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2月24日、日米首脳会談を終えた安倍首相が帰国し、大手マスコミは環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉について「『聖域』があった」「米国の譲歩を勝ち取った」と「成果」を強調した。そして、すぐに自民党内が「政府に一任」したかのように報じた。
日米首脳会談からの一週間で、TPPをめぐる情勢は一気に加速している。先の総選挙でTPPに反対して勝利した自民党の内部では、いったいどのような議論があったのか。そして今後の展開は?自民党の農林部会長で、衆議院農水委員会理事の小里泰弘(おざと・やすひろ)衆院議員に話を伺った。
* * * * *
小里泰弘(自民党・農林部会長):マスコミの暴走と「守りぬくべき国益」
─メディアでは「党内は政府に一任」という報道がありました
あの報道はおかしいです。確かに訪米後に、総理から参加するかしないかの判断はお任せいただきたいという話がありました。しかし、判断する前に党内の意見をしっかりと聞くという前提がありました。報道されているような「一任」という言葉ありませんでした。(25日夕方の自民党の役員会後の)農林部会では「一任」ではなかったという説明もありました。あの時点では、マスコミがかなり踏み込んだ表現をしました。マスコミの暴走といえるでしょう。
─2月23日の日米首脳会談からTPP交渉参加への道が一気に作られつつあります。一部では、2月28日の施政方針演説で参加表明するという「28日表明案」のシナリオができていたと伝えられていました
訪米からの党内の動きを説明します。2月23日、土曜日の朝に日米首脳会談の結果が伝わって来ました。我々は朝から執行部との折衝を始めました。総理とも連絡を取りました。我々が要請したことは、交渉参加するかしないか判断する前に党内の議論を尽くすこと、19日に議員連盟(「TPPの即時撤回を求める会」)で決議した6項目の「守りぬくべき国益」(参考: http://ameblo.jp/tpp-tekkai/entry-11476224157.html )を党の機関で追認することです。
以来、我々は仮に総理が交渉するかしないか判断するとしたら、その前に我々が示した「守りぬくべき国益」を受け止めて、どう守っていくのか明確な方針を示していただきたいというお願いをしてきました。
そして現在はそれが実行されつつあります。今は中間段階だと思います。昨日(2月27日)、党の「外交・経済連携調査会」(衛藤征士郎会長)において、我々が要求してきた「守りぬくべき国益」の部分を含め、要請通りの内容が決議されました。その決議は党の機関決定として、総理に渡っています。総理がどう受け止め、どう方針を示されるのか。そして今後、我々と話し合いをする機会をつくるということですから、その時には意見を申し上げたいと思ってます。
─施政方針演説で、安倍首相はTPPについて、「政府の責任において判断する」という表現をしてました
それは当然です。話し合いの場をつくるのはこれからです。決議内容を見てもらえればわかりますが、日本の歴史文化伝統にも関わるものであります。この決議は、これからいろんな意味を持ってきます。どういう段階になっても、国民生活を守っていくための「盾」になります。
─「段階」というのは
もし交渉参加するのであれば、あの決議が日本の一つの覚悟として、日本の交渉力につながってきます。
─交渉といえば、もともと4カ国の協定に米国などが入ってきてから、すでに3年間、15回の交渉テーブルが設けられています
すべては交渉次第ということです。
─参加には容認ということでしょうか
まだしていません。先程から申し上げている通り、我々は守りぬくべき国益を示し、それを党の機関で追認していただきました。政府側がその決議を受けてどのような明確な方針を示されるか。しかる後に、我々は対応を決めて行きたいと思います。
─訪米直後の報道では、「今週中にはTPP参加を決める」という表現だったが、「3月頭に決める」と一週間のびたように報じられています。いずれにしても一週間しかない。TPP反対派としては短時間で決めることは問題だという意見もあります
我々にしてみれば時間をかけて、国民的議論をする機関がほしい気持ちはあります。一番大事なことは、我々は「守りぬくべき国益」を示したわけですから。それを受けた政府がどう方針を示されるのかです。
─「断固反対」ということではないのでしょうか
それ(政府の方針)を見てみないとわかりません。我々はずっとTPPに反対してきましたし、今でもTPP交渉参加自体を避けたほうがいいと思っています。
ただ、残念ながら交渉に入ってしまった場合でも、我々は国益を守っていく責任があるのです。それを国民と約束してきました。どうやったら国益を守っていけるのか。段階ごとにやるべきことがあります。
今回の決議はそのための布石にもなります。交渉参加してから交渉参加はいけませんと言ったって遠吠えになってしまうでしょう。交渉参加したなりに、我々の対応もあるということです。
(取材・編集:THE JOURNAL@ニコニコ支局 編集部 取材日:2013年2月28日)
【関連記事】
■<安倍首相>TPP交渉参加表明 28日検討も見送りに
(毎日新聞 2013.2.27)
http://sp.mainichi.jp/m/news.html?cid=20130227k0000m010124000c
■自民 TPPで専門委員会発足へ(NHK 2013.3.1)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130301/k10015872671000.html
