5月18日、山林所有者が自分の山を自分で整備し管理する「自伐(じばつ)林業」の普及に向けたフォーラムが高知市で開催され、会場には200名を超える参加者が全国から詰めかけた。
「自伐林業は林業施策からスッポリと抜け落ちています。光を当てると実に面白いことがわかってきました」
土佐の森・救援隊事務局長の中嶋健造さん
今回の自伐林業推進フォーラムでは、まず事務局長の中嶋健造さん(51)が登壇し、土佐の森から自伐林業の普及を呼びかけた(映像は以下、【その1】)。
《5.18 自伐林業推進フォーラム「本当の森林・林業再生を考える」【その1】》
そして、その自伐林業を政治・行政はどう見ているか(【その2】)、最後には現場で自伐林業をする林家を交えた全体討論が行われた(【その3】)。
《「本当の森林・林業再生を考える」【その2】》
http://www.nicovideo.jp/watch/1369066615
《「本当の森林・林業再生を考える」【その3】》
http://www.nicovideo.jp/watch/1369100564
「土佐の森・救援隊」とは一体?
主催の「土佐の森・救援隊」とはどういう団体なの?土佐の森は2003年に高知県で立ち上がったNPOで、独自の地域通貨券「モリ券」や森林ボランティアを活用しながら「自伐林業」の仕組みを展開している。チェーンソーやワイヤー(軽架線)など低価格の機械で始められる林業を確立し、市場価値を見出されず山に捨てられていたような低品質材(C材)を販売できる仕組みを作ってきた。また、自伐林家養成塾を毎月開催するなど、林業に関わる人材を育てる活動にも注力する。
養成塾を卒業して林業を始めた谷岡宏一さん(19)(左)/ボランティア活動をすると1枚1000円相当のモリ券が数枚発効される(左)/「木の駅ひだか」では土佐の森メンバーが運び込んだ薪を1コンテナあたり200円で購入できる
土佐の森の事務局長・中嶋さんによると、土佐の森の主な活動場所の二淀川流域では、2007年の時点で7、8名だった自伐林家が現在60名ほどに増えているという。「自伐林業が全国に普及すれば、全国5万人弱の林業家を将来的には50万人にできる」と中嶋さん。実際に、自伐林業を中心とした仕組みづくりは、全国約40ヶ所で導入、検討が始められている。(つづく)
仁淀川流域の林家を訪ね歩く中嶋健造さん(右)
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■本当にあった小説「神去なあなあ日常」のある暮らし──国には見えない密かで大きな「自伐林業」の動き
http://ch.nicovideo.jp/ch711/blomaga/ar232311
■甲斐良治:「小は大を兼ねる」――日本的転換で危機を希望に転じる(無料)
■「林業は儲かるんや─土佐の森発の自伐林業とは」(THE JOURNAL映像記事/無料)
■季刊地域(薪で元気になる)(農文協)
■バイオマス材収入から始める副業的自伐林業 (中嶋健造編著/林業改良普及双書)