人造イクラ、カニカマ、マーガリン、成型肉、発泡酒――このところの偽装食品騒動のせいで、これら人造のコピー食品に対して忌避感を持ってしまった人も少なくないだろう。ただ安いだけで味は天然モノ・オリジナルに劣り、安全性もないがしろにされがちなイメージがつきまとう。しかし、アメリカでは人造食品をもっと前向きに捉える動きがある。
10月にアメリカのスーパーで一般販売が始まった『ビヨンドエッグ』は、サンフランシスコに本拠を構えるベンチャー企業・Hampton Creek Foods社が開発した粉末状の人造卵。主原料は大豆類から抽出したタンパク質で、水で溶くと本物の卵そっくりな味と風味が出るそうだ。ビル・ゲイツとトニー・ブレア元英国首相を招いて行われたブラインド食味テストでは、2人とも本物の卵とこの人造卵で作られたマフィンを判別できなかった。
2000年に約1400万トンだった鶏卵の世界需要は、2030年には3800万トンに増加する見込みだ。食肉需要もうなぎのぼり。世界中の人が今のままの食生活を続けていたのでは、食料計画は早晩破綻することが目に見えている。そこで、ビル・ゲイツをはじめとするアメリカの資産家・投資家たちが注目しているのが、植物ベースの人造食品だ。アメリカでは既にBeyond Meat社が開発した植物性の人造肉『ビヨンドミート』も発売され、ベジタリアン以外の人からもその味が評価されている。人造食品が世界を救うかもしれないのだ。
Hampton Creek Foods社によると、『ビヨンドエッグ』は本物の卵に比べ製造コストが4割も安く、穀物類で育てられた鶏が産む卵――膨大な土地・水・酸素・燃料を必要とする――より環境負荷がはるかに小さいのだという。同社は今後、マクドナルドなどの大手ファストフードチェーンとも提携し『ビヨンドエッグ』を世界市場に売り込んでいきたいとしている。日本の食卓に上る日もそう遠くないだろう。
こちらは見た目も味も鶏肉そっくりな『ビヨンドミート』。今のところは一部の健康オタクのための食材。でも、食に対する意識の貧しさに定評のあるアメリカでは、こういった人造食品の普及も早そうだ。
画像:Hampton Creek Foods公式動画(YouTube)とBeyond Meat公式サイトより引用
https://www.youtube.com/watch?v=Vqz51eIyJAQ[リンク]
http://beyondmeat.com/[リンク]
参考:The Gates Notes
http://www.thegatesnotes.com/features/future-of-food[リンク]
※この記事はガジェ通ウェブライターの「ろくす」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?
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