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アマゾンにはソーシャルメディア分析はいらない
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アマゾンにはソーシャルメディア分析はいらない

2012-11-15 16:00
     週刊アスキー11/27号(10月10日発売)から、角川アスキー総合研究所・遠藤諭による新連載『神は雲の中にあられる』がスタートしました。この新連載開始を記念し、第1回の全文を週アスPLUSに転載いたします。 アマゾンにはソーシャルメディア分析はいらない【新連載全文転載】

     日本でもアマゾンの電子書籍端末『キンドル』が、発売された。11月19日から購入者の手元に届き始めるそうなので、本とデジタルに興味のある人たちの間では、ここ数週間、この話で持ちきりになると思う。キンドルを使うことは、ちょっとした教育的体験だからだ。

     私の場合は、'09年に日本でキンドルが買えるようになって手に入れたのだが、まさにそうだった。

     まず驚いたのは“ウィスパーネット”だ。これは、アマゾンのクラウドとキンドルを文字どおり“ささやく(whisper)”ようにつなぐネットワークのことだ。この名前がいかにもなのは、PCのアマゾンの画面から電子書籍を買うと、“いつの間にか”私のキンドルに、その本が入っている。PCで買ってUSBや無線で同期するのではない。まるで手品みたい。いまじゃ驚かないかもしれないが、当時は、iTUnes Storeがえらく古めかしいものに見えた記憶がある。

     業界はいま“モバイルシフト”がキーワードになっている。一番元気だったはずのフェイスブックも必死だし、その上で稼ぎまくっていたゲームのZyngaなんかは調子を崩してしまっている。

     ところが、アマゾンのCEOベゾスだけは、そんな動きにジックリという感じで対応しようとしていると思う。同社がキンドルを発売したのはiPhoneと同じ'07年で、iOSやアンドロイド向けにもアプリも提供してきた。しかし、それらのモバイルはアマゾンのサブルーチンでしかないのだ。

     ネット販売の売り上げ規模は、PCがモバイルの10倍あると言われている。米国ではモバイルが1年で倍増したというニュースもあるが、PCのほうがユーザーの目に入るものが多い。アマゾンの軸足はウェブの画面で、本はもちろん、トイレタリーから大型テレビまで、ユーザーが、何に興味を持ってどこをクリックしたかが観察できる。

     ユーザーの行動と言えば、ポイントを運営する会社がユーザー情報をどう扱ったかとか、ビッグデータを活用したソーシャルメディア分析がトレンドになったりしている。しかし、それは“アマゾンでない人たち”の話題なんですね。

    アマゾンにはソーシャルメディア分析はいらない【新連載全文転載】

    ↑これからキンドルを手に入れる人へのアドバイス。'09年に手に入れたキンドルをなくしてしまった。電子書籍デバイス全般に言えることなのだが、薄いので本や資料の間にはさんで見失いがちだ。ウィスパーネットの機能として、“ビープ・マイ・キンドル”ってのを追加してほしい。これはアマゾンさんへのお願いだ。

    【筆者近況】
    遠藤諭(えんどう さとし)
    角川アスキー総合研究所ゼネラルマネジャー。同研究所の「メディア&コンテンツサーベイ」の2012年版の販売を開始。その調査結果をもとに書いた「戦後最大のメディアの椅子取りゲームが始まっている」が業界で話題になっている。TOKYO MX TV 毎週月曜日18:00からのTOKYO MX NEWS内「よくわかるIT」でコメンテータをつとめている。
    ■関連サイト
    ・Twitter:@hortense667
    ・Facebook:遠藤諭

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