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ニコニコでの連載は、描き下ろしイラストによる挿絵つき!

キマイラ最新刊、ついに発売開始!

ニコニコ連載小説でも連載されていた最新作「鬼骨変」が、9月19日(金)、ついに発売!

【発売情報】
キマイラ10 鬼骨変

夢枕獏 著/寺田克也 イラスト

明らかになった恐るべき過去を背負い、
南アルプスの山麓でキマイラ化した久鬼麗一と対峙する久鬼玄造と九十九三蔵。
それを見守る宇名月典善、菊地良二――。
そして、一敗地にまみれたあの龍王院弘の姿もあった。
人か、獣か、それとも神か。
キマイラにおのれの運命を狂わされた男たちの執念が渦巻く、驚天動地の第10巻!

ISBN:9784022760142
定価:972円(税込)
発売日:2014年9月19日

http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=16281

夢枕獏プロフィール

作家、1951 年 1 月 1 日、神奈川県⽣まれ。 東海大学文学部日本文学科卒。
1977 年に作家デビュー。 以後、『キマイラ』『サイコダイバー』『闇狩り師』『餓狼伝』『大帝の剣』『陰陽師』などのシリーズ作品を発表。
1989 年『上弦の月を喰べる獅⼦』で日本 SF 大賞、1998 年『神々の⼭嶺』で柴⽥錬三郎賞を受賞。
2011 年『大江⼾釣客伝』で泉鏡花文学賞と⾈橋聖⼀文学賞を受賞。
同作で 2012年に吉川英治文学賞を受賞。漫画化された作品では、『陰陽師』(漫画 岡野玲⼦)が第 5 回手塚治⾍文化賞、『神々の⼭嶺』(漫画 谷口ジロー)が 2001 年文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞をそれぞれ受賞。
映画化された作品に『陰陽師』『陰陽師 2』(東宝)、『大帝の剣』(東映)などがある。

公式 WEB サイト 蓬莱宮:
http://www.bokenya.jp/houraikyu/

最新刊発売記念 夢枕獏ロングインタビュー

【お知らせ】

いつもキマイラチャンネルをご覧いただきありがとうございます。
現在掲載されている『キマイラ鬼骨変』ですが、8月31日(日)をもって一部を残して公開終了とさせていただきます。引き続き、キマイラチャンネルをお楽しみくださいますよう、よろしくお願いいたします。

【毎週水曜更新】キマイラ鬼骨変 連載中!

キマイラ鬼骨変

待望の新章「鬼骨変」がニコニコで連載開始! ⼰の内に「獣」を秘めた⼆⼈の⻘年を描いた、作家・夢枕獏の“⽣涯⼩説”。 1982 年に朝日ソノラマから第1巻「幻獣少年キマイラ」が刊⾏されてから 31 年、これまでに別巻を含めて 18 巻(ソノラマノベルス版〈朝日新聞出版刊〉は本編 9 巻、別巻1 巻)が発売されている。

夢枕獏

  • キマイラ鬼骨変 一章 獣王の贄(にえ) 10

         10  九十九(つくも)の見ている前で、久鬼が静かになっていった。  騒いでいた顎(あぎと)たちの声がおさまってゆき、猫が喉を鳴らすような、低い唸り声のような、甘えるような、そういう声を発するようになった。  獣毛が抜け落ちてゆく。  久鬼の全身から生えていたものが、ゆっくりと、身体の中に消えてゆく。  消えぬものも、あったが、それはまた別のものになってゆく。  それらが、背から生えた、一本ずつの青黒い腕となってゆく。  幾つかあった顔が、久鬼の顔の周囲に集まってゆく。  どこかで、見たことがある――  九十九はそう思った。  顔が、幾つかある仏像。  腕が何本もある尊神。  獣のような、牙を生やした神。  不動明王?  大威徳明王、ヤマーンタカ?  久鬼は、そのような姿となった。  巫炎(ふえん)の翼が、ばさりと振られた。  久鬼の翼が、ばさりと動く。  ふたりの身体が、ふわりと草の上に浮きあがった。  ゆっくりと、ふたりの身体が、抱きあうようにして浮きあがってゆく。  上へ。  風の中へ。  月光の中へ。 「久鬼……」  すでに、ふたりの身体は、周囲の梢よりも高くなっていた。  ふたりの向こうに、月が...

