TTTさん のコメント
このコメントは以下の記事についています
文月メイ『ママ』という曲の歌詞が話題になっています。歌詞を全文引用するわけには行かないので、冒頭だけ引用しましょう。
ぼくのことが邪魔なの?
あのゴミ袋と一緒に捨てるの?
生きることが辛いの?
頼る人が誰もいないの?
全文は以下で。
http://music.goo.ne.jp/sp/lyric/LYRUTND150836/index.html
この後、「ぼく」が「天使」となり「いつでもママを見守ってる」という内容が続きます。これが「虐待を肯定している」として批判を受けているわけです。
さて、この批判は妥当でしょうか? 少し考えてみましょう。
ぼくが最初にこの歌詞を読んで考えたのは、これは「虐待を受けてなお、「ママ」を愛さざるをえない子供」の視点から虐待殺人事件を描いたダークでシニカルな歌詞なのではないか、ということでした。
じっさい、我が子を殺害した(と思しい)「ママ」や強烈な皮肉として読むこともできると思うのですね。
しかし、どうやらそういう作詞者の意図はそうではないらしい。作詞者の文月メイさんはFacebookに書いています。
この曲に込めた思いを綴ります。
虐待のニュースを頻繁に耳にする昨今。自分の子どもを殺すという異常な行為、人間が人間でなくなる瞬間にあるものは「愛の欠乏」ではないでしょうか。子どもから親への揺るぎない「無償の愛」を、一人でも多くの心を失いかけている人に伝えたい思いから「ママ」が出来上がりました。
https://www.facebook.com/fumitsukimei/posts/468813989863172
どうやらそこに一片の皮肉もなく、「無邪気な善意」で書いたらしい。これに対して、違和や批判を示している人たちの言い分はこんな感じ。
当事者に非常に近い友達でも当事者の気持ちはなかなかわからなかったりする。私も私を愛してくれる10年来の友達にすらACを理解してもらうのは難しい。けど文月メイさんの歌をキモチワルイと最初から言っていた友人は何人もいた。感覚って大事。
なんで「ごめんね」なんだろ。こういう被DV思考が間違ってるってことを伝えなきゃいかんのではないだろうか。なんで「嫌いになったりしない」んだよ。虐待しても子どもは愛情をもって赦してくれると言いたいのか...?
ここで話題になっている文月メイさんの歌の歌詞をググって見た。
正直なところ、違和感と独り善がりだけだった。
どこが良いのか、さっぱり解らなかった。
児童虐待から生き延びた人たちは、怒りに震えているのではないか。
http://togetter.com/li/588416
また、今一生さんはブログでこの歌詞を批判して以下のように書いています。
その歌では、わが子を虐待した後でゴミと一緒に捨て死なせた母親に、殺された子どもが「ぼくには、たった一人のママ 嫌いになったりしないよ」と言う部分などが、親から虐待された経験のある当事者たちから続々と不快感を示されている。
中には、「この歌で泣いた」という反響を見たために、虐待に対する世間の無関心ぶりに絶望感を覚えて自傷行為に及んだり、気分障がいを起こしたり、虐待されたトラウマの記憶に不意に襲われたというリスナーもいた。
こうなると、もはや公害だ。
「児童虐待への気づきになれば」という趣旨を宣伝文句にするなら、いま流行の「偽装表示」もの。
解釈自由の歌という商品だからこそ、発売元のユニバーサルミュージックジャパンの社長が謝罪会見をしなくて済んでいる。
(※児童虐待防止月間の1ヶ月前に発売してるんだから、その商売っ気で謝罪会見を開いて宣伝すればいいのに)
http://createmedia.blog67.fc2.com/blog-entry-190.html
うーん、という感じ。「公害」か。また、今さんはこうも記しています。
表現の自由は、自分が表現した作品に対する受け手の反応を受け入れる覚悟ができない限り、拡張できない。
受け手を傷つければ、恨まれたり、殴られたりするかもしれない。
そうならないよう、世に出す前に作品を「編集」したり、自分が題材にした当事者から感想をもらうのは、表現者が自由に表現するために必要なスキルだ。
だが、表現者がむしろ警戒すべきなのは、表現者が知らないところで、自分の作品によって責められているように感じ、傷ついた人が不安や恐怖に苦しみ続け、誰にもそれを言えないまま死んでしまうことではないだろうか?
『ママ』のレコード会社や制作責任者のプロデューサは、歌詞に描かれた「虐待死」を犯してしまった親たちに発売前に聞かせただろうか?
その配慮をせず、「賛否両論を呼べば話題が広がって売れる」と見込んで、未熟な詞のまま新人に歌わせたなら、矢面に立つ歌手にだけ責任を負わせるひどいデビューだ。
http://createmedia.blog67.fc2.com/blog-entry-189.html
ここまで来ると、ぼくははっきり「ちょっと待ってくれ」と感じてしまう。
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