author:岩SHOW

Chapter 0: Devil is a Loser


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グッとくるものがあるよね。あんた、もとは人間やったんかいという衝撃を受けた方も多いだろう
元々、オブ・ニクシリスの設定には「彼の起源を知る者はいない。元々デーモンであったかさえもわからない」と書かれてあったり、そもそもデーモンはプレインズウォーカーになれないという設定があったりするので(天使とデーモンはそれぞれ白と黒のマナの化身であったり、それを用いて創られたものだったりするため)、人間であったという説は有力だった。そんなニクシリス卿が、ヴェールの呪いを受け、ナヒリに面唱体を埋め込まれて灯を失い、ゼンディカーに縛り付けられるようになる前の、各次元を渡り歩いて征服を行っていた頃の姿がこうしてカード化されたのだ。使うしか、ないでしょう


Chapter 1: Scare Force One

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そもそも、オブ・ニクシリスはガラクが呪われてデーモンへと化していくが故に彼をヴェールの呪いから救わねばならないという「基本セット2015」のメインストーリーに関連させるために再登場したばかりであった。このカードは、Wizard of the Coastの外部のゲームデザイナーにそのデザインを委託して作成されたカードである。そのコンセプトは「統率者戦での各種サーチ殺し」。教示者シリーズなんかのサーチは、瞬殺コンボを生み出すNo.1の要因である。それに、赤単なんかのサーチ手段を持たないデッキとは大きな格差がついてしまうこととなる。というか、せっかくのハイランダー(同盟カードは基本土地以外1枚制限)で様々なカードを遊ぶという統率者戦の醍醐味がね…などの要因から、除去するのが比較的簡単なクリーチャーならそれらに対して大きなペナルティを負わせる能力を与えてもよいでしょうと、こういうことなのかもしれないね。
このカードの収録は、後に控える「タルキール覇王譚」でのフェッチ再録の可能性をほのめかすものではないかと議論され、話題性という意味でも成功したと言って良いだろう。もともと「ゼンディカー」に登場した時は、この次元への復讐を画策しているとフレーバーに書かれていたこともあって、アンチ・フェッチランド能力を彼が持つことに特に違和感はなかった。多くの方が、彼のFoilを購入してジェネラルとしてデッキを作成したのではないだろうか。普通に黒コントロール・ミッドレンジという感じのデッキを組むだけで十分に戦えそうだ。


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そもそも初登場時の彼は上陸持ちでフェッチランドと相性自体は良かった。あまり統率者向きとは言えない能力だが、タイマンのデュエルコマンダーで用いればかなりの打撃力を発揮してくれそうな気がする。今日の主役はこのカードだ。


Chapter 2: Deadache


《堕ちたる者、オブ・ニクシリス》の能力をおさらいしよう。

3BB 3/3
土地が1つあなたのコントロール下で戦場に出れば、対戦相手1人はライフを3点失い、オブの上に+1/+1カウンターを3つ置く

5マナ3/3で回避能力や除去耐性がないのは少々残念ではあるが、上陸能力はこれが着地してから隙なく誘発させられるため、大事なのは5マナが出るからといってもう土地を置いたターンにキャストしては駄目だということ。6ターン目に5マナ6/6+本体稲妻と考えれば、殴り合いでも相当強いジェネラルとなる。次のターンには更なる稲妻と9/9へのサイズアップだ。《グリセルブランド》すら擂り潰すそのサイズはさすが元プレインズウォーカー!

しかし大事なのは、これをジェネラルに据えたデッキは「土地が止まると終了」であるということ。即ち、マナ・アーティファクトを入れることで土地枠を削るという構築はNGということになる。まずは、たっぷりの沼を用意するところから始めよう。

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1ターンに土地は1枚という制約を破った方が強いのは明白である。しかし、黒はその役割を与えられた色ではないため、これらを探してくるのはなかなか難しい。そこで、《地形形成装置》のようなカードをデッキに採用することになる。他には《無限地帯》《Thawing Glaciers》といったカードを採用すると良いだろう。

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《Thawing Glaciers》は、緩やかにアドバンテージを獲得するかつての強カードの代名詞であったが、今使うには悠長すぎるとのことで評価は低い。しかし、ここであるカードを入れてみよう。

