名前:渡辺喜美(わたなべ・よしみ)
政党:みんなの党
選挙区:栃木3区
生年月日:1952年3月17日
血液型:O型
ホームページ:http://www.nasu-net.or.jp/~yoshimi/
Q1:なぜ政治家になったのですか?
中学一年生のころ、政治家になりたての親父の話を聞いて、「こりゃすごいな」と思ったのがきっかけですね。
それまではね、小学校三年生の時からプロ野球の選手になりたくて、プロ野球入りのための「渡辺プラン」というのを作りまして、トレーニングをやってたんです。結構ハードでしたよ。冬場は走りこみ、あとは今で言うウェイトトレーニングとか、子どものころからやっていた。それで背が伸びなくなった(笑)。親父を見たらわかると思うんだけど、そういうDNAなんだろうけどね。
「渡辺プラン」では、中学一年生のとき170センチになっているはずだった。それが20センチ程足りなくて...これではプロ野球選手はダメかな...と思いかけたころ、わたしの親父が衆議院議員に当選して、週末帰ってきて晩酌しながらいろいろ子どもに言って聞かせるんです。当時中学校一年だから難しい話はわからないけれど気宇壮大な話を聞かされた記憶がありますよ。科学技術委員会に入っていた親父は「これからの時代は海水から水素を取り出してクリーンエネルギーを作る技術を開発するんだ~」とか、そういう類の話。おぉ~政治家ってすごいんだな!!
ちょうど中学校一年ですから、「オレさまって一体何者なんだ」という哲学的な問いに目覚めるころ、おちんちんに毛が生えて、自我に目覚めるころそういう時の親父の話がちょうど「雷に打たれる」ような体験だった。それがきっかけでしたね。
Q2:政治家になる前はどのような仕事や活動をしていましたか?
ずっと裏方、秘書をやっていた。裏方の仕事は大変で学校で教えて貰えないことをずいぶん教えて貰った。たとえば電話一本、それの秘書の出方で、ボスの評価が決まるってことがある。例をあげるなら、議員会館にしょっちゅう電話を掛けてくる人もいますが一生に一回しか電話してこない人だっている。そんな時に、もし横柄な態度だったら、ボス、その代議士の印象が決まってしまう。親父から言われたのがたとえば電話に向かってお辞儀するのはバカみたいな習慣だと言う人もいう。海外だと机に足を放り投げて電話に出ているシーンもある。でも実は電話に向かって頭を下げると、電話の向こう側の人にはそういう光景も見えるんだぞ、と。もし足を上げていたらやっぱりそういう声の抑揚になる、現れる、だから電話は怖いぞ!ってよく言われた。
そういった秘書時代の体験が政治家になって生かされたと思う。世の中の、いろんなディテイル、ノウハウ、これらを秘書時代にずいぶん学んだ。また、当時の秘書家業というのは小時間産業が多かった。つまり正規ルートだとやたら時間がかかる、日本は官僚統制がずっと続いてきた国だから例えばトラブルが起きて裁判に持ち込んでいくと何年も何十年もかかるものがある、ショートカットで政治家事務所に頼みに行って、統制型システムを仕切っている役所に持ち込んだほうがすんなり解決が早い、またそれで官僚は政治家に貸しが出来る。そういう持ちつ持たれつの癒着関係が当時はあった。そういう陳情って多かった。そういう時の陳情処理の四原則というのを叩き込まれた。
【第一原則】
この頼みごとが法令、道徳、社会常識と照らして正しいのか、間違いかを判断する。今で言うコンプライアンスです。これに外れていたらお断りをしよう。断るのも相手の機嫌を損ねないディテイル、ノウハウがある。
【第二原則】
ではこの頼みごとが急ぐ話か、時間をかけてやる話なのか時間の緩急を見定める。
【第三原則】
どのような手段方法がこの陳情をもっとも効果的に収めるには適しているか、手段方法を考える。大々的に作り攻め上がるのがいいのか、スポーンといきなり正面突破がいいのか等、手段方法を考える。
【第四原則】
必ず結果の報告、中間報告を頼んできた人にしなさい。今どうなっているか、報告をしないと一生懸命にやっていても、陳情を言ってきた方にいま取り組んでいるのか否かもわからない。なので必ず報告をしなさい。報告を頼んできた人にしないとやっていないのと一緒だ、と。このように裏方時代の学校で教えて貰えないことはずいぶん役に立ちました。
Q3:どのような政策にいちばん力を入れていますか?
