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magomeさん のコメント

 今週のライジングは長年、心に閊えていた「日本における保守」という疑問を簡素に纏めていただいたことから配信と同時に一気に読んでしまいました。学生のころに日本人とは何か、日本という國柄がなにかということに自分の生活を通して周囲の人々と接しながら自分なりに色々と考え、自分自身の祖國に対する認識を深めようと、我が國、日本とは何かを知るためには「保守」とされる論壇誌で論壇者や学者が歴史や文化を通して簡素に纏めて解りやすく伝えているだろうと期待して、「新しい歴史教科書をつくる会」に入会し、「保守」の論壇誌を読み漁りました。ゴー宣読み始め、SAPIOの購読を始めたのもちょうどこの時期です。ちょうど、司馬遼太郎氏の小説やエッセイを読んで、日本の歴史や文化に浸って他国と比較しながら論評する面白さに夢中になっていた時でもありました。
 しかしながら、いくら「新しい歴史教科書をつくる会」の講演を聞いて、「つくる会」の歴史教科書や理事が筆頭した著書を読んでもどうしても自分の現場で出会う人々や生活する周囲の現場との繋がりが見つからず、その時は周囲は戦後、あまりにもGHQのWGIPが物凄く浸透しすぎていたのだと無理やり自分自身を納得させていました。ところが、時が立って、「保守」の論壇誌や「新しい歴史教科書をつくる会」とは関係のない時代考証家の江戸時代における庶民の暮らしぶりを書いた書物を読み、さらには食材などの専門誌で取り上げていた江戸時代の歴史を読んで、初めて自分の今の生活と歴史がつながったことを実感し、「保守」と言われる「論壇誌」が高々明治以降数百年の歴史しか取り上げていないことに気が付き、実は神武天皇が統一してからの2000年の國史にほとんど触れていないことに気が付きました。さらには「保守」といわれる論壇者の中でも明治以前の日本が暗黒時代で国際的にものすごく出遅れた國であると酷評する人が少なくなく、明治以前の歴史を見る目が「従軍慰安婦奴隷狩り強制連行」や「南京大虐殺30万人」を歴史教科書に書いて、「天皇制打倒」をほざいて自虐史観左翼、サヨクとほとんど変わらないことがわかり、いったいどこが「保守」なのか解らなくなったのを覚えています。
 そして、これまでも「保守」論壇誌では「日本は外国に比べて素晴らしい」と絶賛するのにもかかわらず、その「素晴らしさ」が何時、どのようにどうやって成立して我が國に一般的に広く定着したか全くと言っていいほど触れておらず、なかには「日本が優れているのは明治維新の時に西洋文明、文化をいち早く真似て取り入れたから中国や朝鮮のように属国や植民地にならずにアジアのリーダーになれた」と自分たちの属国ぶりをアジア周辺諸国を見下すことで肯定しているような口調で書かれた記事をいやというほど目にしました。
 司馬遼太郎氏も日露戦争以降の日本はなぜだめだったのかというと、それは日露戦争こそが「江戸時代で築き上た習慣、風習の最期の一滴」であり、日露戦争以降は江戸時代の遺産がなくなったからだと評していたのですが、多くの論壇者はこの事実に触れずに単純に「日露戦争以降の日本は不合理的で駄目だった」と決めつけて「江戸時代の遺産」についてはまったく触れようとしませんでした。
 「保守」の江戸期以前の評価を見れば、結局はこれまで「保守」とされてきたものの大半は実は米国に完敗した敗戦国としての日本という現実をごまかすために「愛国心」を利用し、敗戦国としての「現状」を「保守」するだけという情けない立場をいかに素晴らしく見せるかというごまかしの「ルサンチマン」をするだけの存在だったということであり、この「保守」が蔓延ったからこそ「嫌韓流」や「嫌中流」、「原発推進」や「皇統男系固執」という國として葬るべき汚点の数々を何のためらいもなく実行し、蔓延らせてしまったのだと今回のゴー宣を読んで思いました。こんな言論空間の中で生活をしていたらどんなに有能な人でも思考が等しく劣化し、國の行く末を憂うということは絶対にできないでしょう。自分の知人にも通信技術者として世界を飛び回り世界情勢や軍事に詳しい人が2ちゃんねる並の思考に劣化してしまった事実に直面し、どんなに有能な人間でも思考を停止したら「保守」や左翼、サヨクと同じくらいに劣化してしまうのだと強烈に実感しました。
