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菊地成孔さん のコメント

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菊地成孔
>>2

 詰まるところ、プロパガンダの話なんですよね。プロパガンダに対する20世紀の総括っていうのはもう使えないですから、今、言語化し、客観化した方が良いと思うんですよ。

 「じゃあお前、筒井康隆の小説はプロパガンダだっていうのかよ?」っちゅう話ですが、チャップリンは、ヒトラーを「殺人狂時代」で批判した時に、「すべての映画はプロパガンダだ。ラブストーリーは愛のプロパガンダだ」と言いましたが、まあそれともまたちょっと違うんですよね。

 「千と千尋の神隠し」を、「若い母親」が熱狂した時、「ああ、これが純粋プロパガンダだな」と思いました。「純粋プロパガンダ」というのは、見るものの政治性を見えなくしてしまう。ただそれだけの力で、その先がないものです。ただ魅力的で、それ自体がめちゃくちゃ売れるけれども、ナチスのプロパガンダとかとは違うという感じで。

 「夏樹先生、いいんですか女はバカで感情的だ、ぐらい欠いてある小説に熱狂して笑」と言ったら「男もギタギタにやられるからいいんです!!笑」と、元気にお答えになったので、一瞬納得しそうになってしまいました笑。

 僕は20世紀みたいに、プロパガンダを脅威に思う、とかいう話がしたいんじゃなくて、また、クラカウアー時代の「プロパガンダには、人々を熱狂させる要素がある」とかいう話とも違って、まあ結局アンビバレンスですね。ご説にあるバイデンに投票。のことですが、そもそもアンビバレンスは精神分析学の用語です。SNSは、ちょっと前まで、悪いやつを消せる。と、特に根拠もなく思い込んでいました。が、結局、消すことは出来ず、ヤバい人を押し上げる力が証明されてしまった。これだけでも、プロパガンダについて落ち着いて考え直すべきだと思いますし、あらゆるエンタメに対しても然るべき形で処すべきだと思います。
No.5
6日前
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  夢グループが、前番組、前々番組も含めると、気がつけばもう10年以上になるテレビ番組( BS 朝日)があって、毎回見ている テレビ番組( BS 朝日)があって、毎回見ている。「人生、歌がある」というタイトルで、まあ、改めていうまでもないが、ベタなタイトルである。この4月からは、司会が吉育三と岡田美里(ファンファンの娘で、元・マチャアキの嫁)になり、完全に安定した。    夢グループのことも、ましてや、この番組のことを、「正しく」説明するのは、僕には無理だ。いま、説明が一番難しいものになってしまった。これを20世紀的なキャンプの果てとするか21世紀的なニューシングとするか、もう既に、前者はマツコ・有吉でも取り上げられまくっているし、なんと我が故郷の銚子電鉄(廃線になるなる詐欺と言われて30年ぐらい経つ。僕も、デビューしてからほぼ毎年、イベントの依頼が来るが=全てが「セーヴ・ザ・銚電」なのだけれども)とさえ夢グループはコラボしている。    20世紀サブカルの知性の最高値を持ってしても、夢グループの説明は難しい。不確定性原理の説明が難しいような難易度ではない。そこに映るものは、50代以上の日本人なら誰でも知っているような有名物の残骸ばかりで、僕も、初見の時は残骸の集積にしか見えなかった。    なのだけれども、それがそうでないことはすぐにわかった。その時の、途方に暮れ方はハンパなかった。自分の説明能力を過信していたのだ。何だって的確に説明できる。オレが説明して意味不明というやつは救いようがないバカだ。ということで、60年近く生きてきてしまったし、未だに、夢グループと、「人生、歌がある」に関して以外ならば、そのことに揺るぎはない。  
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