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ビュロ菊だより 第三十一号 「菊地成孔の一週間」
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ビュロ菊だより 第三十一号 「菊地成孔の一週間」

2013-05-23 12:00
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 「菊地成孔の一週間」改め「菊地成孔の一週間ですぞ」にしたらどうかな菊地成孔の一週間ですぞ5月中旬(いきなりですけど「叫ぶ詩人の会(リーダー、ドリアン助川)」って憶えてますかな?ワタシいま突然思い出しました)。



5月13日(月曜)

 先週末はプチ断食をしていて、口にする物は、起きてすぐに飲むグリーンスムージー(ケール/トマト/キャロット)と、ゼリー食と水、の3つだけだったので、身体も軽い週明けなのだが、(さすがに野音本番前には崎陽軒の――日本弁当史上に名を残す歴史的傑作である――「シウマイ御弁当」を半分だけ喰ったが)こういう時はリバウンド衝動もたっぷり準備されている訳で、それまで押さえ込むとかなりややこしくなるし、なにせ今月末には随分と久しぶりでモデル仕事(低身長用紳士服専門誌「CHIBICCO」の表紙)があり、久しぶりでがっつりダイエットしないといけないので(「チビな上にハゲで、おまけにデブだったりしたら、読者に救いが無いので」と編集長――身長154センチメートル――に言われたので)、今週は遠慮せずに普通に喰い、翌週から斜をかけて減らして行こうと大人計画を立案。とはいえスケジュール帳に毎日<どの店で喰うか>を書き込む、という実質子供計画なので、いきなり初日から計画が狂った。

 今日は、当連載の数ヶ月前に良く出て来た、新宿御苑地区の寿司屋「匠 達広」に行く予定で、服(UOMO誌が推奨する「寿司屋用スーツ」)まで決めていたのだが、ラマダン明けに寿司を詰め込んだりしたら胃が驚くと思い、一応火を通したものを。という訳で、久しぶりで「鍋屋」に行く事にした。

 ペン大はフタコマで、最高クラスである「ペン大学院<20世紀以前>ゼミ」と、最初心クラスである「13年初等イエローアイド」。前者はバッハとアフリカンリズムを1時間ずつやって、両者がブルースに結びつく過程をスローモーションで見てゆく。

 後者は先週の金曜と同じ、調号のインストールであるが、授業の途中から「鍋屋で何を喰うか?」という頭になってしまい困った。自分で決めるととんでもない皿数を注文してしまいそうなので、見張りとしてイーストプレス(出版社)の菊地番であるコーラくんを呼び出す。

 とはいえ鶏の燻製を半羽分(絶品)、海老春巻き(絶品)、レバーとニラの炒め(絶品)、皿ワンタン(大絶品)、大正えびと黄ニラの塩炒め(大絶品)、ワタリガニと卵の塩味炒め(かなり絶品)、そして五目炒飯と酸辣湯麺(ブルータスの麺特集で紹介したほど絶品)と、かなりの量に成ってしまった。

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 既にこの連載の常連店なので皿ごと逐一解説しないが、とにかく上海料理屋(要するに中国全土料理店。イタリアに於けるローマと同じである)のカジュアル店としては東京でもトップだろうと思う。

 唯一リクエストがあるとしたら、鍋屋は毎年ボージョレヌーヴォーを仕入れるときに10倍仕入れて、年間通じて出してほしい。上海料理に会うワインの頂点はボージョレヌーヴォーで、マリアージュの高さは、あらゆるフランス食を超える、軽めのパテとパンにさえ合わないボージョレヌーヴォーと上海料理は最も幸福な関係である。

 鍋屋がマウントしている赤ワインはチリのカベルネで、上海醤油のカラメルとぶつかりやすい。自分がもし将来、上海料理店をやるとしたら、年間を通じてボージョレヌーヴォーが飲めるようにする(ヌーヴォーなら何でも良いという訳ではない)。

 書きながら妙に興奮してしまったので続けるが、中華は鴨を喰うからボルドーを置くというのは、バカとまでは言わないが、早計かつ誠実さに欠ける(まあ、パリがそうしてしまったのである。当連載のパリ編に出てくる、あの素晴らしい「ミラマー」でさえ例外ではなかった)。

 これは恐るべきポストモダンであった「エルブリ」の盲点でもあった。エルブリは世界中のリカーから、信じられないような、とてもカクテルとは思えないようなカクテルを作り、料理と合わせるべきだったのではないか?あんなとてつもない料理に銘柄の良いワインを普通に会わせていた(エルブリがテーブルワインに使っているマリウスを飲んだ事があるが、どう考えてもハーモンとアヒージョにバッチリ。という味だった)フェランアドリアの天然ぶりは愛すべき物であるが。この誤謬は愛弟子である山田さんがやっている「山田チカラ」でも変わらない。あそこの意欲的な女将には、是非、狂ったようなポストモダンなカクテルを考案して頂きたい。


 
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