今回は一般社団法人 大日本猟友会さんのサイト『目指せ!狩りガール』からご寄稿いただきました。
■目指せ!狩りガール no.3 一年先輩「狩りガール」とお茶を。<後編>(目指せ!狩りガール)
ありちゃん:食べることが大好き、アウトドアもちょっと好きな会社員。ひょんなきっかけから「ハンター」を目指すことに。東京都内在住。カリタロー:狩りガール活動を応援するジビエ好きの犬。ありちゃんと一緒に勉強して、いつかカッコイイ猟犬になるのが夢。
だいぞう師匠:猟友会に所属している優しきオジサマハンター。自然のことにも詳しく、ハンター仲間として若者を育てています。
モモさん:関東在住の会社員。食生活を見直したことから農業に興味を持ち、獣害を知る。昨年、農家の役に立てればと猟銃の資格を取りました。ありちゃんより少し先輩、駆け出しの狩りガールです。
カリタローです。前回*1に引き続き、都内のカフェで先輩モモさんのお話を聞いている狩りガール見習いのありちゃん。話はいよいよモモさんの実猟デビューへ。
*1「no.2 一年先輩「狩りガール」とお茶を。<前編>」『目指せ!狩りガール』
http://kari-girl.com/vol2.html
(画像が見られない方は下記URLからご覧ください)
http://otajo.jp/files/2014/06/vol3_ttl.jpg
●お誘いは突然に。
ありちゃん:北海道や兵庫県で狩猟見学して、免許取得の手続きもして。全部自分ひとりで調べて挑戦したんですよね?
モモさん:主にネットで検索してね。あとは、興味を持ち始めると人とのつながりも生まれるので、情報もキャッチしやすくなりますよ。
カリタロー:実猟に出たのはどんなきっかけだったの?
モモさん:狩猟免許(第一種銃猟免許)の試験会場で知り合った方のお誘いだったの。
ありちゃん:え!免許取る時にもう?
モモさん:試験では待ち時間があったので、「何を撃つんですか?」とか、「猟場はどの辺ですか?」といった会話をする人たちもいるのね。猟場なんてわからないから「へー」って感じだったんだけど。たまたま話した方の家族が猟友会のハンターさんで、免許が取れたらそのチームに参加する予定なんて話を聞いていたの。その方とSNSでつながって情報交換したのがきっかけでした。11月頃かな?地元に近い猟場での巻き狩り猟に誘ってもらったんです。
ありちゃん:いよいよ!
モモさん:突然のお誘いだったから驚いたけど、せっかくベテランの方々と一緒に実猟に出るチャンスだから参加しました。
カリタロー:じゃあ、モモさんも猟友会に入ったんだ!
モモさん:うん、猟銃の免許取ってすぐね。
ありちゃん:猟友会に入らないと猟に行けないの?
モモさん:そんなことはないんだけど、安全や保険の面で……詳しくはだいぞう師匠、お願いします!
だいぞう師匠:ハンターのだいぞうです。猟友会では入会をおすすめしていますよ。会員になると安全のための講習や射撃練習への参加の機会が増えるほか、万が一の事故のための共済保険にも加入できます。何より法令の改正や鳥獣保護の状況、先輩ハンターによる詳しい地元の情報を得られる利点がありますね。
詳しくは、大日本猟友会のホームページも見てみてくださいね。
『一般社団法人 大日本猟友会』
http://www.moriniikou.jp/
ありちゃん:確かに、狩猟免許をとるための知識以外に、安全やマナーを知ることも必要だもんね。
カリタロー:よくハンターさんが着ているオレンジ色のベストも猟友会で支給されるものなんだね。
モモさん:そうそう。あの目立つ色は安全のための第一歩。でも、正直に言うとベストのサイズが女性には大きすぎるの。あと……ちょっとかっこ悪いんだよね。もうちょっとカラダにフィットして機能的でオシャレだとアウトドアウエアっぽくていいんだけど。
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http://otajo.jp/files/2014/06/vol3_orangevest3.jpg
猟友会支給のベスト。目立って安全ですが、女性が着るとサイズがしっくりきません。まるで時代劇で出てくる武士装束のカミシモに見える…との声も(苦笑)。
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http://otajo.jp/files/2014/06/vol3_poster2.jpg
ちなみにこちらは猟友会の公式ポスター。こちらの女性にはフィットしているように見えます。ブカブカしたカミシモ状態になっていませんね。もしかして撮影時にスタイリストさんがアレンジ?着こなす良い方法があるといいのですが……
●森の中、ひとり息をひそめて。
ありちゃん:初猟なんて想像するだけで緊張する~。
カリタロー:準備はちゃんとできた?
モモさん:実猟で使う散弾の種類もわからず、とにかくいろいろ質問しました。獲物を撃つ場合は射撃練習の弾とは違うのね。銃砲店も紹介してもらって買ってきて。
ありちゃん:そうだ、「じゅうほうてん」で買うということも今回初めて知ったのでした。
モモさん:そうだよね。普段はまったく利用しないお店だもの。試験のための過去問(過去問題集)も銃砲店で買えるんだよ。
カリタロー:それは手に入れないと!前日も緊張したでしょ?
モモさん:うん!集合時間が現地に朝7時と早朝だったので、前日から気合い入れて早起きに備えた(笑)。
ありちゃん:メンバー構成はどんな感じだったんですか?
モモさん:60代、70代のベテランさんと30代、40代の若手も数名。本当はチームに女性がいるはずだったんだけど、この日は不参加で女性は私ひとりでした。あ、あと猟犬たちが数匹いたよ。
カリタロー:憧れの先輩たちだワン!
