「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
 無料公開部分の生配信およびアーカイブ公開はニコ生・ニコ動のほか、YouTube Liveでも行っておりますので、よろしければこちらもぜひチャンネル登録をお願いいたします!

 今回は、2020年02月18日(火)配信その3をお届けします。

 次回は、2020年4月14日(火)20:00の配信です。

 お楽しみに!

2020/02/18配信のハイライト(その3)

  • これから税申告で気をつけることとインボイス制度
  • 消費税のコストと税収に占める割合
  • 天下りの仕組みと社会保険のループホール
  • インボイスの処理についてと個人と法人での株の運用
  • 文化資産から『パラサイト』、映像メディアの今後

これから税申告で気をつけることとインボイス制度

山路:あとはそうですね、なんか税制、そういう税金なんかが変わるっていうことに関して、フリーランスとか、あるいは小規模な会社とかなんかの税申告で今後変わる、大きく変わって気をつけたほうがいいよみたいな要素ありますか? この番組見ている方、フリーランスの方もけっこういらっしゃるみたいなので。

大河内:フリーランスだとNISA、つみたてNISAはちょっと変わるんですけど、確定申告、直接じゃないんですけど、つみたてNISAはちょっとよくなりますね、期間延びたりするので、5年位期間延びたりします。あとジュニアNISAはなくなりますね。

山路:あとは消費税なんかの扱い、たとえばけっこう今までって小規模な事業者って益税というか。

大河内:ああはいはい、インボイス制度のとこですよね、あれめちゃくちゃ聞かれますね。インボイス制度というものが、これは軽減税率との一体で始まるから、なんでまだ始まってないの? っていう感じなんですけど、2023年、けっこう遠い先で始まるんですよね。
 これはね、別にやっていいんですけど、日本はやりたいならやれっていう感じなんですけど、めちゃくちゃ説明が大変です。説明が大変で、僕YouTubeには完全解説みたいな動画あげてるんですけども、まさにその今って、事業主でも消費税もらって収めなくていい人がいるじゃないですか。

小飼:益税ですね。

大河内:そうですね、益税。その人たちがけっこう厳しくなるよねっていう制度です。

山路:要はもう、預かっている消費税はちゃんと全部収めなきゃイカンという?

大河内:そういうことではないですね。

小飼:そもそも事務コストが跳ね上がるんだよね。当然、日本で消費税を導入する時にも、ヨーロッパのVAT(Value-Added Tax 付加価値税)というのは参考にされてて、それはもうインボイスが大、大、大前提なんだよね。

大河内:そうそう。

小飼:ものすごい面倒くさい。これがアメリカの場合だと、消費税に似たものにSales Taxってありますけど、Sales Taxっていうのは、誰に対してかかるかっていったら、本当に最終消費者なんですよ。中間財にはかからないんですよね。それで州税なので、各州ごとに税率がバラバラだったりするわけですけども。日本の場合、中間財にもかかっちゃうわけですよね。たとえば僕の仕事というのは、敢えて分類するとコンサルタントですけど、最終消費者に対して商売をしているわけではないわけですよね。BtoBなわけですよね。BtoBの取引にも消費税かかっちゃうんですよ。

大河内:ああ、確かに確かに。

小飼:はい、BtoBにもかけるためには、当然インボイスみたいなものを使わないと、仕入れでも税金を払ってるんですよね。だから仕入れで払っている税金というのを、ちゃんと後で相殺しなければいけない。還付しなければいけない。でも日本の今の制度だと、最終製造者のところに集まっちゃうんですよね、それが。

大河内:消費税は凄く難しいですよね。

小飼:簡単にしているお陰で、じつはいろんな人が損をしているんですよね。

大河内:まず事業主じゃないと消費税のことを考えないじゃないですか。買い物した時に10パーセント払うあれでしょっていう。でも消費者は凄く考えて欲しいのは、たとえばコンビニに消費税払ったって、おかしいっていうことに気づいて欲しいんですよ。税金なのに、コンビニに払っているんですよ。普通、税務署でしょう。その税金、どこ行ったの? っていうのがまず始まりになるんですよ。当然コンビニは国に収めているんですけど、その納める時に、コンビニはさっき言ってた仕入れで消費税払っているので、その払った分は控除して、差額、預かった消費税、売り上げとして預かった消費税と払った消費税の差額を納付しているわけですね。これが消費税。だから国は何もせず、企業とか事業主にその仕事をさせ、ギューッとそれを吸い上げているわけですよ。
 じゃあインボイス制度はどうなるかっていうと、そのインボイスを発行出来ないところに払った消費税は、なかったことになります。じゃあインボイス発行できる人たち、インボイス制度の番号を貰える人たちっていうのは誰かっていうと、消費税を納める人たち。売上が1千万円を超えている人たちだけなので、消費税、今納めない、いわゆる免税事業者、益税もらっている人たちに対して、仕事発注したくなくなるんですよ。消費税払っても、払ってないことになっちゃうから。つまりこっち側の消費税の負担が増えちゃうから、納税の。

