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空月さん のコメント

>>1
アニメの声優陣も豪華でさらにその役も様に合っていて見ていて飽きが無い所が魅力的。
これから銀河英雄伝説に入るのなら私もアニメをお勧めします。
ツタヤで普通にレンタルもできるロングセラー版ですし
No.3
147ヶ月前
このコメントは以下の記事についています
 先日、某平和さん(http://d.hatena.ne.jp/kim-peace/)が、こんなことを書いていた。 実は・・・銀英伝が判りません 小説を読んだことも、アニメを見たこともありません。ヤン提督の名前と顔はかろうじて一致します。 スターウォーズのデススターみたいな要塞がでるんでしたっけ? 某所と某所がDVD-BOXの話題で盛り上がっていたのですが、全然付いていけません・・・   読めよ。  いや、ひとの価値観はそれぞれなので、どの本を読むのも読まないのもそのひとの勝手ではある。でも、ライトノベル読みなのにこの作品を読み逃がしているなんて、それは人生の損失でしょう。  およそ、日本のキャラクター小説で、この作品を超えるものは存在しないと思う。単純に商業的側面だけを見ても、正編全10巻だけで1000万部を超えるセールスを記録している。日本出版史上屈指のベストセラーなのである。  もちろん、世の中には何がおもしろいのかわからないベストセラーもある。しかし、『銀英伝』は違う。「架空歴史小説」というジャンルはこの作品によって生まれ、この作品によって完成した。そしておそらく、今後もこの方向性でこの作品を超えるものは出て来ないだろう。それほどの傑作である。  何よりとにかくおもしろい! 波乱万丈、痛快無比、そして深い悲しみに満ちた物語は、いままで100万もの読者を魅了してきた。まだこの作品を読んでいないひとに対しては、この使い古された言葉を送りたいと思う。「あなたは幸せだ。これからこの小説を読めるのだから」。  しかし、いったいどこがそんなにおもしろいのか? 以下に簡単に記しておこう。 ■あらすじは?■  物語の舞台はいまから数千年後の未来世界。宇宙空間に進出した人類は、ふたつの巨大国家に分かれ、はてしない戦争を続けていた。独裁者ルドルフによって建国された銀河帝国と、民主主義を掲げ帝国に反旗をひるがえした自由惑星同盟である。  この二国家の抗争は実に150年に及び、両国に甚大な犠牲を生んでいた。そして、宇宙暦8世紀末、停滞しきった歴史は突如として転換点を迎えることになる。  帝国と同盟、その双方にふたりの天才的な用兵家が登場したのだ。のちに帝位を簒奪することになる「戦争の天才」ラインハルトと、「黒髪の魔術師」と呼ばれる若者ヤン・ウェンリーである。  ふたりは帝国軍と同盟軍を率い、何度となく激突する。そして、独裁者としてその天才を存分に発揮するラインハルトに対し、民主主義の理念を墨守しようとするヤンは、次第に不利な状況に追い詰められていくのだった。最後に勝つのはどちらなのか? ふたりの英雄を中心に、壮大な物語が幕をあける。 「平和というのはな、キルヒアイス。無能が最大の悪徳とされないような幸福な時代を指して言うのだ。貴族どもを見ろ」 ■どんなひとが出て来るの?■  トルストイの『戦争と平和』には、400名以上の人物が登場するという。それに対して、『銀英伝』の登場人物は600名以上にのぼる。しかし、憶えきれるかどうか心配する必要はない。それぞれの人物は実に個性的かつ魅力的。忘れたくても忘れられなくなること請け合いだ。  なかでも一方の主役である「魔術師」ヤン・ウェンリーの人物像は忘れがたいものがある。射撃や格闘の腕は最低で、ひとりの兵士としてはまるで役に立たないにもかかわらず、司令官としては天才的な才能を発揮するという性格設定がおもしろい。  出世したいなんて思ってもおらず、早く年金暮らしに入りたいと願っているのに、ヤンはいつのまにか同盟軍史上最年少の元帥にまでのしあがってしまう。そして、ラインハルトの天才に比肩しうる宇宙でただひとりの男でありながら、最後まで自分の行動に疑問を抱きつづける。  ラインハルトを倒すことは本当に正しいのか? この腐敗した国家を守ることに意味はあるのか? そして、民主主義の理念のためにひとを殺しつづける自分を歴史はどう評価するのか? そう悩みながらヤンは戦いつづけるのだ。  と、こう書くといかにもまじめな人物のようだが、その実、ひょうひょうとして捉えどころがなく、真剣にやっていても軽口が飛び出す、好きにならずにいられないような若者だ。ちょっとぼくの筆では説明しきれないほど複雑で微妙な性格である。  ほかにも、先述のラインハルトをはじめ、英雄、天才、勇者、名将、美女、愚者、皇帝、商人、貴族、政治家、宗教家、卑劣漢、売国奴など、魅力的な人物にはことかかない。  ひとりひとり取り上げて説明したいことは山々だが、それをはじめてしまうととても終わらないので、ぜひ自分で本編を読んでたしかめてほしい。 「皇帝ラインハルト陛下、わしはあなたの才能と器量を高く評価しているつもりだ。孫を持つなら、あなたのような人物を持ちたいものだ。だが、あなたの臣下にはなれん。ヤン・ウェンリーも、あなたの友人にはなれるが、やはり臣下にはなれん。他人ごとだが保証してもよいくらいさ。なぜなら、えらそうに言わせてもらえば、民主主義とは対等の友人をつくる思想であって、主従をつくる思想ではないからだ。わしはよい友人がほしいし、誰かにとってよい友人でありたいと思う。