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菊地成孔さん のコメント

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菊地成孔
>>36


 誤解や斜め読みはもうしょうがないですね。SNSでテラレヴェルに爆発したとはいえ、昔からあったし、表現行為に含まれる不可欠要素だし。

 チャゼルは「一音間違えたら射殺されるという状況でコンサートをするクラシックピアニストの話」というのが「LALAランド」の後に控えていたんですが笑、あいつただのハラスメントへのトラウマ持ちですよ笑。

 音楽、特に初動の教育には、ハラスメントが生じる可能性がかなり高いんですよね。僕は、それによって折れてしまって、音楽が怖くなってしまった人々の元に、音楽の喜びを奪還させるためにペン大をやっている側面もあります。

 だからつまり、チャゼルの本質はハラスメントへのTPSDだから、物語が書けない。TPSDっていうのは一種の静かな錯乱状態なんで、錯乱してんのね。呪って呪って、一発バチコーンって打ったら、あとは惚けちゃうわけですね。話が転がせない=30分以上の観客の誘導が出来ない。かましてフラフラになってる客に、グダグダな仕事見せて「すげえもん見た」と思わせるだけの

 んで、これを

 1)昭和の、やりすぎ熱血少年漫画(梶原一騎世界)みたいに誤解しちゃって、バカの中年が萌える(オッサンの杜撰さ=可愛さ)

 2)SNS時代に、セコいPTSDでがんじがらめになってるクソみたいなガキ(とは限らない。というか、「ガキ」は14から44ぐらいまで)の感受性にぴったりくる(単なる現代病=サブカル嫌いのサブカル自家中毒)。

 という現象が起こるわけ。そして、恐るべきことにはですなあ、(1)+(2)の合算数は侮り難く、っていうよりシンプルに言ってメジャーでしょう。マイノリティである僕の正しい意見なんか、マッチョでバカの集団に対しては耳鳴りみたいなもんですよ笑。


 僕のセッション批判を、「ジャズの専門家から見たらダメなんだろうなあ」という落とし所で合理化したすべての人々は、僕に漠然と賛同しようと、僕を「ジャズ警察」とか言って、引きずり落とそうとしようとどっちも同じ、非常に平均的なマッチョだと思いますよ。

 だって「自分はジャズわからない→でもジャズ映画について語ってる(賛美的に)→そこに「ジャズの専門家」が来て、ボロカスに言った」この段階で、怖くて仕方がないと思います。まあ、僕が、絵に描いたような「専門馬鹿」で、言ってることに説得力がなかったら一蹴できたろうけど。

 彼らは言外に、「わからないことを語ってはいけない」と思ってるのよ笑。ついでに言うと「わからないことがないように=負けないように=叱られないように=恥をかかないように、いろんな勉強をして、武器を身につけておく(アメリカに留学。とか笑)」と考えているのよ。こんなもん絵に描いたようなマッチョですよ笑。

 そんなこと言ったら、映画批評家って、専門分野の作品しか批評できなくなっちゃうし笑。よしんばそれはそれで良いとしても(サッカーのルールも知らない僕だって「少林サッカー」はすごい面白かったし、クラシックバレエについてそこそこ知っている僕が「ブラックスワン」観て「考証むちゃくちゃだなあ笑」と思っても、作品はそこそこ良いじゃないですか。それで良いんじゃないの?)、彼らがタチ悪いのは「お前わかってない」「お前、何も知らないくせに」と言って、下の者にパワハラして自分を上げたい。と云う、マッチョの行動規範に忠実なんですよ。保安官のファンは、少年マッチョか、「この人、危なっかしいけど可愛いなあ」と云う、母性の持ち主ですよ。

 マッチョは未熟な後輩をボッコボコにするし、自分を抜きかねない才能(脅威)は潰しにかかるし、一方で、自分が、自分より物知りな人に否定される=叱られる=恥をかかされる事への、尋常じゃない(殺されるぐらいの)恐怖があります。

 そしてあんな、単なるマッチョの自己防衛暴走(だってそもそも、いきなり手錠かけにきたんだから。アメリカのマッポでしょう笑。あんなもん論争でも対決でもない。不当逮捕と正当防衛の記録じゃないですか)を「菊地、町山論争」なんて云う構えでプロレスみたいに捉える奴らがト民なんだとしたら、我が都にフェミニズムなんて永遠に定着しないですよ。

 僕をセクシストだからアンチフェミニズムだとか言ってる馬鹿ト民がいっぱいいるけど笑、フェミの人はミートゥーなんて言ってないで、まず、リアルなチンコじゃなく、イデオローグとアクティブのチンコをブンブンに振り回して何とも思ってない奴らを一人一人吊るし上げて息の根を止めないと笑。僕みたいにずっと女性とバディを組んで仕事している人間だって、フェミニズムの稜線を踏み越えないように、常に女性とは向き合っています。マッチョにはこのMVは絶対に理解できないですよ。女性は女性だけでここまでの表現に辿り着いたし、今のローマ法王が(カソリックの歴史上初の)有色人種であることを知ってる人は少ないです。

 デュア・リパ/ニュー・ルールズ
https://www.youtube.com/watch?v=k2qgadSvNyU

No.37
50ヶ月前
このコメントは以下の記事についています
 あんまりにも忙しいので(忙しい時に、「これこれで忙しい」って公表できないの、ものすごく辛いですね笑)、初の試みで、ここ数日で思ったことを箇条書きにしてみます。    1)「今年からこの連載、写真が戻ってきます」と言っておきながらスンマセン。今、スマートフォンを持たない、僕のような人間に対する差別が手酷いことになっていて、完全に、最新型の差別だと思います。「スマホさえ持ってりゃすぐじゃん」という事が多すぎる。断固戦います。写真はスマホを使わずに何とか安定供給します。    2) WACK の代表の渡辺淳之介は、坊主頭しか知らなかったんだけれども、髪伸ばして金髪に染めたら、何とカートコベインにロレックスだなあ。と思っていて、「もしや、、、、」と思っていたら、やっぱりだった(ニルヴァーナ聴いて高校中退したそうです。テレビで言ってた)。    3)キングヌーは、音楽的には、ブルーハーツ型の音楽の教養主義型だから、物凄く図式的に現代的で、大変素晴らしいと思いますが、音楽そのものより、「ウルフ(単独行動)」から「ヌー(群棲行動)」の時代へ、という移行のセンスが素晴らしく、ヴォーカルの人が aiko と愛し合っても大好き!(僕、あんなことしたら、、、、っていうか、そもそも出来ないけど笑、、、、即死しちゃうと思います。脳の動脈瘤が破裂して笑)ただ、「クラシックやってた人は普段はクールで、ステージだとトランスする」という、見飽きたヨーロピアン・ヒステリーは是非モンで超克して欲しかったのでそこだけ残念。タバコを吸うところも藝大っぽい。藝大じゃない組はジャズ組っぽくて、そのミクスチュアもカッコ良いよね。  
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