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菊地成孔さん のコメント

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菊地成孔
>>7

 朝吹さんこんにちは。もう思い出話は、メンバー間でも止まらなくなっているので笑、ひょっとしたら一生止まらないかもしれませんね笑。僕は忘れる能力が非常に高いので、先々しか考えていませんが、一人になった時にふと、このバンドの構想を練り上げて、プレイヤーに電話して誘った時のことなんかを思い出したりしています。その時僕は、道を歩いていました。


・会場に入ったらメシアンのアリアが迎えてくれた。

 ↑ アレはウチの黒幕の、高見一樹(解散していた僕らをペテンにかけて、無理やり再結成させた男)の仕業です。


・ライブ会場で開演前にあるアテンション放送で、何で<Hey Joe, We're dismissed now / PARTY 2 - TOKYO>だけ、めちゃ発音がいいんだよ!トム・ミッシュのSTUDIO COASTライブでも、こんなに発音良くなかったぞ。

 ↑ いやあ、簡単な英語だったからではないでしょうか。アレはクラブ側の方です(確か)。


・「ハノイ」のとき、ふと、フロントがキーボード3人というバンドはあるんだろうか、しかも優秀なブラス隊がいるにも関わらず。。などと思っていたら、坪口さんと小田さんのディオになったとき(ちょっと会場が静かになったとき)、わたしの後ろから女性は初めて来たらしいカップルの会話が耳に入ってきて、お嬢さんはクラシックピアノでも習っていたのか、「真ん中の背中向けて下手くそなキーボード弾いている人が一番要らない、シンセで変な音だして邪魔してるし」とか言い出して、彼氏か旦那さんか不倫相手かわかからないけど「バカ、あの人が居ないと演奏がはじまらないんだよ」と説明してて、お疲れさまです、と思った。

 ↑ 最後のライブにまでこういう方々がいるのが嬉しいですね笑、完全に理解されたら、それはやりすぎです、僕にとって。



・席が小田さんと菊地さんの間ぐらいのポジションだったので、影になって前日にギターのネックの指板をレモンオイルでピカピカに手入れしていた、大村孝佳さんが見えなかったのですが「Hey Joe」が四拍子になって、CからEへ行って、そこからクロマチックで上がっていくところから超絶ソロ炸裂で先っちょがちょっと濡れた。王子親衛隊はさぞかしすごい状態なんだろう。

 ↑ これはディスでも何でもないですが、実際に涙ぐんでしまった小田さんが一番薄情とも言えます笑、ジェンダー論だと思わないで頂きたいんですが、普段はクールとマニッシュで外装している小田さんの、女の子、というか、幼い部分が表出したと思いますし、そう言ったものは往々にして強いです。

 しかし、男の子たち、特に若い世代のメンバーの「ぐっと堪えている感」は実質が重いですし、演奏にもそれは現れていました。大村くんはヘビメタという縦社会の中で生き抜いて、頂点近くにまで上り詰めたストイシズムの人です。コロナの間もずっと部屋で腕を磨いていたと思います。そして、大村君こそが、解散によって、もう二度と会えない可能性、を一番持っている立場の子なので、僕は、大村君が当日の演奏開始ギリギリまでクールを貫いたことに、想定内とは言え、胸が熱くなるのを禁じえませんでしたし、「誰がゲロるか」は、飲み屋の倅として、常に見張っています笑。僕は大村君のセッティングから、演奏中の指板の使用範囲まで、いつでも刮目しています(一番刮目してないのがサックス。自分も吹くので)、あの日の大村君は、彼のスキルの平均値を超えていました。終演後もクールで礼儀正しい姿勢を一貫していました。


・坪口さんがDC/PRGの解散ツアーに向けてのコメントを御自身のホームページにアップしていて、『最初に菊地さんからデトコペの構想(エレクトリック・マイルスやプーさんみたいに)を聞いたとき「坪口はホルンで参加してくれ」と言われたんだよ。なんだそりゃ?面白そうだから良いよ別に、と楽しみにしていたところ、ソリストが少ないからやはり鍵盤で、となった。そりゃそうだ。でも実は2nd Album「構造と力」では、アレンジの段階からホルン入りを想定していたのでレコーディングでも吹いているんだよ。ライブでもその頃2〜3度吹いた。』と書かれていた。「MIROR BALLS」でホルンを持ち出したのは、おふざけでも何でなくて、正式にはホルン担当だという事実を知る。

