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高野孟:海江田を下ろしても路線がフラフラでは再生はない民主党
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高野孟:海江田を下ろしても路線がフラフラでは再生はない民主党

2014-06-04 09:00
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民主党で、海江田万里代表を来年9月までの任期前に引きずり下ろして、新体制の下で来春の統一地方選挙を迎えようという動きが慌ただしい。海江田は12年末の衆院選惨敗の後、他に人がいない、人格円満で無難、といった消極的な理由で代表に選ばれ、13年7月の参院選の大敗の後でも同様の理由で続投が決まっただけの、同党の無気力状態の象徴であって、何とかこの惨めな現状を打破しようという動きが出て来るのは当然だろう。

玄葉光一郎前外相は25日、福島県で開かれた党の会合で「政権に再挑戦する態勢を築くには代表選が行われるのが望ましい」と語り、その際、海江田が昨年参院選直後に「1年後に成果が出ていなければ」代表の座にしがみつくことはないと言っていたことに言及した。ということは、通常国会が終わったら代表選をやれ、ということである。玄葉やそのお仲間の安住淳元財務相、中川正春元文科相ら野田政権の主流派をなした保守派グループ10人余りは、5月13日には赤坂の中華料理店で会合して「総裁選前倒し」で気勢をあげているが、その真意は岡田克也元副総理の担ぎ出しである。また、前原誠司元代表、枝野幸男元経産相ら旧さきがけ系を中心とする「凌雲会」も15日会合を開き、「現体制では統一地方選は戦えない」と宣言した。同グループでは、前原自身もまだ色気満々だが、枝野を押し立てようという意見もあり、また他方では今さら民主党をどうこうするよりも維新の会などとの野党再編に賭けるべきだという意見もあって、腰が定まっていない。さらに、同党の当選1〜2回の岸本周平、玉城雄一郎ら6人は21日から、代表選出馬の要件となっている「20〜25人の推薦人」という規定を「10人以上」に改めるべきだとして、党内で署名運動を始めた。彼らは「海江田下ろしが狙いではない」と言っているが、岡田や前原の世代を飛び越えて一気に若手世代への代替わりを実現することを狙いとしたこういう動き自体が、海江田下ろしを煽る結果になることは間違いない。

混沌とした有様だが、事の本質は、民主党がリベラル軸を失ってしまい、集団的自衛権でも原発再稼働でもTPPでも消費税増税でもスッキリと党内をまとめて「反対」の立場を鮮明にすることができず、そのため野党共闘を主導して安倍政権を追いつめて存在感を示すことができないことにある。立場がはっきりしなければ、代表の首をすげかえても立て直しなどできるわけがない。▲

( 日刊ゲンダイ5月28日付から転載)


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<高野孟(たかの・はじめ)プロフィール>
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。94年に故・島桂次=元NHK会長と共に(株)ウェブキャスターを設立、日本初のインターネットによる日英両文のオンライン週刊誌『東京万華鏡』を創刊。2002年に早稲田大学客員教授に就任。05年にインターネットニュースサイト《ざ・こもんず》を開設。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。
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自民党と民主党の差はなにか。よくわからない。
大雑把に見るとき、自民党は、保守右翼から社会党に近いリベラルまでいるが、一致団結して行動する。意見の対立はあるが、仲間割れ現象があまり表に出ない。一方民主党は、皆が皆己の考えを押し通そうとし、反対は反対であり、絶対妥協しない。結局自民党では通用しない聞き分けのないというか、使い物にならない妥協を嫌う個人主義者というより自己中心主義者が集まっているといえる。
民主党政権は、小沢氏という傑物がいて、選挙を取り仕切ったから政権をとれたのであり、現在の岡田、前原など人間的に人を引き付けるところがない人が、どうやって選挙に勝てる態勢を整えることができるか。
わずかな可能性は、細野氏を立てて、他の野党と組まなければ可能性はないが、民主党は個性の強い人が多すぎて、プラス方向に向かう可能性が少なすぎる。返ってマイナス方向に働く力のほうが強いのではないか。他野党がしり込みしかねない。

No.1 120ヶ月前
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