ダークナイト [Blu-ray]

 いまさらというかようやくというか、クリストファー・ノーラン監督の『ダークナイト』を観ました。

 いやあ、面白かった。評判に違わぬ大傑作!と云いたいところなのですが、実はこの映画を観終えたあと、微妙な気分になってしまったことも事実なんですね。

 この映画が公開されてから5年ほど経っているわけですが、やっぱり5年前に観るべきだったという思いが消せません。

 大傑作には違いないのだけれど、5年の歳月はこの作品からサプライズとインパクトを消してしまったような気がします。

 誤解されたくないので急いで付け加えるなら、この映画がすごくないというわけではありません。

 何という綺麗なシナリオなのでしょう。恐ろしく頭のいいひとが書いたということが一瞬でわかる物語です。

 また、そのテーマの格調高さ。それぞれに歪んだ善と悪の対立と対決という構図には、まさに「現代の神話」と呼ぶべきスケールの大きさがあります。

 でも、きわめてインテリジェントかつロジカルに作られていた物語であるからこそ、逆に頭で追いかけていくことが可能なんですね。

 もちろん、5年前にリアルタイムで観ていたらぼくも圧倒されて言葉もなかったことでしょう。

 でも、そのあいだにぼくは『コードギアス』や『東のエデン』を観たし、『まおゆう』や『魔法先生ネギま!』を読んだし、何より『ガッチャマンクラウズ』を体験しているわけなので、この文脈を整理できてしまっているんですよね。

 だから、本来なら感じるはずの衝撃性をあまり感じることなく終わってしまったというのが正直なところです。

 この映画は典型的な「ヒーローの孤独と苦悩」の物語です。おそらくこのテーマの最高傑作と云っていいかもしれません。

 それには何の文句もないのですが、やっぱりもうちょっと早く観るべきだったなあ、というのが率直なところです。

 まあ、いままでさんざん観ろ観ろと云われていたものを観ずに来たぼくが悪いのだけれど。

 もっとも、全編を貫くスタイリッシュなアクションと緊密な展開、そしてジョーカー役のヒース・レジャーを初めとする俳優たちの演技は、それだけでも迫力十分で、決して映画を観る意味がなかったというわけでありません。

 映画の最後でバットマンがすべての責任をひとりで背負い、悪の汚名を着て去っていくところは、『コードギアス 反逆のルルーシュ』を思わせます。

 この映画を観てあらためて思ったのは、