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 専門家は危険なモノを知っている?

2013-02-15 16:03
     専門家は危険なモノを知っている?

    今回はどらねこさんのブログ『とらねこ日誌』からご寄稿頂きました。

    ■専門家は危険なモノを知っている?

     どらねこは一応、食と健康の専門家の端くれです、端の端かも知れませんけれども。なので、昼食に自分の机でカップ麺とかを食べていると、「え~、カップ麺なんてたべるのー、栄養バランスに気をつけた弁当とかじゃないの?」とか謂われたりします余計なお世話です。

     人の食事のことに介入する仕事をしているんだから、自分も同じように節制せよ!というように思われるのはしょうがないですけどね。

    ●■健康に良い悪い?
     先日、こんな記事を読みました。

    栄養士が絶対に口にしない“カラダに悪い食べ物・飲み物”6選より

    米Huffington Postが、食べ物のエキスパートである栄養士が日常生活で絶対に口にしない“不健康な食べ物・飲み物”をリストアップしているので紹介しよう。

    「栄養士が絶対に口にしない“カラダに悪い食べ物・飲み物”6選」2013年01月21日 『IRORIO(イロリオ) – 海外ニュース・国内ニュースで井戸端会議』

    http://irorio.jp/asteroid-b-612/20130121/44339/

     そこでは、ホットドッグ、炭酸飲料、合成着色料、ダイエット用代替品、ダイエットコーラ、トランス脂肪酸の6つがリストアップされておりました。

     どらねこはソーセージ大好きですし、炭酸飲料もほどほど飲みますし、合成か天然かで着色料の是非は判断しませんし、相手の状況により、食事療法に代替食材を奨めることもありますし、ダイエットコーラが好きならほどほどのめば?と、食後高血糖の上昇が気になる方には余裕で答えますし、トランス脂肪酸は量が問題なのであってぜったいに避けるとかそういう問題じゃ無いよ!というスタンスです。

     なので、絶対に口にしないとかいう表現にはなんで極端なのかなぁ~、と思ってしまいます。市販されているような食品の大抵は、少し口にしただけで健康な人を病気にするようなものは存在しないと考えて良いでしょう。ですが、たべはじめると少量ではすまなくて、美味しいから毎日沢山口にしてしまうことが積み重なって健康リスクになるものがほとんどだと思います。

     好きと嫌いだけで普通がないのとか、筋収縮の悉無律みたいな0か全てかみたいな極端な話じゃなくて、あいだがあって良い話なんですよね。こうした煽り系の記事が人気を集めるのは、やっぱり需要があるからなんでしょうね。

    ●■専門家は○○しないの威力
     専門家は危険性を知っているから○○を使わない!というような論法の心に訴えかける威力ってかなりのものですよね?

     どらねこも昔はけっこう真に受けちゃってましたのでよく分かります。

     例えば、「農家は自分たちの食べる野菜にはけっして農薬をかけない」みたいなヤツです。中学生の頃にそんなエピソードをきいたどらねこは、無農薬野菜に走りました。だって、農薬をふだんから使用している農業の専門家の謂う事ですから説得力ありますよね。

     ところが、結婚して北東北に引っ越して、親戚に農業経営者がいたりする環境になって、知りあった農家の多くはそんな事をしていない、というのに気がつきました。たまに庭の野菜に農薬をかけない人もいるのですが、べつに家で食べるぶんだから形とかどうでもいいし、農薬がなくてもあまり虫に食われないヤツだから、とかそんな理由だったりします。

     で、実際にどらねこ家でも親戚の農家でも、庭の畑にはそれなりに農薬を撒いたりするのですが、家庭菜園や庭が害虫の発生源にならない為に、という意味もあると聞いてなるほどと思いました。そして、農薬のかけ方についても、残留に配慮して、回数や時期や分量などキチンと守って行っているんですね。

    ●■医療系はとくに注意
     この論法は自分の健康に関わる内容の時に威力を発揮するように思います。なので、健康情報関連でこの類型をたくさん見かけます。

     例えば、「ワクチンの有害性は殆どの医者が知っている。事実、多くの医療関係者は予防接種をしていない」とか、「危険な薬剤であるステロイドは決して自分たちには使用しない」とか、「医者は自分ががんになっても抗がん剤は絶対投与しない。なぜなら百害あって一利なしと知っているからだ」などなど、ネット検索で『医師』『使わない』『害』などのキーワードを打ち込むと次々ヒットします。

     もちろん、これらは根拠のない話で、多くの医師はそれら薬剤などを自分でも使用することでしょう。たとえ、根拠に疑問のある代替療法を奨めるお医者さんがそう謂っていたからといって、他のお医者さんもそうだと意味しないのですが、目の前の医者(あるいは書籍などで)が真剣な顔で説明すれば、信じてしまうのはある意味当然で、責められるような事では無いでしょう。

    ●■おちついて考えてみよう
     「オイシャサンも使わないぐらいワクチンって本当は怖いんだ!」と、判断をしてしまう前にちょっと考えて欲しいなぁと思います。でも、どうやって考えたら良いでしょう。

     世の中には、人の不幸を食い物にしている人もいるかも知れません。でも、そんな人ばかりじゃありませんし、医療職には厳しい労働条件にもへこたれず、職務に励んでいらっしゃる方が大勢おります。目の前の患者の健康に対しては誠実に振る舞う人の方が多いだろうと考えた方が自然だと思います。この前提に基づけば、世の中のオイシャサンは自分が怖れているような怖い薬やワクチンを相手に試したりする事はないだろうと想像がつきます。

     疑う事も必要な場面もありますが、すべてを疑っていてはコストも莫大になり、個人では背負いきれないぐらいの負担がのしかかってくることでしょう。専門家の謂う事だから信用性が高いのならば、ネガティブな情報ばかりで無く、専門家の誠実さについても信用して貰いたいと思います。専門職の人は自分の仕事に誇りを持っている、と考えた方がしっくり来るでしょうか。

     不誠実などらねこですが、専門性に関する事については誠実に振る舞いたいと思っております。

    執筆:この記事はどらねこさんのブログ『とらねこ日誌』からご寄稿いただきました。

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