• このエントリーをはてなブックマークに追加

菊地成孔さん のコメント

userPhoto
菊地成孔
>>7

 前回の日記読まれましたか?「不安とシリアスはニコイチにしてはいけない」というやつ。

<何故かと言えば会社員としての仕事と画業のダブルワークの身である私にとってコロナとは、自分が苦しめば、もしくは死ねば済むものではないからです。兎に角、周囲に迷惑をかけます。会社が倒産、業績の傾きにより全ての関係者の生活が脅かされ、それがその家族にまでおよぶからです。生意気なことを書いて申し訳ありません。>

 ↑ 生意気だとは全く思いませんが、必要以上にシリアス(かつ、若干ヒロイック)だと思います。

 僕の書き方が「コロナ心配してるやつはバカだ」ぐらいに、、、、っていうか、そのまま書いてあるので笑、自分はバカではない、あるいはコロナを怖がるのはバカではない、何故なら、、、、とおっしゃりたいと思うんですが、上記引用の部分の文意は、明らかに「コロナではなく、他者、会社、に迷惑がかかるのが怖い」ということを指していると思います。

 コロナ自体の評価については、実際のところ、誰にも正しいところはわからないんですよ。あなたがコロナをどう自己査定し、それによってどう怖がっているのか、が「コロナがいかに怖いか」という問題そのものであって、そこに関しては「兎に角」つって突破しちゃってて笑、何度読んでも、コロナが怖いかどうかよりも、迷惑が怖い、破滅が怖いと思っているようにしか読めません。

 それで全然問題ないと思いますよ。人に迷惑をかけるのは、かなり文学的、犯罪的に見積もっても、絶対悪ぐらいに悪いことですから。ただ、それ言ったら、「コロナ以外で人に迷惑かけてないのかよ?」「コロナの感染だけ気をつければ、他の迷惑に気を使わなくてもいいのかよ。木を見て森を見ずだ」といったような反論を用意されてしまい兼ねません。会社の倒産が世界の崩壊に繋がる、というのは恐慌の始まりの事だから、要するにあなたも僕と同じで、コロナよりも、恐慌のが怖いのでは?僕は、「怖い」と表現していますが、「危険視している」というのが正しく、心理的にはワクワクしているのは止められません笑。不謹慎は承知で。

 睡眠障害や鬱病を患ったのであれば、おそらくですが、コロナ以前に「自分は死んでしまいたい」「自分なんか生きていても何の意味もない」「自分なんて人に嫌われ、人に迷惑ばかりかけている。生きている価値なんかない」と言った類型的で強い感情に囚われて苦しまれたご経験があると思います。

 そうしたベーシックな心的な動きに乗っかるのに、疫病騒動はぴったりなんです。ゾンビとかそうですね。主人公の恋人や仲間がゾンビにちょっと噛み付かれた。彼らは完全にゾンビ化する前に「今のうち俺を殺せ」っていう訳ね。年齢的にも気持ちが沈みがちなのは良くわかりますよ。バカ扱いしてしまってすみません笑。でも、まだ正体不明のものを最強だと決定づけて、他のことが見えなくなるのは、端的にバカのすることですし、必要以上に、没理論的にシリアスになったりヒロイックになったりするのは、時には危険さえ伴います。あなたが一番したくない、他者への迷惑に発展する可能性もあります。

 まあまあ、ここはひとつ、ココ、Twitterではないので笑。お気を楽に持たれてですなあ、感染には気をつけて、人様に迷惑がかからないように頑張ってください。でもそれって、今、強制されるぐらい、当たり前のことですよね?(僕も気をつけてますよ)あなたがニッコリ笑って、お仕事に精を出されていれば、必ず現状は打破されます。バブルみたいに良い調子でみんなが過剰に浮かれてる方が、世の中悪くなるんですよ笑。今は皆さん、真面目にことに当たっているので、世の中は良くなります。それに際し、酒乱みたいに苛立ったり(あれみんな、個人的な過去の怨念が、酒に乗っかってるだけだから、良い迷惑ですよ笑)、荒れたり、楽しくやろうとしている人々を攻撃したりしないことが肝要です。

 僕は、それこそSNSが悲観論と東電批判の嵐だった、その頂点の時期にラジオ番組を始めたんです。その時に神託ぐらいの重さで心がけたのは、「シリアスにならずに、良い湯加減で、調子よく楽しくゆくこと。泣く時にはないて、笑う時には笑って」という事です。未だに後悔はしていません笑。



 
No.14
56ヶ月前
このコメントは以下の記事についています
 現在の状況について、何かシリアスに語ることほど詰まらない事はないですし(「ついついそうなってもしょうがないよな感」が充満しているだけに)、大ぴらに楽しめば不謹慎扱いになるし、結果として「こっそり楽しむ」しかないですが、それはもうやってるから笑、、、、    っていうか、僕、そろそろ57年になる人生の中で、本当にもうどうしようもないぐらい楽しかった1年間があって、それは「予備校に通う態で上京し、3畳1間のアパートに住んだ1年間、なんですよね。    テレビもなく、もちろん携帯電話もなく(1982年だからね)、洗濯物はコインランドリーで、ラジカセだけはあって、でも「ビートたけしのオールナイトニッポン」の録音以外にラジオは一切使わなかったし、地元から持ってきた本と、カセットテープの山で、夜食は箱買いしたチキンラーメンを生でバリバリ食べて、とにかく、無茶苦茶充実してました。チキンラーメンの箱の中から「どれが一番旨そうかなあ?」って悩む時間の楽しさね笑。  
ビュロ菊だより
「ポップ・アナリーゼ」の公開授業(動画)、エッセイ(グルメと映画)、日記「菊地成孔の一週間」など、さまざまなコンテンツがアップロードされる「ビュロ菊だより」は、不定期更新です。