モモさん:狙うはニホンジカやイノシシ。指揮役のボスがひとりいて、私を含む射手たちはそれぞれ指示された場所にひそむ。犬たちは勢子といっしょに獲物を追い出す。
ありちゃん:皆さん離れていてどうやって指示を聞くのかな?
モモさん:するどい!皆さんそれぞれ無線機を持っているのよ。
カリタロー:ラジャー!とか返事するの?
モモさん:あはは。私はアマチュア無線の免許を持っていないから受信専用のレシーバーを借りたの。だから返事はできないんだよ。獲物に気付かれないように声をひそめてジッとして、指揮役のボスからの指示を待っていたの。
ありちゃん:待っている間はどんな気持ちだったのかな?
モモさん:正直、獲物が出てきたらどうしよう?とドキドキしていた。でも、常に猟銃を構えているわけではないし、だんだん自然の中にいることが心地良くなってきたんだよね。お天気も良い日で、静かに山の音に耳を傾けていると風の音が気持ち良かったな。
ありちゃん:自然の中で息をひそめることって中々ないもんなぁ。
モモさん:まあ、クマの心配がない場所だったからってこともあるんだけどね。
だいぞう師匠:初の巻き狩り猟でモモさんがつとめたのは「第二射手」。一番手でもなく、獲物をはずしても、続く第三射手もいるので比較的プレッシャーの少ない位置です。とはいえ、慣れない猟銃を持ちながらの初猟は相当緊張したでしょうね。最初はみんな緊張するもんです。
(画像が見られない方は下記URLからご覧ください)
http://otajo.jp/files/2014/06/vol3_momohunt.jpg
巻き狩り猟の前に打合せ。どのルートで野生動物を追って、どこで撃つかというプランをメンバーで共有します。チームで行う狩猟のため、安全な狩猟、そして猟の成果のためにもこの打合せが重要です。説明を聞きながら緊張のモモさんでしたが、 まわりの皆さんが優しくて安心したそうですよ。
●猟果はなくとも、得るもの多し。
カリタロー:気になる猟果はどうだったの?
モモさん:残念ながらゼロ(笑)。お肉にはありつけませんでした!獲物は出たんだけど、ベテランの方でもはずしてしまったので仕方がないですね。
ありちゃん:猟ってバンバン撃つのかな?
モモさん:それが、今回ハンターさんたちとお話してわかったんだけど、実際の猟ではそんなに撃たないんだって。1~2発撃つのが平均的なんだとか。
ありちゃん:射撃練習でも体験したと思うけど、実際に撃ってみたらどんな感じ?
モモさん:まず私の場合、猟銃が重いの。いただいた散弾銃が結構オトコマエな銃でズッシリ(笑)。あと、反動がすごかった!
カリタロー:撃ったときの反動だね。男の人でも大変そうだもんな。
モモさん:構えたときに引き金が遠くて、腕がつかれちゃうんだよね。 私の銃って少し長すぎるのかなぁ。
だいぞう師匠:初めて猟銃を持つ場合、基本的に散弾銃となります。日本にはだいたい二種類の口径の散弾銃があって、モモさんが持っている銃は12番と呼ばれる口径の大きなもの。もうひとつは口径の小さい20番。12番の方がたくさん流通しているんですが、2
0番と比べると火薬の量も多くて反動も大きいんです。女性にオススメするなら20番ですね。
モモさんの散弾銃ですが、もしかしたら体に合ってないのかもしれませんね。銃砲店で相談してみるといいですよ。猟銃はある程度銃床の長さを調節できます。引き金までの長さを調整すると、とても使いやすい銃になります。
(画像が見られない方は下記URLからご覧ください)
http://otajo.jp/files/2014/06/vol3_juu3.jpg
モモさん:そして、構え方が悪いとアザを作ってしまうこともあるの。私は練習中、ここらへん(鎖骨の下)にアザができちゃってね。冬だからいいけど、1週間は消えなかったよ。あはは。パッドでカバーするとか、何かいい方法があるといいんだけど……。ともかく、猟銃はなるべくカラダに近づけて持って。射撃場などでしっかりと教えてもらってね。
ありちゃん:はい!
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http://otajo.jp/files/2014/06/vol3_photo03.jpg
こんな感じ?うーん、もっとこんな感じ、と実際に構えてみる二人。モモさんは「私のヘボい構えは参考にしないでね?」と言ってますが、なかなか素敵でしたよ。
ありちゃん:実際に参加してみた印象は?
モモさん:とにかく皆さん優しかった。見学に行った時もそうだけど、今まで嫌な思いをしたことはないですね。女性が狩猟の世界に入ることに対してのハードルは、想像していたよりも高くない。地元の長老さんとかベテランのハンターさんとか、世代を越えてコ
ミュニケーションできるのもいい。
ありちゃん:狩猟が共通の話題になるんだ。
モモさん:無骨でワイルドな世界に見えるかもしれないけど、女性や若者に優しいと思いましたよ。参加するだけでいろいろ勉強になるし、何より皆さんのお話が楽しいの。人生で得るものが増えた気がするな?。
ありちゃん:次回も巻き狩りですか?
モモさん:次は狩猟ガイド付きのハンティングツアーに行ってみたいな。また違う体験ができそう。そうだ!ありちゃんが猟銃を持てるようになったら、一緒に射撃練習に行きましょうよ。
カリタロー:おお、心強いね。
モモさん:こちらも一緒に行ける人がいると練習の回数も増えそうだから。
ありちゃん:ぜひぜひ!女子同士だと悩みも打ち明けやすいかも。あ、このあと飲みに行きませんか?
モモさん:よろこんで!
次回につづく!
執筆:この記事は一般社団法人 大日本猟友会さんのサイト『目指せ!狩りガール』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2014年06月18日時点のものです。
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