 小林師範が以前に「保守なんて全然いない」と仰ったその詳細を知りたかった私としてはまさに、今回のライジングは待ちに待った内容でした。
 「天皇論」の文庫本が出版されるということですが、私は単行本をすでに購入している場合、文庫本は内容が重なることから通常は買わないのですが、今回は大幅な加筆修正があり、自分自身もう一度、天皇陛下の存在を復讐するつもりで購入してみようかと思います。ゴー宣Special本もブログで取り上げられるたびに早く出ないか、自分自身抑えられなくなりますので出版を首を長くして楽しみにしています。
No.49
115ヶ月前
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第105号 2014.10.21発行 「小林よしのりライジング」 『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。 毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、よしりんの心を揺さぶった“娯楽の数々”を紹介する「カルチャークラブ」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、小林よしのりに関するWikipediaページを徹底添削「よしりんウィキ直し!」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが無限に想像をふくらませ、とことん自由に笑える「日本神話」の世界を語る「もくれんの『ザ・神様!』」、秘書によるよしりん観察記「今週のよしりん」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行) 【今週のお知らせ】 ※「ゴーマニズム宣言」…政界も言論空間も「保守」が大ブームの現在。親米・従米派、グローバリズム信奉者、科学力を盲信する近代合理主義の原発推進派、挙げ句の果てには排外主義や人種差別を公然と唱える極右運動集団までもが「保守」を自称している。そもそも「保守」とは何を保守し、「革新」とは何を革新しようとしているのか?誰も「保守」を知らない今、「保守とは何か」を考える! ※前回は、木蘭さんが“おもいッきり”暴走してしまった、若き頃のエピソードが明かされた「ザ・神様!」。今回はなぜか「ゴー宣道場」の翌日しか登場しないレアレシピ「炎のゴー宣チャーハン」の登場!ダイナミックに大脱線しながらも、海佐知&山佐知の物語は続く…!! ※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!『天皇論』の文庫化のメリットとは?ドラマ『聖女』続編を作るなら、どんな話にする?「夢であってほしい」と思うのはどんな時?「真の童貞卒業」とは?日本に急速に拡がるハロウィンをどう思う?再生可能エネルギーによる発電は必要?枯れた熟女にならずに済むアドバイスを下さい!…等々、よしりんの回答や如何に!? 【今週の目次】 1. ゴーマニズム宣言・第103回「保守とは何かを考える」 2. しゃべらせてクリ!・第65回「こっち向いてクリ!艶子しぇんしぇ~の巻〈前編〉」 3. もくれんの「ザ・神様!」・第43回「炎のゴー宣チャーハン!~海佐知&山佐知 大脱線の4~」 4. Q&Aコーナー 5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど) 6. 読者から寄せられた感想・ご要望など 7. 編集後記 【生放送予定】 http://live.nicovideo.jp/watch/lv196075083 第103回「保守とは何かを考える」  いつからか政界も言論空間も「保守」が大ブームで、誰も彼もが「保守」を名乗っている。  わしは既に10年前の2004年9月発売の「わしズム」で「 最近の保守論壇はバブルなのだ 」「 ステレオタイプの言説のたらい回しは強がりオヤジと保守オタクの癒しにしかならない 」と批判しているから、この「保守バブル」はもう10年以上も続いていることになる。  