━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
村上裕一の新米社長日記 第7号 4月22日~4月28日
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 とにかくしゃべり倒した1週間だった、と総括できるかもしれな
い。他方で、あまりしゃべっていると燃え尽きてしまう。しゃべる
というのは放出系の行為だからだ。なくなったらアウトプットはで
きない。無を放出するなどということはほとんど意味がない。余計
なおしゃべりだが、しゃべり倒して抜け殻になって、それでも立っ
ているというのなら、すでにそこでは言語ゲームが切り替わり、主
体ではなく場になっているということになるだろう。しゃべり倒し
て疲れ果てた僕は、ぼうっと立っていることが多くなった。そうす
ると、世界の様々な姿が見えてくるようなそんな気がした。人の視
野は狭いようで広く、広いようで狭い。村上春樹は最新作でJR新
宿駅を登場させた。それは雑踏だった。しかし、『ノルウェイの森』
のときのような、単に人を不安にさせるような未知で不可知の雑踏
ではもはやなかった。確かに交差点ではあるのだが、それは人を拒
んでいない。ただありのままにそこにあるのである。

 
4月22日(月)

 いよいよ『村上裕一の九段下ロイヤルストレートフラッシュ!』
の配信が始まった。と同時に先週のありがたい教えを遂行すべくツ
イッターでコミュニケーションをとることを始めた。まるで宣伝の
ためにそうし始めたようだが、たまたま本当に偶然そうではなかっ
た。ところでこのラジオでは株式会社言語社の高野くんにジングル
を依頼したのだが、どれも本当に神がかった出来で、しかも仕事が
早いなど惚れ惚れする具合だった。私は今日より彼を「神・高野く
ん」と呼ぶことにした。今日も収録に挑む。


4月23日(火)

 なんということでしょう。明日だと思っていた打ち合わせが実は
今日だった! 大慌てで出社し歓待したのはC出版のSさんです。
とかボカしても大した意味はないのだが、彼である。長時間の打ち
合わせは様々なレベルで実りの多いものだった。ところで打ち合わ
せは喫茶店A店で最初行なっていたのだが、貸切ということで追い
出され別な店にいった。この店の店員はとても可憐なのだが、しば
しば眉間にしわを寄せがちなのが玉に傷だ、と思った。注意しない
としわがついちゃうよ。そこからQRSFへの出演をお願いしたと
ころ快諾を頂いたので、そのうち彼の勇姿が見られるでしょう。


4月24日(水)

 なんということでしょう。今日は講談社BOX主催、目指せアニ
メ化!講談社『BOX-AiR』ニコ生選考会の日なのであるが、
もろもろのブッキングの都合が重なった結果、私が審査員席に座る
こととあいなった。なりあがりである。別に審査員席についたから
といって人間が変わるわけではないのだが。審査員席の方がいきい
きとしているというのは鷲崎先生にも言われたところである。批評
家やからしょうがないで。内容的な雑感としては、アニメ化を意識
せざるをえない独特の賞ではあるものの、やはり小説としてしっか
りしていることが大事。傾向と対策を考えないことは怠惰だが、そ
れだけで生き残れるほど賞という奴は簡単ではない。


4月25日(木)

 精神的に来客がいっぱいである。まずはグループ基幹事業と化し
たアドスフィアの打ち合わせ。先日TYPE-MOONのエイプリ
ルフール企画でも採用されたノベルスフィア(O2エンジン)であ
るが、ゲーム外利用としての本システムの扱いは当社がすることと
なった。電子書籍も浸透してきたし、ブラウザベースでなめらかに
動くあのインターフェースはまだまだ応用可能性があると思うとこ
ろ。その後TINAMIの篠田社長とエンジニアの新人にお越しい
ただく。グループ間協働の顔合わせといったところである。その後
これまたいつもの展開だがQRSFの出演依頼をし快諾頂く。恐ら
く来週には篠田さんらのお話が聞けることだろう。TINAMIも
ラジオとかやりたいと仰せだったので、ここはひとつ我々のプレゼ
ンスを高めていきたいところである。