弱いなら弱いままで。
周りが楽しそうに読んでいるので、「小説家になろう」掲載の小説『幻想再帰のアリュージョニスト』に手を出してみた(http://ncode.syosetu.com/n9073ca/)。
なるほど、面白いですね。巷間いわれているように、たしかに初期古橋秀之っぽい。なつかしのいんちきサイバーパンク。
情報がオーバーフローを起こしたわけがわからない世界を舞台に、隻腕の剣豪が活躍する話なのだが、どうやらそれでは終わらない。物語世界は延々と拡張を続けていくようだ。
ただ、ハッタリ満載の世界の描き込みに比べ、物語がもうひとつ弱いかな、という印象。伝え聞く話では、平井和正は、小説ないし物語に重要なのは「ベクトル感覚」であるという意味のことを語っているそうだ。
ひたすら先へ、先へと読者をひきずり回すエネルギーこそ肝要、という意味だろう。つまり、物語とは、より先の展開を知りたいという「未来志向の欲望」
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