わしは2001年9・11の同時多発テロを機にいわゆる保守論壇とは手を切り、親米・従米の保守言論人を「 ポチ保守 」と批判したが、その後も、資本の暴走を規制しないグローバリズムの信奉者や、科学力が自然に勝てると盲信する近代合理主義の原発推進派や、挙句の果てには排外主義や人種差別を公然と唱える極右運動集団までが「保守」を自称するようになってしまった。  中には「靖国神社参拝が保守の条件」などと言い出す者までいるが、そんな定義が成り立つのなら、確かにどんなレイシストだろうと、グローバリズムに日本を売り渡そうとする者だろうと、どんな者でも靖国参拝さえすれば「保守」になれることになってしまうが、そんな馬鹿げた話はない。  ともかく、 こんな「自称保守」ばかりが蔓延している世の中だから、わしはあえて「わしこそが保守」という立場を演じるしかないのである。  ちょうどそんな時に、テレビ朝日のワイドショー「モーニングバード」のコーナー「そもそも総研たまペディア」から「 そもそも保守って何を保ち何を守るんですか? 」というテーマで取材を受けた。  番組は10月16日に放送されたが、なかなかよく出来ていたので、今回はその内容を紹介しつつ「保守とは何か」を考えてみたい。  政治の世界では戦後、ずっと「 保守 」と「 革新 」の対立と言われてきた。  最近では「革新」はすっかり影が薄くなって「死語」に近い観さえあるが、それはともかく、「保守」とは何を保守し、「革新」とは何を革新しようとしているのだろうか?  憲法に対する態度を見ると、「保守」「革新」の定義の混乱ぶりが端的に表れてくる。自民党は憲法を変える、つまり「革新」を目指しているはずなのに、「保守」を自称している。  一方で旧社会党、現在の社民党などは憲法を守る、つまり「保守」を唱えているはずなのに、「革新」を自称してきたのである。  東京大学名誉教授の御厨貴氏は、「 少なくとも日本に関して言えば、保守に明確な定義はありません 」と言い切った。  例えば アメリカの保守は、「 建国の時点のことを守る 」 ということが基本である。アメリカの保守派が銃規制に反対するのも、建国当時に市民が銃を持ち戦った精神に基づいている。   イギリスの場合は、王に対して貴族階級が反乱を起こし、近代議会政治を始めた時点のことを守るのが基本。 政治は貴族階級が行なうものであり、貴族の利益を一番反映すること、すなわち「 階級社会を守る 」ということがイギリスの保守である。  つまり、保守とは歴史上のある時点の体制を守るということなのだ。それでは 日本ではいつの時点の体制を守るのが「保守」なのだろうか?  御厨氏はそれを、「 戦後の占領体制から受益者として登場してきた人たちの利益 」だと言った。  要するに アメリカとは仲良くして、安全保障をアメリカに任せて、経済中心でやっていくという人たちが、戦後日本では「保守」と呼ばれたのだ。  そのために 戦後日本では日米安保体制を守ることが「保守政治」と言われ、吉田茂や池田勇人を源流とする政治集団が「保守本流」と言われてきたのである。  つまり、わしが「 親米ポチ 」と批判する者たちは、この定義によって「保守」を自称しているわけだ。それにしても「敗戦受益者の利益を守るのが保守」とは、あまりにも情けない定義ではないか。  ところで、番組では安倍晋三の言う「 戦後レジームからの脱却 」とは戦後体制の「革新」という意味であるから、これは保守ではないのではないかという疑問が出ていた。   だが、安倍晋三の「戦後レジームからの脱却」などは完全に言葉だけであって、有名無実とはこのことである。   安倍がやっていることはアメリカ依存で経済中心という戦後レジームそのものだから、実際にはこれこそがまさに「戦後保守」なのである。  しかも、集団的自衛権行使容認によってどこまでもアメリカの戦争の手助けをするようにまでしてしまうというのは、「 戦後レジームの強化・完成 」と言っていいほどの行為ではないか。  番組ではもう一人、新右翼・一水会最高顧問の鈴木邦男氏にインタビューして、「右翼」と「保守」の関係について聞いていた。 
小林よしのりライジング
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!