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#29 日記の効用

僕が尊敬するとよくネタで嘯く原敬は若いころから暗殺される晩年まで日記をつけていた。昔の人は隠すことがなかったせいかよく日記をつけていたように思う。逆に、平安や鎌倉時代の日記文学を最近読んだのだが、あれは日記と言えば日記だが、実際には日毎につけられているものではなくて、イベントが起きたときだけ書かれているよくできたお話に思われた。もちろん、虚構性が高いものの事実を元にしていることは確かだろう。ただ、太陽がのぼりそしてしずむという、そのリズムに則って書かれているとは限らないということだ。

 なぜこういうことを書いているかと言えば、僕もまた日記をつけようかと思ったからだ。しかし、結局はやめることになると思う。昔の人がなんとなく日記をつけていられたのは、誰かに公開する前提ではなかったからだ。そんな前提の存在を考慮することもありえなかった。余計なことを気にせずに書いていられた。あるいは素人ブロガーもそ

#28 凡人のための

 

幕間

 
村上裕一の(仮)

元「めるまがbonet」。村上裕一の短文を配信していることが多いようです。

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村上裕一/梵天編集部

■梵天編集部/ウェブメディア「bonet」企画・制作。すべてがポップカルチャー化した時代に即し、様々な文化情報を独自の観点から収集・発信していくことを目的としている。代表・村上裕一。運営・株式会社梵天。■村上裕一/批評家・編集者。2009年、講談社BOXの批評家育成プロジェクト「東浩紀のゼロアカ道場」で優勝し、2011年『ゴーストの条件 クラウドを巡礼する想像力』を発表。商業・同人問わず、多くの媒体で活躍している。

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