わたしたちの一丁目一番地では「霞が関改革法(霞が関改革推進関連法案)」というのを考えた。この間、予算委員会で直接、鳩山総理に提案をぶつけましたが鳩山さんがちょっと中途半端だった、答弁も物足りませんね。
霞が関改革法というのは、結構いろんな提案がありましてね、天下り斡旋全面禁止する!斡旋違反は刑事罰にしちゃおう、とかね。いろんな提案があるんです。天下り斡旋は根絶だ!と民主党も言っていたが最近、ヘンなんですよね。例えば斡旋禁止だと言っているのに日本郵政の社長には元大蔵事務次官、超大物官僚OBの斎藤次郎(さいとう・じろう)さんをもってくるとかね、その両脇を固める副社長は、これまた事務次官中のポストを経験した官僚OBですよね。それって言っていることとやっていることが全然違うじゃない、いろいろ追求していったら、なんだか自民党時代と同じような言い訳を言う。「この人は能力あるから」とか、「14年間も民間行っているから」とか。
天下りはほとんど民間のポストですからね、公益法人とか特殊会社はもともと民間なんですからそういう民間のポストだって明らかに天下りの渡りポストなんですよね。それを14年間もやってきているからこの人はロンダリングされている、それはないでしょう!役所に聞いたらもう影響力はないからというが、役所がそういうのは、当たり前でしょう。それは天下りを認めるということになる。
予算委員会の議論を聞いていたら、「あの~この人を社長にしてくれ」と頼んだらそれは天下りだけれど、「この人を社長だ」と決めちゃったら天下りでない。役人が斡旋したら天下りだけど大臣が斡旋したら天下りではない。ちょっと世間にはわけのわからない理屈が飛び出してきましたね。「あれっ?コレどうなっちゃったんだよ~」とわたしは非常に疑問に思いました。いや、これは現実路線になったんだよっていうけれどそうじゃない、結局役人に上手に丸め込まれている。このあたりが民主党政権の中途半端なところですよね。
事務次官会議廃止しました!事務次官記者会見も廃止しました!それじゃぁ事務次官、暇で暇でしょうがない!だって天下り斡旋をさせないんですからね、だったら事務次官ポストを廃止したらいい。こういうのが我々の霞が関改革に書いてある。ワンパッケージのプランを提案しました。民主党は言う、考えていることは我々と同じと。だったら早くやりましょうよ、なぜやらないんですか?そう思いませんか?
鳩山さんは無血の平成維新が起こったんだ!と言ってますが、よくよく考えてみたら麻生さんの自民党を支えてきた官僚達がそっくりそのまま残っているんですよ、官邸にも霞ヶ関にも。言ってみれば、明治維新が起きたんだっても体制を良く見てみると自民党幕府を支えてきた幕臣、つまり官僚ですよ、それがそっくりそのまま残っている。幕臣(ばくしん)、丁髷(ちょんまげ)結った人たちに民主党の政策はこれだから転換しろ!というのはそれってちょっとうまくいくわけないんじゃないですか、難しいと思う。やっぱり"人事と組織を変える!"そうじゃないと本物の維新は起こらない。
Q4:今回の「政権交代」をどう感じていますか?
我々も政権交代と言ってきて、首班指名(選挙)でも鳩山さんを指名した。それだけ我々も期待していたんです。でも期待どおりにはいってないな...という感じ。鳩山政権というのは、例えてみれば、明治維新の政府ではなく、江戸幕末の改革将軍、第十五代・慶喜(よしのぶ)公みたいなもんですね、どこかに篤姫(あつひめ)がいるかもしれないですけどね。そんな印象を受けますね。
Q5:民主党は政権を維持できますか?
300議席以上持ってますからね、そう簡単は壊れないと思いますが。
─民主党政権のポイントになるところ、つまり、政権を維持するにあたってここはやっていかなきゃ国民にNOと言われるだろうな、というところはありますか?
脱!官僚といって政権交代したわけだからそれが脱官僚どころか官僚に上手に丸め込まれてしまったら国民の不信感に繋がるだけですよね。なぜ、脱官僚にしなければならないかというと、日本の政治を動かしてきたのが官僚なんですね。官僚ってのは、なんと政治をやるわけですよこの国では(笑)。政治力のある官僚が「大物官僚」といわれるんです。まぁ、日本郵政の社長になった斎藤次郎さんなんてその典型。だから政治を動かす、つまり、細川政権の時代に小沢さんと組んで消費税を廃止する、その代わり3%じゃなくて7%国民福祉税を創設する、こんなの政治そのものじゃないですか!そういう活動をやってきた大物といわれる人を天下りのポストにつけるのだから、こりゃ一体何なんだ、と思いますね。
Q6:自民党は再生できますか?
選挙前の自民党は例えるなら破綻懸念先債権みたいなものだった。選挙後は議席が3分の1になり実質破綻先債権になったと思う。債務超過ですよね。債務超過は回復しようがないというわけですから、再生するためには、要するに破たん処理をするしかないんですよ。"一度死んで蘇る"ということです。そのための再生手法でとられるのは新旧分離再生、つまり、旧自民党と新自民党に分けて、借金と党本部は旧自民党にのせて処理する、新自民党は政界再編をやる。こんなイメージ。それをやらないと自民党の再生はないでしょう。このままいったら次の選挙はまた半分になる。ジリ貧の一途を辿る。株価でいったら限りなく0円に近づいていっている、という感じじゃないですか。
Q7:地元で抱える一番の問題点は?またそれに対しどういう対策をとっているか?
