2月27日に、約1年ぶりの音源となるシングル『The 25th Century Love』を、5 Type各500円でリリースするν[NEU]。
3月からは、新作シングルを手に全国ツアー「SPRING ONEMAN TOUR 2013 #1~13」も計13本スタート。久しぶりの音源リリースということもあり、とてもテンションの高いメンバーたち。その昂る気持ちを、ここにガッツリお伝えしよう。
撮影:菅沼剛弘 / インタビュー:長澤智典(サポート:斎藤碧)
Photographs by Takehiro Suganuma / Interview by Tomonori Nagasawa(support:Midori Saito)
[2013年1月掲載]
8ヶ月のリリース空白期間が生まれたことによって、それまで僕らが目を背けていた部分をしっかり見つめ直さねばいけないことにバンド自体が気づいてしまった。
しかも、その課題をちゃんと消化しなければ、当時のν[NEU]は前へ進むことができなかったんです。 |
――約1年ぶりの音源として、2月27日にシングル『The 25th Century Love』を5Type各500円でリリースします(5枚×5(00)円=25th)。それまでの日々も、精力的にライブ活動を重ね続けていました。ここまでの時の流れはアッと言う間でした?!それとも、いろんな想いを抱えながら長い年月を歩んできた形だったのでしょうか??
ヒィロ メジャー・デビューからアルバム『Restless』を出すまでの期間はアッと言う間だったんですけど。アルバムを出して以降、今回のシングル盤の具体的な制作へ入る(11月)までの8ヶ月間は、すごく長かったし、ちょっとつらい時期でもありました。
みつ そうだね。しかも、俺の中には「濃かった日々」という感覚もあった。確かに(制作へ入るまでの)8ヶ月間、つらいことも。もちろん、いいこともあったんですけど。リリースがなかったぶん、自分たちでν[NEU]の新たな未来像を探すべく試行錯誤をしながらと、本当にバンドのことについていろいろと考えることのできた時期でもあったので、アッと言う間というよりは長かった日々だったなと思います。
――リリースの期間が空いたことは、バンドにどんな影響を及ぼしました?!
みつ 最新シングルのリード曲となった『The 25th Century Love』は、すでにアルバム制作タイミングで録り終えてたんですけど。それ以外の、各シングルに収録した5曲は、本当に最近録った音源ばかりなんですよ。
音楽って、その時期のバンドの状態によって産み出す音も違っていくじゃないですか。今回、その期間が空いたことによって、新曲たちを録り終えたときに「おっ、ここはこんなにも変わったんだ」という、バンドの進化した姿がすごく明確に見えてきた。結果、いい意味でモチベーションも上げられたし。いろんな発見もあれば、プラスに考えていける要素も多かったよう、自分では、期間が空いて良かったなと思えてる。
――アルバム『Restless』を作り、それをライブ・ツアーを通して消化したことも、バンドが次の進化へ歩を進めていくうえでは、良い結果を導き出したことなのでしょうか??
ヒィロ 『Restless』というアルバムを出したことで、この5人で活動してきたν[NEU]としての3年間にひと区切りが付いたのかなと思っていて…。
それまでの3年間は、ブッ続けでリリースをしてはライブ活動を行ってと、休むことなく、もの凄い勢いで駆け抜け続けてきました。それもあったせいか、その後、8ヶ月のリリース空白期間が生まれたことによって、それまで僕らが消化しきれていなかったり、目を背けていた部分をしっかり見つめ直さねばいけないことにバンド自体が気づいてしまった。その課題をちゃんと消化しきれなければ、当時のν[NEU]は前へ進むことができなかった。逆に捉えれば、そうやってバンドを見つめ直す機会を取れたことが良かったなと、今は思えますね。
ЯeI その見つめ直す期間の中でも、ズッとライブ活動は行っていたし。新曲の制作もいろいろやってはいたんですけど。その試行錯誤の期間があったからこそ、新曲のレコーディングはとてもスムーズにいけましたからね。
みつ ドラムを録り終えるの、けっこう早かったもんね。
ЯeI Type- のC/Wに収録した『FAKE』は一発目でいいテイクが録れたので、「これでOKです」と言ったんですけど。「念のためにもう1回」ということで、結果2回叩いたりという裏話もあったんですけど(笑)。
みつ なに?!その「俺は、一発でイケてたんだぞ」みたいな顔は(笑)。
ヒィロ 新曲では、『FAKE』のみ「AUTUMN ONEMAN TOUR 2012」のときにライブで演っていたことも大きかったんだと思います。
ЯeI 本当なら、こういう録り方が僕的には理想で。前にも『cube』という楽曲をライブで育てあげ、そのうえでレコーディングを行ったことがあったんですけど。あのときも、「ライブでファンの人たちと一緒に楽曲を育てあげたからこそ、レコーディングでも、その楽曲にとって一番ベストな形を録れたんだなぁ」と実感。今回も、そのときと同じ機会に恵まれたことは、すごい良かったなと思ってる。
――楽曲を育てあげたうえで録音するのが、本当なら一番理想的な形ですからね。
ЯeI そう。『FAKE』は、ファンたちと一緒に育てあげた楽曲。その成果を音源として残せたことは、すごく良かったなと思ってます。
――タクミくんは、インターバル期間をどのように捉えてました?!