■TPP交渉 事実上表明 施政方針演説(東京新聞 2013.2.28)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013022802000194.html
日米首脳会談からの一週間で、TPPをめぐる情勢は一気に加速している。先の総選挙でTPPに反対して勝利した自民党の内部では、いったいどのような議論があったのか。そして今後の展開は?自民党の農林部会長で、衆議院農水委員会理事の小里泰弘(おざと・やすひろ)衆院議員に話を伺った。
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小里泰弘(自民党・農林部会長):マスコミの暴走と「守りぬくべき国益」
─メディアでは「党内は政府に一任」という報道がありました
あの報道はおかしいです。確かに訪米後に、総理から参加するかしないかの判断はお任せいただきたいという話がありました。しかし、判断する前に党内の意見をしっかりと聞くという前提がありました。報道されているような「一任」という言葉ありませんでした。(25日夕方の自民党の役員会後の)農林部会では「一任」ではなかったという説明もありました。あの時点では、マスコミがかなり踏み込んだ表現をしました。マスコミの暴走といえるでしょう。
─2月23日の日米首脳会談からTPP交渉参加への道が一気に作られつつあります。一部では、2月28日の施政方針演説で参加表明するという「28日表明案」のシナリオができていたと伝えられていました
訪米からの党内の動きを説明します。2月23日、土曜日の朝に日米首脳会談の結果が伝わって来ました。我々は朝から執行部との折衝を始めました。総理とも連絡を取りました。我々が要請したことは、交渉参加するかしないか判断する前に党内の議論を尽くすこと、19日に議員連盟(「TPPの即時撤回を求める会」)で決議した6項目の「守りぬくべき国益」(参考: http://ameblo.jp/tpp-tekkai/entry-11476224157.html )を党の機関で追認することです。
以来、我々は仮に総理が交渉するかしないか判断するとしたら、その前に我々が示した「守りぬくべき国益」を受け止めて、どう守っていくのか明確な方針を示していただきたいというお願いをしてきました。
そして現在はそれが実行されつつあります。今は中間段階だと思います。昨日(2月27日)、党の「外交・経済連携調査会」(衛藤征士郎会長)において、我々が要求してきた「守りぬくべき国益」の部分を含め、要請通りの内容が決議されました。その決議は党の機関決定として、総理に渡っています。総理がどう受け止め、どう方針を示されるのか。そして今後、我々と話し合いをする機会をつくるということですから、その時には意見を申し上げたいと思ってます。
─施政方針演説で、安倍首相はTPPについて、「政府の責任において判断する」という表現をしてました
それは当然です。話し合いの場をつくるのはこれからです。決議内容を見てもらえればわかりますが、日本の歴史文化伝統にも関わるものであります。この決議は、これからいろんな意味を持ってきます。どういう段階になっても、国民生活を守っていくための「盾」になります。
─「段階」というのは
もし交渉参加するのであれば、あの決議が日本の一つの覚悟として、日本の交渉力につながってきます。
─交渉といえば、もともと4カ国の協定に米国などが入ってきてから、すでに3年間、15回の交渉テーブルが設けられています
すべては交渉次第ということです。
─参加には容認ということでしょうか
まだしていません。先程から申し上げている通り、我々は守りぬくべき国益を示し、それを党の機関で追認していただきました。政府側がその決議を受けてどのような明確な方針を示されるか。しかる後に、我々は対応を決めて行きたいと思います。
─訪米直後の報道では、「今週中にはTPP参加を決める」という表現だったが、「3月頭に決める」と一週間のびたように報じられています。いずれにしても一週間しかない。TPP反対派としては短時間で決めることは問題だという意見もあります
我々にしてみれば時間をかけて、国民的議論をする機関がほしい気持ちはあります。一番大事なことは、我々は「守りぬくべき国益」を示したわけですから。それを受けた政府がどう方針を示されるのかです。
─「断固反対」ということではないのでしょうか
それ(政府の方針)を見てみないとわかりません。我々はずっとTPPに反対してきましたし、今でもTPP交渉参加自体を避けたほうがいいと思っています。
ただ、残念ながら交渉に入ってしまった場合でも、我々は国益を守っていく責任があるのです。それを国民と約束してきました。どうやったら国益を守っていけるのか。段階ごとにやるべきことがあります。
今回の決議はそのための布石にもなります。交渉参加してから交渉参加はいけませんと言ったって遠吠えになってしまうでしょう。交渉参加したなりに、我々の対応もあるということです。
(取材・編集:THE JOURNAL@ニコニコ支局 編集部 取材日:2013年2月28日)
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(毎日新聞 2013.2.27)
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http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130301/k10015872671000.html
■TPP交渉 事実上表明 施政方針演説(東京新聞 2013.2.28)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013022802000194.html
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