山路:じゃあその事業者が、でも消費税課税事業者として登録すればいいじゃないですか。

大河内:そうです。たとえば、登録しなくてもいいのにすることは出来るので、その1千万円超えてないけど、課税事業者になろうってなればなれるけど、でも益税貰えなくなっちゃうっていう。だからそこはインボイス制度で、免税事業者が全員課税事業者になるのかとか、そういう議論はありますよね。

小飼:だからどうしてもやるっていうのであれば、売上税形式、要は本当に最終的に消費する、モノを売っているポイントにだけ課税すべきだと思うんですけどね。

大河内:うーん。

山路:うんうん。

小飼:まぁでも消費税というのは、徴税コストの面から見ても駄目な税金なんですよね。不用意に増える。だからここで税金を取らなければいけないポイントっていうのは。だから、それは日本で消費税を導入される時にも、凄い意識されてて、確か人数が倍になってるんですよね。税務署の。

山路:へえ。

小飼:消費税のために。

大河内:確かにそうですよね。消費税、確かに難しいですよね。

小飼:要は徴税コストが高いの。滞納が1兆円くらいあるんですよんね、消費税ってじつは。

大河内:ああそうですね、でもこれは本当に、制度設計が悪いですよね。法人も個人も最初の2年は払わなくていいじゃないですか。あれのせいだと思いますよ。

山路:なるほどね。

大河内:3年目で突然、あれ? 消費税って払うもんだったんですね、売上で貰ってたやつ。ずっと税込みで考えてましたってなって、3年目で消費税払えなくて破産ってぜんぜんあるんで。

山路:はああ。

大河内:だから、インボイス制度導入すると同時に、もう免税制度をなくせばいいと思います。僕は消費税を続けるならね。そもそも僕は消費税、めちゃめちゃ減らせという派なので、今、こんな景気なので、消費税って景気がいい時に使う税徴税システムですからね。こんな時に……。

小飼:というのか結局、税金をかけるっていうのは、それは慎みなさいっていうメッセージでもあるので、消費しないほうがいいですよって、政府が言ってるのに等しいんですよね。

大河内:そうですね。罰金、買い物に罰金かけているのと一緒なので、そりゃあ、経済も止まるわっていう感じですよね。

「小学生でも払う税金でもないよな」(コメント)

山路:確かにな。

大河内:そうなんですよね。

小飼:そうだから消費税というものがあるお陰で、タックスペイヤーという言葉が、市民の別の呼び方としての、有権者の別の言い方としての納税者という言葉が成り立たなくなっちゃったんですよね。

大河内:うーん。

小飼:しかもガソリンとか二重課税になっているからね。

大河内:そうですね、二重課税になっているポイントって、じつはありますよね。二重課税だけは絶対させないとかいうんだけども、なっているポイントってありますよね。

小飼:ガソリンとか二重課税になっているね。

消費税のコストと税収に占める割合

「山本太郎さんの経済政策どう思いますか?」(コメント)

大河内:消費税の部分は、言ってることは正しいんじゃないですかね、やっぱり。消費税はヤバいよねっていうのは彼の論調の1つで、それはその通りだよね。0パーセントにしろって言ってますけど。

小飼:僕は0パーセントが半分、たとえば5パーセントにした場合と、0パーセントにしたっていう場合、倍じゃなくて10倍くらいは0のほうがいいと思うというのも、まさに徴税コストもなくなるんですよ。

大河内:確かにね、それは確かに人件費カット、確かにそれはありますよね。

小飼:徴税コストもなくなるんですよ。

山路:なるほどな、なるほどな。

小飼:そう、だから税金を取るのもタダじゃないんですよ。

山路:ポイント還元とかやっている場合じゃねえだろうって。

大河内:ポイント還元、マジで本当にバカ。