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「これまで映画のなかで100人くらい殺してきましたけどね、斬新で巧い殺し方というのはそうそう思いつかないもので、難しいですね!」

3月5日よりいよいよ公開となる『ホーンテッド・サイト』のダーレン・リン・バウズマン監督は屈託なく語った。彼は、ジェイムズ・ワンのあとを引き継ぎ『ソウ2』から『ソウ4』までを手掛けた生粋のホラーマニアの監督だ。死に様博覧会とばかりに数々のユニークな死亡描写が繰り広げられた『ソウ』シリーズだが、今作『ホーンテッド・サイト』も“事故現場をつなげて作られた巨大な幽霊屋敷”が主題なだけあり、多くの人々の悲劇的な死が、監督の独特のショッキングな映像美によって描かれる。

バウズマン「暴力を描くときは、常に人々が驚くような、新鮮に感じてもらえる表現ができるように心がけています。それは今作でも同じこと」
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『ホーンテッド・サイト』は、姉家族を殺された新聞記者の主人公が、転売された姉の家の殺人現場が“取り除かれている”ことに気付き、その真相を追う物語。彼女はそのうちに、謎の老人がある目的を持って作り始めた、事件現場をつなげた幽霊屋敷へとたどり着くこととなる。

数々のホラー映画を観て“幽霊屋敷”という題材に魅入られた監督は、これまでに見たことのないユニークな幽霊屋敷の物語を考え始め、今作の構想ができたのだという。それは、すでに幽霊屋敷が存在しているのではなく、ストーリーのなかで“幽霊屋敷が作られていく”というもの。卓越した映像で描かれたそれは、発想だけでなく視覚的にも観る者を驚かせ・興奮させる、見事な幽霊屋敷へと仕上がった。

バウズマン「僕の“ホーンテッド・サイト(ABATTOIR)”のアイデアはすごくビッグなものでした。映画化の話を持ちかけたとき、“到底そんな規模のものは作れないよ!”と断られてしまったんです。そこでメディアミックスの話が持ち上がって、まずは『ABATTOIR』というコミックとしてこのストーリーが世に出ました(日本未発売)。それがうまくいって、今回の映画化に繋がったのです。でも、本当はこの映画に登場する屋敷よりも更にユニークなものを想定していました。1800年代や1900年代のクラシックな家具が並び、日本やインドネシア、ブラジルなど、各国の建築が一緒になっているような――。予算的に今回の作品では描ききれなかったので、現在準備を進めているシリーズ作品で様々なアイデアを形にしたいと思っています」

好きなものをマッシュアップし、自分のオリジナルへと消化させるというバウズマン監督。今作では3つの映画がアイデアのベースとなっているという。

バウズマン「映画を作るときに、同ジャンルの映画をたくさん観て、何が好きで何が好きでないかを選り分け、好きなところを取り入れるところから始めるのです。まず物語の序盤。犯罪を追う映画――フィルム・ノワール的なものを思い描いていて、『セブン』を意識して作っています。そして中盤。主人公が“行ってはいけない場所”に足を踏み入れるということで、ヒントとなったのは『ウィッカーマン』です。そして終盤、すべてが明らかとなり、その恐ろしさに対峙する、という意味で、『ヘルレイザー』をヒントとしています」

理想を追い求めどんどんビッグになっていった監督の“幽霊屋敷”の構想。しかし彼はなぜここまで“幽霊屋敷”に惹かれるのだろうか?

バウズマン「僕が幽霊屋敷に惹かれる理由? そうですね……ひとつお話を聞かせましょう。僕がいま撮影のために滞在しているこのホテルで、真夜中の午前4時に起こった話です。キャンドルをつけっぱなしで寝ていて、ふと目を覚ますと、連れてきた僕の飼い犬がじっとキャンドルを見つめているんです。僕がキャンドルを消そうとして近付いた時、そのキャンドルはひとりでにスッ……と横にスライドしていった。そんな奇妙なことが起こった翌日、何も知らない2歳の息子が、妻と連れ立ってこのホテルへとやってきました。そして、僕がどの部屋に止まっているかも知らない息子が、僕の部屋の窓を指差し、“パパ、あそこに幽霊がいるよ!”と叫んだのです。……これが理由ですよ(にっこり)」

今回、滞在しているホテルのベッドの上で、ブランケットをこねくりまわしながらスカイプインタビューに答えてくれたバウズマン。この無邪気な野心家の、“ホーンテッド・サイト”というビッグなプロジェクトの日本第一弾を、ぜひ劇場でお楽しみあれ。

『ホーンテッド・サイト』は特集上映『未体験ゾーンの映画たち2017』にて3月5日より公開。どうぞ、お楽しみに。

すべての画像はホラー通信の元記事をご覧ください
『ホーンテッド・サイト』公式サイト http://www.happinet-p.com/hauntedsite/
『未体験ゾーンの映画たち2017』公式サイト http://aoyama-theater.jp/feature/mitaiken2017

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