 ↑ まあ、正しくは、彼はブラスバンドでホルンをやっていたので、売り込んできたのです笑。元老院たちが、初めて立ったり笑、久しぶりでフルート持ち出したり、前夜までホルンの練習をしたり、というのを見て、「まだみんなわっかいなあ」と思いました笑。

・ライブで「うおおおおおおおおおおお」となることはあっても、「う゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛」となることは初めてだったが、今となっては理由がわかる。わたしは<看取りフェチ>なのだから。

 ↑ 朝吹さんがぺぺにも大変に興奮するのは、ぺぺが「常に葬送を行なっているオルケスタ」であって、使徒永劫が結びつく場所だからだと思っています。



・菊地さんのMCと「MIROR BALLS」で超ハッピーになって大団円お迎えて、もう慣れっこになった規制退場で会場の外に出たら、デビルマンみたいな人が座ってタバコを吸っていた。

 ↑ あの人はROVOの贔屓筋ですよ。最後だから正装で来てくださったんでしょう笑。


・公演後に坪口さんがTwitterでラストライブに行った人たちの感想に<いいね>やリツートしまくっていて、坪口さんも色々と思う所があって感傷的になっているのかな、と思っていたら、明け方4時半ごろに「異端InstrumentチームDC/PRG解散により、ついに菊地成孔のパーマネントなリーダーバンドへの参加が全てなくなっちまった夜。 長らく、ありがとうございました!」という本人のツイートが流れてきて、我慢できずに落涙。

 ↑ これもディスターブではないと明言してから申し上げますが、ピアニストのロマンティシズムは、楽器の特性上(世界を両手で抱えているので)仕方がなく、要するにロマンティークはロマンティークで、それ以上でも以下でもないです。小田さんは女性だからとか、末っ子だとかうプロファイリングだとか、退行したとかいう、前述の評価もできますが、やはりロマンティークでしょう。

 今回、タレコミも非常に多く、それは「メンバーの誰それがT国で呟きが止まらなくなってます笑」といった微笑ましいものでした。僕は、坪口や小田さんがロマンティークになったり、もともと生徒だった高井君がロマンティークになったりする事は想定していましたし、なのでそんなに胸が熱くはなりません(良い意味で)、ですが、大村君が、「ちょっとでも漏らした」瞬間を見たら、崩落してしまったと思い、タレコミによってT国には入らないことにしました。

 まあ、坪口が言う、今までずっと繋がっていたフックがとうとう切れた。と言うのは事実ですし、意味なきこととも思いません。しかし僕は、坪口は元老院の1人だし、今後も共にあろうと思っています。具体的には、彼が現行の教授職を退職したら、一緒にバウハウスみたいな学校を経営しようと思っています。アントニオ(ロウレイロ)とも、ヨスヴァニ〜(テリー)ともその話をしました。21世紀には新しい学校が必要です。僕の独力では、もう完全教育は難しい。彼にしか教えられない領域があるし、それは大儀見もケンタも一緒です。しかし(これは、あらゆる意味での優位を意味するものではなく、単なる職能ですが)バウハウスができたとして、校長や統括をするのは僕の仕事になると思っています。今その勉強をしています。


・もうどうせ寝られないので、鍵盤とギターの練習をしてから、朝の犬の散歩へ出た。

 ↑ 練習は欠かせないでください。ヴェルダン(オヴセピアン)が言ってました「我々が自己実現するにはプラクティス、プラクティス、プラクティス、そしてプラクティスしかない」って言ってました笑。


20年以上ありがとうございました。

 ↑ こちらこそ。今後ともよろしくお願いします。





 
No.14
37ヶ月前
このコメントは以下の記事についています
 もう解散したので、バックヤードの話を少々しても良いだろうと思う。バックヤードの話のが演奏よりも、時間換算して数千倍あるのは言うまでもない。僕はステージ上でオルガン弾いたり、指揮したり、最近はカウベル叩いたりしているけれども、最も細心の注意を払っているのは実はタイムキープだ(因みにぺぺでも)。    コロナ以前の世界でも「もう、やりたいだけやっちゃいましょうよ」なんて言う粋な計らいをするクラブはなかった。全ての楽団は充てがわれたランニングタイムを遵守しないといけない。    増してやコロナ禍の中では、完全撤収時間が厳格に決められるようになり、「やりたいだけやり切って、尚且つ時間は守る」というライブショー・ビジネスの基本が、さらに厳しいものになった。<会場を借り切って、無観客配信>というのは、僕はやらないが、アレだってさすがに家飲みみたいにはいかないだろう。  
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