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村上裕一の新米社長日記 第4号 3月25日~3月31日
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3月ももう終わりである。そしてそれは2012年度が終わるこ
とを意味している。これを書いているのは4月1日なのであえて昨
年度というが、昨年度は激動の年だった。つつみかくさずしゃべる
が、私は経営者になる予定なんてなかった。もの書き業をきちんと
やるために自分の管理会社を作ろうかと思っていたが、こういう形
でものを進めることになるとは思っていなかった(実は某師匠から
「会社組織を背景に持たないと大きなことはできなくなるぞ、そう
すべきだ」と吹きこまれたことが多少影響していないとも言えな
い)。まともなリーマン業からドロップアウトして、そして、新卒
から正社員採用そして終身雇用という黄金ルートからドロップアウ
トして、もうのべ6年ぐらいが経つ。……なんだ、まだたったの5
年か。もちろん、されど5年であるが、10年くらい経っているよ
うな気がしていた。僕は、これが僕の人生なのだなと思っている。
ラッキーかもしれない。世界には驚くほどきらびやかな経歴を持っ
ている人がいっぱいいて、例えば僕の年になると、博士を取ってい
たりMBAを持っていたりが珍しくない。大企業で要職……とは言
わぬまでもデスクについている人もいる。あるいはそもそももっと
早い段階で、起業にせよ受賞にせよ、しかるべき成果を上げている
人も多い。人と比べることそれ自体には大した意味がないが、僕た
ちが競っていかなければならないのはそういう人たちなのである。
なんとなく、ようやくオンユアマークしたのだという気がしている。
今年度は実りの年としたい。
3月25日(月)
生きていると色々なことがある。昔、『トップをねらえ2』のラ
ジオで岩田光央が言っていたことを思い出す。確か、同じく声優の
道を志していた同期がいたが、途中であきらめざるを得なくなった
と言う。どんなに頑張っていても、家族が倒れたとかいうことがあっ
たら、実家に帰って世話とかをしなくちゃいけなくなる。そうした
ら声優の道は諦めなければならなくなる。そういうどうしようもな
いことがある。こういうどうしようもなさは、決して他人事ではな
いのだ……。なお、今日は業務調査で事後的にWBSプロトタイプ
作り。本当は最初に作るべきなんだがなかなかそんな余裕もないの
が悲しいところ。デカルトは「困難は分割せよ」と言ったが、分割
を始めるとどこまでも分割されてしまう……というのは冗談にして
も、当初想定されていたよりも大きくなってしまうのだ。それだけ
の処理を自動的にやっているとも言えるが、ということは、ミスが
出るのもむべなるかな、と言う話なのだ。これを視覚的に認識する
ことからチェックは始まる。
3月26日(火)
日中は政治のことばかり考えていたがいまいちはかどらなかった。
ナショナリズムというカタカナが、いかに分かりやすく、微妙に異
なった日本人の気分をまとめて表現していたかに感嘆する。だが――
もしかしたら戦後からそうなのかもしれないが――現代のナショナ
リズムはやはり変形していると思う。その変形したナショナリズム
をどう名指せるかに勝負がかかっている。今のところ、僕はこの潮
流にロマン主義という言葉遣いをあてようと思っているが、実はま
だどうもピンと来ない。マッサージに行く。頭ほぐしを含むコース
を頼んだ。担当者と仲良くなったのでやってもらって楽しいのだが、
雑談に花を開かせるよりもきっちり揉んでもらった方がいいのでは
ないか、と終わってから思った。二律背反……。夜は高瀬デスクと
会議。めるまがの煩雑な作業に対してWBSを作る作業を行った。
3時間くらいかかった。膨大すぎる。なおWBSは早稲田ビジネス
スクールの略ではない。
3月27日(水)
N氏とC店でランチミーティング。ソーシャル的な企画を打ちた
いと思っている。話が弾んで4時間コースになった。全然まだまだ
話したりないのであるが、むかし『プロデューサーズ』という本を
読んだときにそこに書いてあったことが印象深い。「プレゼンをし
てばかりいたら会社が傾いた。会議は仕事ではない」。企画に落と
し、実装に落としていかなければ。なんとなくLINEを活用し始
める。そこからめるまがの会議に行き、昨日作ったWBSを完全化
する。ということをしようと思ったらどんどん現実に合わせての改
造が必要になって大変になった。プロジェクトの完遂が月単位のも
のと週単位のものではかなり考え方が違う。その後、前にバイトに
来てもらっていたOが来る。彼女はいま就活中だが、GDの練習に
つきあうのだ。なんとフレンドリーな会社だろうか。なお私はそれ
が終わった後離脱し、ひたすら法人クレジットカードの登録をすべ
く電話したり記入したりしていた。支配的なんたらかんたらで株主
の報告を求められたり求められなかったり……。
3月28日(木)
経理実務会議を多聞本社にて行う。会計のK先生と多聞の税理担
当者Yさんと。日々の雑務に忙殺されてサボっていたが、金の動き
は経営者が管理するほとんど最重要マタ―である。反省して、勉強
のためにと買っておいた経理の教科書を翌日から読み出す。非常に
勉強になった。消費税は増税してほしくない。あと段階的増税も本
当に勘弁してほしい、ということは僕は従来からいちおう経済学的
なジャンルの発話として述べていたが、経理実務的にもマジでうざ
いということを体感している。増税やめよう。マジでやめよう。で
もK先生はすでに決まったこととして粛々と受け入れていたようだっ
た……。
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