「異彩を、放て。」をミッションに掲げ、福祉を起点に新たな文化を創るヘラルボニーが、ダウン症のある作家・八重樫季良のドキュメンタリームービーを公開しました。去る3月21日は国連制定の「世界ダウン症の日」。しかし2020年は、コロナウィルスの影響で、啓発イベントやキャンペーンが余儀なく中止となりました。そこでヘラルボニーは、公益財団法人日本ダウン症協会(以下JDS)の後援を受け、自宅で視聴できるドキュメンタリームービーを発表。「できない」ことを「できる」ようにするのではなく、「できる」ことをさらに「できる」社会の実現とは?そんな可能性を考えさせてくれる素敵な映像となっています。

絵を描いて50年。

心が躍り出すような楽しい音楽と共に、八重樫季良さんの紹介がはじまりました。

モノクロームの写真と共に語られる八重樫さんの生い立ち。それは、ダウン症という先天性の知的障害によって、「義務教育からはじき出されて、社会的な繋がりは、家族と近所の人、そして施設の職員だけだった。」というものでした。

そんな八重樫さんが、絵を描きはじめて50年…。現在63歳となった彼は、カラフルでとても独創的な絵を描く作家となっていました。これらの絵は一見、抽象的な幾何学パターンのようですが、実は建築物を独自のアレンジで描いているそう。

休憩中の場面では、とても楽しそうに無邪気な笑顔を見せる八重樫さん。短いシーンですが、得意な絵の制作に邁進し、これまで数千点に及ぶ作品と向き合ってきた日々が、とても豊かなものであったことが伺われます。

そして令和元年。岩手県で生まれ育った八重樫さんの絵が、花巻駅をラッピングするプロジェクトが実現することに…!

カラフルに彩られた花巻駅

いよいよ、日本初の実験的なプロジェクト「HANAMAKI ART STATION」がスタートしました。

一気にカラフルで楽しい雰囲気になった花巻駅。早速、通りがかった人々が、興味深そうに八重樫さんの絵を見ています。

中には、立ち止まってプロジェクトの説明文も読む人や、スマホで写真を撮っていく人も。そしていよいよ、八重樫さんご本人も花巻駅に到着しました。

自身のアート作品がラッピングされた駅を見て、とても嬉しそうな表情を見せる八重樫さん。見ているこちらまで幸せな気持ちになるようなリアクションでした。

「ダウン症」と聞くと、私たちは「できない」ことに目がいきがちかもしれません。でも、こんな風に「できる」ことに目を向け、それをさらに広げていける社会になったらどんなに素敵なことだろう…。そう考えされられるドキュメンタリー映像でした。また、このプロジェクトに携わったヘラルボニーの活動もとてもユニークで、今後も注目していきたい企業だと感じました。

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