菊地成孔さん のコメント
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セネガル人のママドゥは、ルノアール渋谷店のソファに座り、スマホをいじっていた。色々な手配が必要だからだ。ミリ単位で綺麗にシェイヴされた髭、アフリカ人の特権である、どれだけ宝石を身につけても下品にならない茶褐色の肌、痩せ型でとても静かに話す。北米だったらゲイピープルと目されるだろう。ママドゥは足元の大きな袋を指差し、在日アフリカ人独特の無表情で「あ、この中にあるから」と言った。
元 DMR 、現在は HMV ヴァイナルシブヤの上にあるルノアール渋谷店は、他の多くのルノアールと同じ、壁面ウインドウを誇っていた。僕は基本的に渋谷は使わないが、ヴィロン(パン屋がやっているブラッセリー)とプラザ(水槽型の巨大なプールが設置されているラブホテル)といくつかの映画館をごくごくたまに使うので、道玄坂より東へはストリート1本でも全く通らない。
民族衣装着て民族音楽やるのは、外人が浅草寺で貸し出しの着物着て写真撮ってるのと大差なく、要するに楽しいでしょうね笑。大儀見とは、僕がデラルスのゲストで出た時からですが、当時奴はサルサ一点張りでしたが(だったので、ウエアはスーツでした。ファニアがスーツを定着させたんで)、その後、外山加入で本格的にアフリカ化したティポグラフィカに加入して、アフリカ音楽に目覚め、セネガルのドゥドゥのキャンプに行ったり(確か、ですが2回行ってると思います。因みに僕は行ったことないです)セットがミクスチュア(ラテンとアフロとドラムキットの)になったりして行ったんですよね。タトゥーも大きいですね。デートコースでもペペでもタトゥーありは僕と大儀見だけですし。
いみじくも「ネオ」ヒッピイズムと言いますが、最初のヒッピイズムはインド志向でした。ただ、シタールもタブラもなんちゃってが無理な楽器で、思想だけでしたが。
インドネシアの楽器も邦楽器も非常に難しいです。アフリカの楽器は、叩けば音は鳴りますし、だからこそ、民族音楽の理解がないと浅草の着物とカツラになっちゃいます。ティポグラフィカもデートコースもぺぺも、民族衣装着ないで、トランス目当てのトライバル系ではない、トライバリズムを構造として導入したと聴衆が理解したのはここ5年ぐらいじゃないですかね。
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