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《ブライトハースの指輪》だ。これで起動型能力をコピーすれば、土地が出る枚数は倍になる。こうなると「エゲつない」アドバンテージだ。特に《無限地帯》なんて一撃でライフを12点もぎ取りつつの15/15の誕生である。これは恐ろしい。《ブライトハースの指輪》相性の良いカードがそれこそ山ほどある。特に、リソースを犠牲にして何かを行う黒という色にとって、たった2マナで同様の効果を得られるというのは美味しいにもほどがある。例えばライフを半分支払うことを要求する《残忍な裏切り》をコピーできれば運用はかなり楽になる。純粋に《ヴェールのリリアナ》で2枚抜きとか出来るだけで十二分に強力である。

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《地形形成装置》を使うのであれば、手札にも土地が来てほしいものだ。毎ターンのセットランドは《Thawing Glaciers》に任せて、《闇の領域のリリアナ》(ブライトハースとの相性これまたヨシ)や《ファイレクシアの闘技場》などで土地を引き込み、装置で置いていく。ここで闘技場を導入したことで、個人的にもう1つ、どうしても入れたい1枚が浮上してきた。

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《ストリオン共鳴体》、ブライトハースの誘発型能力バージョンである。これで闘技場の他に《苦花》のような、誘発してアドバンテージを生み出す能力をコピーするのは勿論、ニクシリスの誘発型能力をコピーするのも強力だ。《ファイレクシアの抹消者》とこれが並ぶと、気分的には「詰み」かなと。他にも、前述の《残忍な裏切り》はトリプルシンボルなので、《地獄界の夢》といった信心を稼げるカードと並べた上での《アスフォデルの灰色商人》の誘発型能力をコピーし、跡形も残さず吸い尽くすのも良いんじゃないかと思ったり。




Chapter 3: Get Heavy


こうやって、ジェネラル自信と相性の良い1枚を想起して行って、そこからシナジーを形成するカードを並べていって、最後にはデッキの全てのカードが美しく噛みあう…こういう構築を常にできたらと思う(でも難しいし時間がかかるから手を抜くことがほとんどなのが現状)。

今回の場合は、土地がものすごく伸びるデッキを作ろうとしている。ここで、例えば「軽くて強い」クリーチャーなど採用しても旨味がないことはわかっていただけるだろう。《囁く者、シェオルドレッド》なんか入れても大丈夫だ(これもストリオンと噛んでいる)。それは手札破壊や除去呪文も同様で「テンポの良い」カードよりは《ガラクの目覚め》のような豪快なカードを入れた方が良い。あるいはエンチャントなどのパーマネントで、起動型or誘発型能力でそれらを行うものにした方が良いね。《Hymn to Tourach》よりは《髑髏の占い師》を優先して採用したい。

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・ニクシリスと土地を伸ばすカード
・土地を伸ばすカードを加速させるブライトハース・ストリオン
・ブライトハース・ストリオンと相性の良い能力もち
・伸びたマナを使って唱える大型呪文
・信心を貯めてのアスフォデルフィニッシュ


ニクシリス1枚から、ここまで派生してデッキのコンセプトはクッキリ明快に。こうなるとデッキに入らないようなカードをわざわざ用意する必要もなくなる。あれもいれたいこれもいれたいでデッキを作るのも楽しいが、たまには「あれが入るならこれも入る」という連想からデッキを作ってみるのも楽しいで、是非自分なりのやり方でデュエルコマンダーという奥深いフォーマットを満喫してほしい。

ちなみに、明日のBIG MGIC LIVEでは最初に紹介した人間ver.のニクシリス卿をジェネラルとした黒単デッキで対戦している模様をお届け予定!こちらは、連鎖的つながっていくシナジー…というスタイルではなく、ニクシリス卿の「5/5飛行のクリーチャーであってクリーチャーでない」という特性に焦点を当ててザックリ組んだデッキです。消耗戦にもつれ込めば勝てるカード、ならばその消耗戦に持ち込むには…そんな感じで(適当に)作ったので良かったら観てやってください!


対するはリュウジの《石術師、ナヒリ》、宿命のマッチアップの行方は…
この対決、マジックのメインストーリーでも実現するのか興味深い。もしかしたら時をさかのぼった影響が彼らにも…なんてことになったら面白いなと思いつつ、それでは明日の放送でお会いしましょう!