タクミ 僕自身は、インターバルの期間を設けられたことによって、自分なりの音楽のあり方を考え直し、それを消化したうえで…。音楽を"こなす感覚で作る"んじゃなくて、常に聴く人の気持ちを考えるようになったと言えば良いのかな?!。「みんなは今、何を望んでいるのか?!」を考えたうえで、自分のフレーズや楽曲との絡み合いを意識して作ることが今回は出来ました。そうやって自分を見つめ返せたのも、その期間があったからこそだと思っています。
みつ 今回、ギターの表情がすごく変わったよね。歌入れしていく際にも、それぞれの楽曲に対してギター陣が描いた意識の方向性へ、自分の歌のニュアンスも、より深いところで合わせていける感覚が強かった。
「あっ、この曲でギター陣はこう思ってるんだ。じゃあ、自分はこう向かっていこう」。そう思えながら、それぞれの楽曲を、俺自身の意志のみならず、しっかりとバンドの意志として歌えた成果が、今回は大きかった。
――華遊さんは、どうですか?!
華遊 今回は、デモ段階での時点ですでに、リーダーの作ってきた楽曲にいい内容がすごく多くって。そのぶん、選曲も大変だったんですけど。同時に、スタジオで合わせながら、どんどん楽曲が変わっていくので、それが楽しかったです。
ヒィロ 「もう何度も、音を重ねた返信メールが来るように、僕を寝かせてくれなかったんですよ。」
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ヒィロ 今回は、作ったデモ音源をもとに、その楽曲を5人で噛み砕いてゆく作業がメチャ楽しかった。それは、8ヶ月の期間で経験したことを踏まえ、ミュージシャンとしてのスキルが5人全員上がったことが一番の要因なんです。メロディセンスや歌詞のセンスが抜群に変わったし、ギターのセンスも違えば、ドラムのフレージングも変わった。だから、レコーディングがすっごい楽しかったんです。
みつ 実を言うと、制作期間は8ヶ月ほど空いたと言ってますけど。実際のレコーディング期間は、今までの中でも一番短かったくらい、本当に余裕のない中で演っていたんです。
――あっ、そうだったんですね。
みつ 本当なら制作期間に余裕はあったんですけど。「AUTUMN ONEMAN TOUR 2012」へ入るに当たり、「今のバンドの意志のままツアーに入っても、果たしていい結果を出せるのか?!」という課題が見えてきたことから、本当なら新作の制作へ時間を費やすところを、一度その作業をストップ。「まずは、目の前のツアーへ向けてベストな状態を作ろう」という作業を行い続けてきました。
結果、バンド自体はものすごくまとまりました。その代償として、新曲制作へまわすスケジュールが過酷なほど詰まってしまい。ツアーを終えて、すぐにレコーディングへ突入という環境だったよう、意外と時間はなかったんですけど。その不安とは裏腹に、すごくいい作品たちが出来上がりました。
――先にも言ってましたが、『The 25th Century Love』は早い時期に完成していた楽曲なんですよね。
ヒィロ 『The 25th Century Love』は、新曲のレコーディングへ入る1年前頃には録り終えてました。この歌はν[NEU]にとっての勝負曲であり、当時は"隠し玉"として取っておいた楽曲なんです。
みつ 「何時、出そうか」という、そのタイミングをズッと待っていた曲なんです。
ヒィロ その代わり『The 25th Century Love』以外のC/Wに収録した5曲は、「AUTUMN ONEMAN TOUR 2012」が終わったあとの2~3週間の中、プリプロからレコーディングまで一気に仕上げました。
