菊地成孔さん のコメント
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11月7日(木曜)
「ドミュニストの誕生」を100回ぐらい聴いてしまっているので、ソロライブの歌詞とリリックが憶えられねえっつうの!からっからに乾いた喉から!!とかいいながら今は「夜戦と恋愛」が流れています。ここでの「力の合わせ方」は本当に凄い。チームプレイは音楽の前提ですが、その中には霜降り肉のラルドのように個人プレーが挟まっている訳で、刺し無しの赤身の迫力は鮪と牛肉に共通するものですが、「夜戦と恋愛」は完全な赤身で、個人プレイの開陳合戦になりがちのジャズ~ヒップホップの中でもアンサンブルぶり(計画的な物ではないです。結果的なもの)が凄さまじいです。映画で言うと、すっかり娯楽映画の監督になって、誰も見ていない時期のカサベテスの「ビッグトラブル」並みですね。この映画の、利害関係が激しく複雑に対立する登場人物が最終的にまったく同じ目的を達成する同志になる。という構造は、類似製品がたくさんがありますが一番凄いと思います。クラブで爆音で聴くか、イヤフォンで聴く用にマスタリングしておりますので、難聴に成るまでいっちゃってください(既に DCPRG の活動によって左耳が難聴になっている人物の無責任な興奮によるフライング)。
そうなんですよ。いきなりヒップホップかよとかラップが下手とか耳のおかしいバカに言われてますが(笑)ワタシがどんだけリズムを追求してきたマイク持ちか考えてほしいですよね(笑)。そこに持って来て、ワタシのみならず、YOSIO*O、OMSB、MARIA、DyyPRIDE、MOEという人々は、今文学に寄った、テキスト網羅的なリリックを書かせたら頂点にいる人々なので、テキスト読解の重層性はおそらく日本のヒップホップのアルバムの中で一番高いと思います(それがヒップホップの至上の価値ではありませんが)。ワタシが一番リアルでストリートなだけのリリックで、レトリックを使ってないですね。そういう意味でも極めて珍しいと思います。
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