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続・脳の中のキャズム
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続・脳の中のキャズム

2013-08-15 14:30
    続・脳の中のキャズム

    今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

    ■続・脳の中のキャズム
    電気回路とか無理をして電流を流していると、一番弱いところが最初に壊れる。そこが壊れるとバランスが狂い、他の部分にさらに負荷がかかるから、2番目に弱いところが壊れる。するとさらに…とどんどん壊れていく。

    大停電も、全体がギリギリで動いていると、最初に一番負荷がかかっている変電所とかがダウンし、すると残りの変電所に負荷が集中するから、その中でまた一番負荷がかかった変電所がダウンし…と連鎖的に送電が止まっていく。

    ネットワークも処理できる帯域以上のデータが集中すると、データが欠落する。欠落したデータを再送しようとするから、さらに送信されるデータが増え、さらに負荷が上がる(まあ再送を控える仕組みもあるにはあるのだが)。

    地球温暖化も、ひとたび温暖化の方に偏ると、更に温暖化を加速する方向に地球環境は変化していくともいわれている。

       *   *   *

    つまり何かの拍子に悪化し始めると、加速度的に悪化が進んでいくものは珍しくない。坂道を転げ落ちるように(笑)。ただ「悪化」というのは人間の価値観であって、客観的には「変化」でしかない。変化し始めるとその変化が加速するというだけのこと。

    社会のブームもそういうものなのだろう。そして人間の思考を支えているのも、そういうものなのだろう。そして社会なり脳内の配線なりが、激しく組み変わっていく。

    それはたとえるなら、それまでまったく川が流れていなかった平地に大量の水が流れこむような状態。ほとんどどこも同じ高さだから、水は好き勝手に流れていく。時には流れるルートを激しく変えながら。

    やがて水の流れは土を削っていき平地に高低差ができる。それは流れのルートを固定するように働く。つまり「安定」な川の流れが見つかったことになり、次第に波乱は沈静化していく。

       *   *   *

    ではブームの発端はなんだろう。増幅器の出力の一部を入力にフィードバックしてやると発振する。よくマイクとスピーカーを近づけると「キーン」とうるさい音がなる、あれだ(ハウリング)。実際発振装置というのはそうやって作る。

    ブームというのは、社会の中や脳の中にこうしたループを形成するものなのだろう。ただあまりにも単純なループだと、飽きられてしまう。この「飽きる」という能力は、おそらく無意味なループが社会や脳内にできて、思考時間が浪費されることを防ぐ安全装置。

    人間が高度な思考をし始めた頃に、おそらく単純なループ思考に陥ってしまう問題が多発し、進化の過程でそれを防止する仕組みを獲得したのだろう。

       *   *   *

    逆に言えばブームは、その仕組の盲点を付くわけだ。SFに出てくる巨大コンピュータをやっつけるパターンの一つに、無意味な計算や矛盾する問題を解かせるというのがある。アーサー・C・クラークの「3001年終局への旅」で地球人はとうとうモノリスを破壊するのだが、それに使ったのもコンピュータウィルス。

    作中ではコンピュータウィルスの本質は、計算が完了しない問題を、あたかも計算が可能だとコンピュータを「説得する」点にあるという。この計算は無駄(永遠に完了しない)じゃないんだよ、と。プログラムが停止するかどうかは事前に証明できないという「チューリング停止性問題」。数学的に不可能なものはたとえモノリスを作った高度な異星人でも不可能なはず、というクラークの考えが現れている。

    人間や社会にも無意味なループに陥らないような仕組みが備わっている。しかしそれは完璧ではない。「ブーム」は、「これを考えることは無駄じゃないんだよ」と、一生懸命その防波堤を突破しようとするわけだ。突破に成功するとブームが起きる。

       *   *   *

    見方を変えればキャズムとはこの防壁。簡単には突破されないようになっているが、その防壁の高さは人や社会で違う。突破されやすい人間や社会もあるだろうし、されにくい人間や社会もあるだろう。むろん突破されやすいのがいいのか、されにくいのがいいのかは、一概に言えない。

    たぶん子供の脳はこの防壁が低いのだろう。だからちょっとしたことに熱中する。それは変化(成長)の機会でもあるから、あながち悪いことではない。成長するに従ってこの防壁も高くなっていくのだろう。年齢が上がるに連れて、物事に動じない、いいかえればなんの面白みもない人間になっていく(苦笑)。

    だからこの防壁の高さがポイントで、高すぎもせず、低すぎもせず微妙な高さがよいのだけれど、そんなものは事前にはわからない。だからさまざまな人間はそれぞれさまざまな高さをもっているのだろう。たくさんあれば、そのうちどれかは当たる、と。

       *   *   *

    情報化社会になってそれ以前と変わった事があるとすれば、この「防壁」を乗り越えるウィルス(ブーム)が増えてきたこと。たぶんこの防壁の性能は後天的なもので、人間が赤ん坊から思春期ぐらいの間に経験したことをもとに、防壁を構築する。

    ただ文明が進歩することで、思春期以降に体験する情報の方が先に高度化・複雑化していくので、防壁の方が追いつかない可能性はある。オカルトなんかいい例。むかしは「どこかの国の農村にUFOが降りてきた」みたいなわりと牧歌的な話が多かったのに、だんだんと「アメリカ政府は宇宙人と密約を結んでいる」とかいう話になってきて、その謎の機関の名前とか大統領のサインとか、手が込んできた(笑)。

    そうなると牧歌的な時代なら十分だった防壁のままだと、突破されちゃうんだよね。時代に合わせて防壁の構築も高度化しなければならない。それには子供を有害な情報から遠ざけるのではなく、逆に早くからそういう情報にさらして免疫をつけること。俺はそう思うんだけどね。教育というのは本来そういうものだろう。

       *   *   *

    防壁を子供の頃から強化し過ぎるのもどうかとは思うけれど、防壁のない純粋無垢で、いつまでも物事をありのまま素直に受け取り感動する心でいてほしいという(母親たちの)願いも、どうかと思う(笑)。子供社会と大人社会を乖離させるのは、結局は未熟な大人を増やすだけ。

    子供だって困るだろう。いつまでも純粋な心を大切にしなさいと教わってきたのに、いきなり就職あたりで垂直にそびえ立つ岩壁の前に立たされたら。それじゃとても登れない(笑)。徐々に険しくなる登山道のように、子供社会と大人社会はシームレスに繋がっていないと。

    執筆: この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

    寄稿いただいた記事は2013年08月13日時点のものです。

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