だが、よい主君もよい臣下も持ちたいとは思わない。だからこそ、あなたとわしは同じ旗をあおぐことはできなかったのだ」 ■どこがおもしろいの?■  この作品の特色は、SF的な設定でありながら、SF的要素が皆無に近いところにある。宇宙人は出て来ない。超能力者も出て来ない。ガンダムもイデオンもナイト・オブ・ゴールドも出て来ない。  したがって、「SFってむずかしいんでしょ?」というあなたにも問題なく読みこなせるはずである。舞台こそ未来ではあるものの、『銀英伝』はむしろストレートな歴史小説なのだ。  先述したように数多くの魅力的な人物が登場するのだが、しかし、さいごまで生きのこるものは少数派である。この作品では、重要人物であるかそうでないかを問わず、死ぬときはあっさりと死んでしまう。  あるものは戦場で爆死し、あるものは暗殺の凶弾に斃れる。その死に様はさまざまだが、とにかく死亡率はやたらに高い。「まさか」と思うほどの最重要人物ですら死なせてしまうことから、田中芳樹は「皆殺しの田中」とまで呼ばれるようになった。  だから、この物語は悲しみの物語だ。しかし、そこから戦争の悲惨さ、かけがえのない命の貴重さ、いとしさを知ることが出来る。そして、それでいて、『銀英伝』にはありきたりの平和教育ものにはないすごみがある。作者は、この作品を通して、決して戦争を否定してはいない。主人公であるラインハルトにしてからが、戦争中毒ともいうべき若者だ。  かれは戦争のなかでのみその生命を燃焼しきることが出来る。そして、帝国にも、同盟にも、平和な世界には居場所がないような男が何人も出て来る。読みすすめるうちに、戦争とは何か、そして平和とは何なのか、読者は自分自身で考えざるをえなくなるだろう。  この物語ではあらゆる価値観が相対化されている。主人公であるラインハルトやヤンでさえ、厳しい批判から逃れることは出来ない。完全な正義も、悪もなく、何かを押しつけてくることのない物語。だから読者は自分で考えるしかないのである。  たとえば、作中のある人物は、ひとを陥れることばかりが得意な卑劣な男のように見えたが、しかし、その死後、匿名で募金を続けていたことがあきらかになる。善にせよ、悪にせよ、一筋縄では行かない、それが『銀英伝』だ。  この小説は、平和の意味や、民主主義の理念をわかりやすく教えてくれる小説「ではない」。物語こそすべてであり、そこから何を学び取ることも読者に任せられている。まさにエンターテインメントである。 「戦闘もない、殺人もない、喧嘩もなければもめごともない。おまけにこの2日ばかりは、佳い女も見あたらない。何のために軍人やってるんだか、わかりゃしない」 ■どの本で読めばいいの?■  現在までに『銀英伝』は四つの版で出版されている。徳間ノベルス版、徳間文庫版、徳間デュアル文庫版、そして創元SF文庫版である。徳間ノベルス版は現在入手困難だ。しかし、そこはベストセラー、ブックオフに行けば全巻そろっている可能性もある。たぶん、そうやって買うのが一番安いだろう。  でも、先の巻のあらすじは決して読まないこと。仕方ないことだが、ネタバレの嵐なのだ。素直に第1巻から順番に読もう。外伝は本編より前の話が多いので外伝から読みはじめてもかまわないが、たぶんあらかじめ本編を読んでおいたほうがより深く楽しめると思う。  徳間文庫版は、ノベルス版をそのまま文庫にしたもの。豪華解説陣が解説を執筆していてお得だが、たしか、外伝は出ていないんじゃなかったかな。その点を除けば大きな問題点はない。  デュアル文庫版は道原かつみの挿絵が付いていて、文字も大きく、低年齢層向けと思われる。ある意味、一番ライトノベルっぽい。この版の問題点は、ノベルスの1冊を2冊に分けているところにある。つまり、ほかの版では全10巻のものが、全20巻になるわけである。自然、そのぶんお金もかかるので、個人的にはあまりお勧めしない。イラストもイメージを限定してしまう効果がある。  最後の創元SF文庫版は、字も読みやすく、イラストもなく、まさに「決定版」というにふさわしい出来である。なお、これから読む際は、ラインハルトとヤン登場以前の銀河の歴史を綴った序章は飛ばしてもかまわない。そこで挫折するひとが多いらしいから。読まなくても話はだいたいわかるのである。  『銀英伝』はぼくが最も愛し、最も深くのめりこんだ物語である。そこから膨大なものを学び、膨大なことを考えさせられた。もちろん、欠点がないわけではない。SFとしては恐ろしく古くさい作品でもある。作中の政治理念はナイーヴすぎると感じる向きもあるだろう。  しかし、その長所は、欠点を補って余りある。何より、既に完結していることが素晴らしい。『アルスラーン戦記』や『タイタニア』や『灼熱の竜騎兵』のように、じりじりと続きを待つ必要はないわけである。  さて、もう一度こういわせてもらおう。『銀英伝』を読んでいないあなたは幸福である。これから読むことができるのだから。至福の物語体験が、あなたを待っている。 「中尉……私は少し歴史を学んだ。それで知ったのだが,人間の社会には思想の潮流が二つあるんだ。命以上の価値が存在する、という説と、命に勝るものはない、という説とだ。人は戦いを始めるとき前者を口実にし,戦いをやめるとき後者を理由にする。それを何百年,何千年も続けてきた……このさき、何千年もそうなんだろうか」
弱いなら弱いままで。
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