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高野孟:対中強硬路線を煽る飯島参与の怪しい動き
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高野孟:対中強硬路線を煽る飯島参与の怪しい動き

2014-01-27 08:44
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飯島勲内閣官房参与の動きが怪しい。17日付の毎日新聞の安倍靖国参拝の検証記事の中にチラリと出て来るが、飯島は昨年12月中旬に極秘に訪米し、2008年の大統領選でオバマと争った共和党の重鎮マケイン上院議員らと接触、「靖国を参拝しても米国の反発は大したことはない」という感触を持ち帰って、それに励まされて安倍が参拝を強行したというのだ。

それ以前、昨年11月には衛藤晨一首相補佐官がワシントンを訪れて、米国務省関係者やアーミテージら知日派から「いま参拝して中国や韓国を刺激するのは止めろ」と言われてきて、それを理由に菅義偉官房長官らは参拝に慎重な態度をとって安倍を押し止めていた。小泉政権時代から首相参拝に積極的だった飯島は、この衛藤報告に不満で、自分でワシントンに出かけて行って、マケインなどと対中強硬派とばかり会って「中国とはどんどんやり合え。米国は応援するぞ」といった勇ましい声ばかりを掻き集めてきたらしい。それで安倍がすっかり状況を見誤って、オバマ政権の「失望」を買う結果となったのだ。

マケインは、「イラン、キューバ、中国に対しては外圧で“体制変革”を迫る」というネオコン的な外交政策の持ち主である。大統領選の時も「私が当選したら、まず最初に中国を為替操作国に指定して制裁する」という粗暴なことを言ってひんしゅくを買った。昨年8月に日本経由で中国を訪問した際には、東京で安倍首相と会談し「沖縄と尖閣は日本の領土だというのが米政府・議会の立場だ」と言い放ち、次に訪れた北京では中国側から「言動を慎むべきだ」とクギを刺され、米国務省もマケイン発言の尖閣領有権に関する部分を否定する談話を発表するという騒動になった。

こういう極端な嫌中派の意見を参考にして、安倍が中韓に対するケンカ腰の姿勢を一層強めれば、オバマ政権や知日派は「失望」どころか本気で怒り出して、4月のオバマ来日をキャンセルするという前代未聞の挙に出る危険もある。その飯島は2月初旬にまた訪米して、ロビイストのロイ・ファウチが主催する講演会で「日本政治の過去・現在・未来」と題してスピーチするというが、こんな人物に日米関係の未来を託して大丈夫なのか。▲
(日刊ゲンダイ1月22日付コラムを転載)


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<高野孟(たかの・はじめ)プロフィール>
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。94年に故・島桂次=元NHK会長と共に(株)ウェブキャスターを設立、日本初のインターネットによる日英両文のオンライン週刊誌『東京万華鏡』を創刊。2002年に早稲田大学客員教授に就任。05年にインターネットニュースサイト《ざ・こもんず》を開設。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。
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実質的には破産国家であり、厭戦気分が社会的な趨勢になっている米国において、今、中国と対峙する力はない。軍事的優位を確保できても、経済的に中国依存が現実的に支配するような情況にあって、中国と敵対することは、米国多国籍企業が容認するわけがない。米国は、政府の力を多国籍企業がコントロールしていると見るべきでしょう。
飯島という人が、極端な米国一国主義を唱えるマケインなる時代遅れな人間に左右されるのも首を傾げたくなるが、世界の情況を的確に判断できない安倍総理は、自己主張が強すぎため、自己と同じ考え方をする人を重用する傾向がある。自分を批判する人の声をありがたいといって聞けないようになれば、安倍総理の人間的限界であり、全てやることなすこと、国内はともかくとして、国際的に通用しなくなるといえます。

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