――ホントに過密な日程の中で制作し続けていたんですね。
みつ これは、今だから話せるレコーディング秘話ですけど。収録した5曲中3曲の歌詞は、レコーディングする当日の朝まで書きながら、そのうえでレコーディングに望みました。つまり、自分はプリプロに参加できず、いきなり本番レコーディングになったんですよ。
正直、最初は不安もあったんですけど。すでにバンド・サウンドがしっかり構築されていたからこそ、自分はそのサウンドへ自然と気持ちを溶け込ませ、楽曲の世界観へ入り込みながら素直に唄うことができた。それくらい歌に集中していけた音源たちだったから、そう出来たんだと思います。
ヒィロ 今回は、本当にギター陣の成長が凄かった。以前までは、自分がある程度の形まで中身を作り、「これを演ってください」と渡す感じだったんですけど。今回は、楽曲データを送るたびに、幾つものパターンを作りあげては、「この中から最適なものを選んでください」と上書きしたデータを送り返してくるわけですよ。その返ってきたアイデアをもとに、さらに練り込んで、ふたたびギター陣へオーダーしていったり。今回はとくにそのレスポンスが、ギター陣のなみらずメンバー全員から。しかも、どの楽曲にもあったことでした。おかげで、俺は寝れませんでしたからね。
みつ 1年ぶりのリリース作品になることもあって、メンバーみんな、納得のいかない形で出すのが本当に嫌だったんです。だからこそ、みんな時間をかけたし。自分だって、これまでとは違う歌詞の世界を作りあげてゆく成果を得られたんだと思う。
――実際にレコーディングも、朝まで書いた熱いテンションのまま、その日に歌入れしたわけですもんね。
みつ そうなんです。まぁ、これもレコーディング秘話なんですけど。数日間あった歌入れの日のうち、(身体に無理して歌詞制作していた影響からか?!)1日は、唄えなくて帰されました。そんな経験は初めてだったんで、すごく落ち込んだし。そのぶん後半は、1日休んだぶんを巻き返そうと必死に向かってましたからね。ホント、今だからこそ言える話ですけど。
――さっきも言ってましたが、ギター陣の成長は、リーダーにとってもいい刺激になったのでしょうか?!
ヒィロ もう何度も、ギターの音を重ねた返信メールが来るように、僕を寝かせてくれなかったんですよ(笑)。一度タクミとのやりとり中、限界が来て「俺、一度寝るわ」ということで寝て、起きてメールをチェックしたら、4通くらいいろんなバージョンを入れたメールが届いてて。それを聴いてまた返信したり。
タクミ 今回手がけた楽曲のどれも、聴いてるだけでフレーズが次々浮かんできたんですよね。以前までは、いろんな音が詰め込まれていたこともあって、「自分は支えるくらいでいいのかな?!」と思い、そういう演奏へ徹していくことが多かったんです。もちろん、今回も音はいろいろ入ってるんですけど、その中へ、いろんなアイデアを詰め込んでいける隙間があったことから、「ここに、こういうフレーズを入れたら美味しくなるんじゃないか?!」というアイデアが次々と浮かんできてたんです。だから、「こっちも寝かせない」という感じで制作へ向かってました(笑)。
みつ もちろん、制作には余裕を持たせなきゃいけないんですけど。本気で、必死になっているときって、人は思いがけないパワーが出るじゃないですか。しかも、そのときだからこそ生まれる何か不思議な力が湧き出ていく。それが、今回はすごくいい方向に出た作品になったなと思ってて。もしかしたら、あまり時間のない中で制作へ向かったほうが、ν[NEU]の場合は良いのかもしれないですね(笑)。