    2013-11-13

    • 3 コメント
  • キマイラ鬼骨変 一章 獣王の贄(にえ) 9 (2)

     啖(くら)えだと?  啖えだと?  いいだろう、啖ってやろう。  おれは、噛みついた。  そいつの身体に牙をたててやった。  ぞぶり、  肉を噛みちぎってやった。  生あたたかい血の味が、口の中に広がる。  なつかしい味だ。  美味(うま)い。  呑み込む。  食道を通って、胃の中へ。  どこにある胃か。  すでに、おれの身体から生えたいくつもの顎が、そいつの胸や、尻や、腕の肉を喰っている。  それを呑み込み、消化してゆく。  体内に、その血が溶けてゆくのがわかる。  もう一度――  左肩の肉を、齧(かじ)りとる。  なんという、不思議な味か。  おれの血が、そいつの血と混ざりあっている。  溶けあっている。  三度目――  それは、できなかった。  おれは、動きを止めていた。  なんということだろう、おれは、思い出している。  そいつ――こいつのことを。  こいつのことを、おれは知っている。  この味を、おれは知っている。  こいつの血と自分の血が混ざりあってゆくのにつれて、何かが急速に萎(な)えてゆくのがわかった。  天に向かって、激しく屹立(きつりつ)していたものがゆっくりと、その硬度を減じてゆく。  なんだ!?  どう...

    2013-11-06

    • 5 コメント
  • キマイラ鬼骨変 一章 獣王の贄(にえ) 9 (1)

         9  そいつは、見たことのある顔をしていた。  森の中から、ふたりで、ずっとおれに話しかけてきた、あの声を発していたやつらのかたわれだ。  説教師(マニパ)ツオギェル――  そう名のっていたっけ。  そいつが、話しかけてくるのである。  もう、やめろ――と。  もう、いいではないかと。  なんだか、うるさい。  なんだか、わずらわしい。  大きなお世話ではないか。  こんなに、自分は今、満ち足りていて、しかも気持ちがいいのに。  どうして、これをやめねばならないのか。  そうだ。  こんなに、幸せなのに……  だが、妙に不安になる。  おまえは、どうして、そんな哀しそうな顔をするのだ。  さっきの、二本足の大きな漢(おとこ)も、そうだ。  哀しそうな顔で、おれを見ていた。  そんな眼で、見られたくない。  そんなに哀しい眼で、おれを見るんじゃない。  哀れに思われたり、可哀そうに思われたりするなら、怖がられた方が、まだマシではないか。  恐れられた方がいい。  独りでもいい。  独りというのは、もともと、よく研がれた薄い刃物の上に、素足で立つようなものだ。  いつ、バランスが崩れて、自分の足を傷つけてしま...

    2013-10-30

    • 2 コメント

キマイラとは?

⼰の内に「獣」を秘めた⼆⼈の⻘年を描いた、作家・夢枕獏の“⽣涯⼩説”。
1982 年に朝日ソノラマから第1巻「幻獣少年キマイラ」が刊⾏されてから 31 年、これまでに別巻を含めて 18 巻(ソノラマノベルス版〈朝日新聞出版刊〉は本編 9 巻、別巻1 巻)が発売されている。

あらすじ・主な登場人物

■あらすじ
おのれの内に幻獣・キマイラを秘めた少年、大鳳吼(おおとり こう)と久鬼麗一(くき れいいち)が主人公。大鳳の拳法の師である玄道師の真壁雲斎(まかべ うんさい)は彼らの身を案じ、キマイラ化の真相を探ろうとする。また真壁の下で拳法を学ぶ九十九三蔵(つくも さんぞう)や、大鳳に思いを寄せる織部美雪(おりべ みゆき)も二人の運命を憂え、救いの手を差し伸べる。やがてキマイラ化した麗一を追って、麗一の父・久鬼玄造(くき げんぞう)と三蔵たちは、南アルプス山麓へと向かうが。

■主な登場人物
●大鳳吼
西城学園高校一年生。同級生の織部美雪を不良から守るために闘い、おのれの内の幻獣・キマイラを目覚めさせてしまう。その血に飢えた獣を抑えるために丹沢山中に籠もる。

●久鬼麗一
西城学園高校三年生。拳法と華道に長じているだけではなく、その人格をもって学園を支配している。大鳳と同様に内に幻獣を抱え、その自覚はすでに得ている。

●真壁雲斎
小田原・風祭に円空山という庵を構える玄道師。老齢ながら拳法の達人で、大鳳が師と仰ぐ人物。

●九十九三蔵
西城学園高校三年生。大鳳のよき理解者にして庇護者。拳法に強く、心優しい巨漢。雲斎の弟子でもある。

●織部美雪
大鳳の心優しき同級生。大鳳の宿命に同情し、丹沢山中では大鳳に己の命をささげようとした。

●亜室由魅
西城学園高校三年生。久鬼が愛する妖艶かつ底知れぬ魅力を湛える。だが、大鳳と関係を持ってしまう。

●久鬼玄造
麗一の「父親」。息子のキマイラ化を知っており、箱根の別荘に監禁しただけでなく、大鳳の行方も追っている。

●菊地良二
西城学園高校空手部員。勝つことだけに執念を燃やし、手段を選ばず闘う異様な高校二年生。

●龍王院弘
失踪した大鳳を捕らえるために、暴力団に雇われた美貌の格闘家。丹沢山中で大鳳のキマイラ化を目撃し、恐怖に震える。