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◆╋◆      めるまがbonet -2nd season-
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◆           第11号              13.03.28
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みなさんお元気ですかー? 学生さんは卒業シーズンなうですね。
桜もさいて日ざしもあったかくなってきたのに、どこかさみしくて
ぼんちゃんの心もひえびえ……。さいきんよく聞く「花冷え」って
こういう意味ですか? (まちがってたら教えてくださいね!)
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├○ 今【1】「ノベルゲームの思想」講義レポート [第1回]
│  回
├○ の【2】梵天レビューシリーズ        [第1回]
│  目
├○ 次【3】編集後記(ぼんちゃんのお部屋)
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 【1】「ノベルゲームの思想」講義レポート   [第1回]
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現在ゲンロンスクールにて開講中の、村上裕一による連続講義「ノ
ベルゲームの思想」。単著『ゴーストの条件』(講談社)でも11
6ページにも渡り論じられた「ノベルゲーム」を、2013年現在
の視点から「思想」の問題としてあらためて振り返る集大成的講義
だ。『めるまがbonet』では、全3回に渡る本講義シリーズの
まとめを掲載する。今回お届けするのは、2013年2月15日に
行われた第1回講義のレポート。シミュレーション(ゲーム)と物
語(ノベル)をめぐるノベルゲーム史が、ここに紐解かれてゆ
く――。4月19日の第3回講義へ向けた予習としても活用してほ
しい。

■「美少女ゲームの哲学」から「ノベルゲームの思想」へ

美少女ゲームでもなく、哲学でもなく、ノベルゲームの思想を理解
すること。
村上は本講義にあたり、「webスナイパー」で連載してきた『美
少女ゲームの哲学』というタイトルから、「哲学」を「思想」とい
う言葉に、「美少女ゲーム」を「ノベルゲーム」という言葉に置き
換えている。ここで行われているのは枠組の拡張である。村上によ
れば、このジャンルはいま変革期にあり、新しいメディアとしての
立ち位置を獲得しようとしていると言う。そのとき、「美少女ゲー
ム」ではなく「ノベルゲーム」という一段大きな枠組での思考が求
められてくるのではないか。
いまノベルゲームは変わりつつある。そしてこの変節の過程で、
「思想」が大きな役割を果たすと村上は言う。ではその思想とは何
なのか。本講義シリーズはその問いをめぐるものとなる。

なお、以上のような考えのルーツの1つとして、村上は自身が企画・
制作会社である「言語社」に身を置き、昨年2012年に発売され
たノベルゲーム『波間の国のファウスト』の制作に携わった経験を
挙げている。あわせて同社が運営している、ブラウザ上でノベルゲー
ムを遊べるという新たなプラットフォーム「ノベルスフィア」も、
ノベルゲームの今後を占う試みであると紹介した。

■ノベルゲームとは何か

そもそもノベルゲームとは、いったいどのようなゲームなのだろう
か?
村上はその条件としてつぎの3つの要素を挙げる。(1)テキスト
ボックスに文章が表示され、(2)背景があり、(3)キャラクター
の立ち絵がある。これらはテキスト=小説を、音楽や効果音できれ
いに装飾する技術ないし、アーキテクチャであるという点で共通し
ているように見える。しかし村上は「そんなに都合のよいものでは
ない」と断言する。そこにはもっと「毒々しいもの」があり、それ
によってノベルゲームというジャンルが進化しえたという側面があ
ると言うのだ。
もとより美少女ゲームというカテゴリーは、1983年頃よりPC
をプラットフォームに展開された「エロいゲーム(エロゲー)」か