わたしの地元は風光明媚なところで、山もあれば川もあれば畑も田んぼもありますし、観光地としても那須とか、塩原とか板室温泉、馬頭温泉、芦野温泉とか、たくさんあるんです。わたしの生まれた街、今、那須塩原市という名前になっていますが、実は明治時代になるまでは、ほとんど人がいなかった。要するに人の住めない地域だったのです。なぜかというと、川があったが水が流れていないんですよ。蛇尾川(さびがわ)というのは水が地下にもぐる伏流水になっていた。だから農業をやろうにも出来なかった。今のような井戸を掘る技術がなかったからね。だから人が住めないというわけだったんですね。
それを明治時代に、明治の元勲(げんくん)達と我々の原住民の祖先が、共同で開墾をはじめたんです。当時の殖産興業政策もあったんでしょうけれども、水が流れている川、那珂川(なかがわ)から土水路で水を引っ張ってきて、今風で言えば民間公共事業ですよね。ブルトーザーもなんにもない時代に、人力で水路を開削して、1日で100メートルも掘っちゃった!っていう記録が残ってますよ。フロンティアスピリットってものすごいんだな、というのがよくわかる。こういう自然を上手に改良しながら農業生産ができるようになってきたんですね。
わたしの親父の時代にダムを作り、大きなため池2つ作って縦横無尽に水路を張り巡らして長期トレンドとして、水がなかったところがまず水に困ることがなくなり、逆に地下水も長期トレンドとして田んぼに水がくる、よって平地林も豊かになってくる。自然を上手に改良すると人も住めるようになり自然も豊かになっていく、そういう非常にモデル的な地域だと思う。こういうところで生まれて育って本当によかったと思っています。
ただ、最近の問題はやはりあって... 例えばお医者さんが少なくなって本当に救急の患者さんが空いているところがなくて、救急車が運べなくて待機になったり、それから、「有効求人倍率」がわたしの地元でも非常に下がってきてしまいまして「有効求人倍率」が毎月発表されるので、わたしも必ず目を通し詳細に数字をみるようにしていますが、雇用が大変な状況になってきているのが非常に心配なところです。対処療法ってのがありうるんですが、根本療法というのも必要なんです。デフレギャップ、GDPギャップがマイナス7%くらいになっている。だいたい日本は40兆円位需要ギャップがある、だから製造業が外需に頼ってたのが、ぽっこりなくなってきている。やはりそういう地元の状況をみていると、国政で一体どういう経済運営をやっていくのか、中長期的にどういう戦略の成長の路線、政策をとるのか、非常に我々に考えさせられる数字ですよね。
みんなの党は、「アジア30億人の世界を内需の社会にしよう!」というマニフェストを掲げている。中国、インド、ASEAN、韓国、オセアニアの方をいれたら30億人は軽く突破しますよね。こういう世界が実は日本にとって内需とほぼ同じなんだ、ということになれば、[日本は]一億二千万人から人口が減り続けますから、寂しい社会になっていくんですよ...とは全く別のシナリオがうまれてくるんですね。やっぱりそういうのを地元から見て考える、という視点が大事なんでしょうね。
Q8:日本をどのような国にしたいですか?
政治家というのは地元あっての政治家ですからね。「民の竈(かまど)がどうなっているか」そういう実感がないといけませんね。そしてこの国がこれからどういう状況にみまわれるか、その直観力が働かないといけません。そして歴史の流れの中で過去と現在、そして、未来がどうなっていくか、この大局観がないといけませんね。この「直感」「実感」「大局観」というのを、わたしは政治家の反射神経と呼んでいるんです。
Q9:国民・支持者にいまいちばん言いたいひと言を!
みんなの党はあなたの党です。8月8日に出来て、まだ本当に数ヶ月しか経っていない政党ですが、たったの三週間で8月30日には300万票も頂くことが出来ました。わたしたちは「脱!官僚」「地域主権」「生活重視」、こういうアジェンダを掲げて選挙に臨みました。政権交代は実現されましたが、わたしたちは"ばらまき"はやってはいけない!徹底して国家のリストラをやる!こういうことを謳っております。
大事なことは、やはりこの国の国家経営の歪み、これを正していくこと。日本の戦後レジームは、大体1940年前後に出来たものが非常に多いんです。そうすると、官僚主導、中央集権、役人本位型システム、これを、政治主導、地域主権、国民本位型システムに変えていく必要がある。これが出来れば、失われた10年、停滞の20年から底を打って、再び上昇に転ずることが出来るはずなんです。
150年ほど前に我々の祖先が何をしたか?それは「維新」をやったんです。黒船が来たから維新が起きたんじゃないです、まさに庶民が気づいたんです。士農工商という身分制はおかしい、お侍さんってたいしたことないよね、と、その瞬間から維新は起きたんですね。まさに今、身分保障という壁に守られて、試験で選ばれた官僚が政治を転がし、地方を支配し、天下りネットワークを通じて民間を統制している、こういう身分制を根本的に見直す!そして真の政治主導、真の議院内閣制、真の自由社会、真の民主主義の実現する!これにより日本を復活することは可能であります。
みんなの党はあなたの党です。みんなの党はまだ5人しかいない政党ですけれども、悪いけれど民主党は今がピークでしょうね... 自民党はジリ貧です。これから伸びていくのはみんなの党だけです。よろしくお願いいたします。