8日に東京農業大学と毎日新聞社が主催した「農and食─食料の安全保障と日本農業の活性化を考える」シンポジウムに呼ばれ、後半のパネルディスカッションでは篠原孝農水省副大臣とともに登壇しました。
10月以降話題にのぼっているTPPについての問題意識を出し合う機会があり、私は小規模農家、農村の立場として発言をしました。
TPPの議論をみていると、「工業(自由化推進)vs農業」という対立の構図が目立っているなと感じます。私はまず今の農業・農村の現場がどうなっているかを踏まえた上で、食料や農業の将来を考える必要があると思います。
前原誠司外務大臣は10月に「日本の国内総生産(GDP)における第1次産業の割合は1.5%だ。1.5%を守るために、98.5%のかなりの部分が犠牲になっているのではないか」と発言しました。
わが日本の農業の現場の問題をどれほどうけとめているのでしょうか。約260万人という農業就農者のうち約半分は70歳を超えています。39歳以 下は約20万人。10年後に食料は誰が支えているのでしょうか。食料生産現場をどう考えているのか、食料の将来について無視した議論に持って行くことは関 心ありません。
映像はTPPについて意見交換した一部で、篠原副大臣の発言とあわせてブログに掲載します。
今回はTPPについてですが、「戸別所得補償」政策の意見交換もあらためて伝える予定です。
いずれの問題にしても、これからの食料をどうするんだ、誰が支えるんだという部分が抜けているように感じています。
【プロフィール】結城登美雄(ゆうき・とみお)
1945年、中国東北部(旧満州)生まれ。宮城教育大学、東北大学大学院非常勤講師。「地元学」の提唱で2005年芸術選奨・文部科学大臣賞受賞。著書に「地元学からの出発―この土地を生きた人びとの声に耳を傾ける」(農文協)「東北を歩く―小さな村の希望を旅する」(新宿書房)など