末の安倍首相の靖国参拝に対して米国政府が「失望した」と、かつてない強い表現で非難したことの意味など、まともに考えようとはしない。  自称保守派の知性の劣化現象は目を覆うばかりで、もはや靖国神社が何のための神社であるかも知らず、安倍首相が何のために靖国に参拝したのかを意識することもなく、ただ首相が靖国を参拝したというだけで大喜びしている。  安倍晋三の参拝は、実は靖国神社を侮辱したものであるということになど気がつきもせずに。 『 保守も知らない靖国神社 』は、そんな自称保守派にはびこる反知性主義に対する警告として、現在の靖国神社を巡って考えておかなければならない論点を考え得る限り網羅した一冊である。  発売翌日には、早くもAmazonのレビュー欄に最初の書き込みがあった。ところが評価が☆1つだったため、またネトウヨが読みもせずに罵詈雑言を書き込んだかと思ったのだが、読んでみるとそうではなかった。 著者の靖国神社擁護論にはまったく賛同できないが、靖国の本質が「日本を戦争できる国にするための神社」であるという主張そのものは、完全に筋が通っている。著者の意図とは裏腹に、靖国神社が日本人にとっていかに危険な存在かを再確認させてくれる、ある意味で貴重な本である。  …と、主張そのものには「完全に筋が通っている」と認めた上で反対していたのである。  ただし「著者の意図とは裏腹に」というのは違う。ちゃんとわしが意図して「危険な存在」だと知らせたのだ。平和の施設ではないし、慰霊さえすればいいという施設でもないと。  さらにレビューはこう続く。 著者は、保守派とされる政治家が靖国に参拝して、「我々は二度と戦争はしません」と誓うことほど、英霊を侮辱する行為はないと憤る。なぜなら「靖国神社は、日本を戦争できる国にするための神社である」(191頁)からだ。 米国の戦没者遺骨収集事業を見るがいい。実に専門的、科学的、組織的、そして総合的に行われている。なぜそこまで熱心なのか。「それは、『次の戦争』を前提としているからである」と著者はいう。「若い兵士に対して、たとえいつどこで死ぬことになろうと、自分たちは決してあなたを忘れない、どこで死のうと、必ず骨は祖国に帰してあげるという態度を明確に国として示しておかないと、次の戦争ができないのである」(188-189頁)。この指摘は正しい。国家が戦死者を祀るのには、それなりの理由があるのである。 靖国神社も「次の戦争」のための神社であらねばならない、と著者は強調する(207頁)。そのためには、参拝者の増減で財政が左右される民間の宗教法人であってはならない。「やはり国営化しかない」(289頁)。靖国神社が国家による戦争を精神的に支える装置であるならば、そのような結論になるのは至極当然である。  きちんと読んで、内容を理解している。  だが内容を理解した上で、このレビューは結論において本書を否定するのだ。 もちろん著者の脳裏には、国家が間違った戦争に国民を駆り立てる可能性など、寸毫たりともよぎりはしないのだろう。もしあなたが国家指導者も誤りを犯すことを知っているならば、彼らが靖国の権威を高めようと躍起になるときは、用心したほうがいい。著者が教えてくれたように、靖国は戦争をするための神社なのだから。  おそらくレビュー筆者は『 保守も知らない靖国神社 』以外のわしの言論活動は知らないのだろう。 
小林よしのりライジング
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!