「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
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 今回は、2020年04月28日(火)配信その2をお届けします。

 次回は、2020年6月23日(火)20:00の配信です。

 お楽しみに!

2020/04/28配信のハイライト(その2)

  • マイナスになってしまった原油価格とプーチン政権の行方
  • 石油の需要減と消費の減退
  • アンモニア合成技術で石油需要がさらに減る?
  • コロナでハンコは消える?

マイナスになってしまった原油価格とプーチン政権の行方

「2週間しかないのか日本」(コメント)

小飼:え? ああ、フフフ5月12日、そうか日本が終われば緊急事態宣言出しようがなくなるもんな。

山路:それは発想の転換だな。

小飼:それはちょっと早いんじゃないかな。流石に、流石にもっとかかるんじゃないかな。

「皆が3Dプリンター買って拳銃作ればいい」(コメント)

山路:いやそれ、革命っていうことですか。

小飼:仮に毎日感染者数が倍になったとしても、2の14乗というのは、たかだか1万5千人くらいだからなあ。

山路:アハハ、怖いこと言ってるな。

小飼:だから逆算すると、日本人全員に感染させるためには、千人くらいの人が一生懸命、ウイルスをばら撒かなければいけないな。
 貰った人たちというのも、一生懸命ばら撒かなければいけないな。それを繰り返すと、日本を全滅させられるかもしれないし。

山路:それ流石にちょっと現実離れしてるようには思うんですよね。じゃまず最初にこの原油価格がマイナスになったという話。

小飼:あれは笑った。リアルタイムで見てしまった。アハハ。リアタイで見ちまった。マイナスになるところは。最近また夜型に変わって来てるんですけども、何で夜型に変わってきたかというと、昼間の回線が混んでるから。

山路:ああそうなんですか。みんな昼間Netflix見たりしてるから。

小飼:いやというよりも、ZOOMとかじゃないかな、というのも、うちの回線100Mbpsだったのが、ギガになったじゃないですか。普段は本当にギガ出るんですよ。うちの回線は。ただ平日の本当に昼間とかっていうのは、20メガ切るくらいで、これくらいになると、けっこういろんなものがキツくなる。

山路:え? 上り方向とかも?

小飼:あくまで下りだけですね。上りはビンビンですよ、本当に。コンスタントに800とかね。

山路:ギガの回線が20メガまで落ちるっていうのは、凄いみんな真面目に外出自粛をしとるんだなという気がしますけどもね。この原油価格、原油先物価格ですよね。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)、アメリカの何だ、そういう原油取引の先物価格なんですけど。これでちょっと日経に面白い記事が載ってて、このコロナで。

小飼:あれですね、マイナス40$っていうのは、39だっけ? 正確な数字は。

山路:そうですね。

小飼:でもあれですよ。マイナスになった瞬間に見たら。アハハ

山路:その後に出た「コロナで揺れる市場」という記事では「取引上によるとマイナス価格での取引が可能」というそのマイナス価格での取引が可能ということを原油トレーダー達が知ったのも、その時らしいんですよ。

小飼:システムが対応してたというのもね。

山路:うん、大抵の原油トレーダーはマイナスで取引出来るっていうことを知らなかったそうなんですよね。

小飼:そうですね、うんでもまあ、マイナスに対応してなかったシステムというのもありますね。あくまでもマイナスに対応してたのは、WTIを直接ブローケイジするところで、そうでなくてたとえば日本のネット証券とかで対応してなかったところというのは、けっこうあったみたいですよ。

山路:え? え? そうなると、そことの間の取引は、どうなるんですか? その場合、そういう対応してないシステムが繋がってたりすると、エラーになるんですか?

小飼:いや、強制的にロスカットされた。

山路:こわっ。それもうこわっ。

小飼:された人たちが続出したという。

山路:ああ、すでにそういうことは起こってるんだ。

小飼:そういうことです。

山路:先物って締日までにきちんと売り買いの取引を締めないと、現物がきちゃう。

小飼:そこ笑ったね。そうか、現物あるよなあと。だからそれが全くなければ、完全に純粋な金融商品になっちゃいますよね。商品でなくて、だからあくまでも商品だということを思い知らされた結果ですよね。WTIが。

山路:今までって、コロナ騒ぎ以前というのはWTIってもう本当に金融的な指数だとみんな思ってましたよねっていう。

小飼:いや普通はだから先物という時には、あんまり現物のことを考えない。だから現物のことを考えるっていうのは、尋常でないという何よりの証拠でしょうね。

山路:なんかよく小豆の先物相場に手を出して、凄い小豆が、みたいな話は。

小飼:そう、だから、ものすごい現物がないか、ものすごい現物がダブついているかどっちかなんですよね。本当に。あの商品先物の商品性というのが強く出てくるというのは。でもここまで強く出るとはね。

山路:今回のやつに関しては、アメリカの中央部にあるんでしたっけ? そのWTIとかの指標の対象になるタンクというのが。

小飼:そうです。

山路:そこんところ、相当輸送するのもコストがかかったりとかして、結局タンクが一杯になったのを引き取り手がなくなった。

小飼:そうそう、だから熨斗付けて引き取ってくれという。

山路:先物怖いっすね、なんか本当に小豆相場とかのやつは、冗談でよく言われてましたけど。石油も先物怖いんだっていう。

「シェールガスなのかな?」(コメント)

山路:いや? これはどうなんだろう? シェールガスなのかな? それはちょっとわかんないですよね。

小飼:ああ小豆の先物取引というと、西原がネタにしてたやつですね。

山路:まあ今回のはある意味アメリカの特定の指標に限ってのマイナス価格だったんですけど。

小飼:だけどもWTIというのは、かなりでかい、だからWTIとブレンドとあと中東のやつが、どこだっけ?

山路:ドバイのほうの指標、やつもあるんですよね、なんか。

小飼:そうそう、原油先物は僕もやったことはないので。他はちょろっとあるんだけどもね。

山路:昔WTIちょびっと持ってたことがあって。

小飼:ほう。

山路:でも結局本当に、なんか30万円ぐらいとか持ってて、それも売って、数万円を結局損したというしょぼい取引しかしたことがないんですけども。

小飼:今はあれだよね、完全手動でやっている人っていうのは、あんまりいないんじゃないかな。まあ要は半自動で、自動ロスカット付きの。

山路:アハハ、しかしなんというか、こんなことって誰も予想してなかったと思うし、そもそも、WTI自体マイナス価格とっても、それを組み込んだETFみたいなものはマイナス価格にならなかったりとか、そのシステムによってその値の扱い方も違ってきたりとかするわけなんですよね、結局。

小飼:そうだね。

山路:だから言ってみたら、先物に関してはマイナス価格で決済できたら別に問題ないんだろうけれど、それ以外のところの波及で、どこかにロスを、今までロスがつくとは思っていなかった人のところに、どんどんロスが重なったりとかする……というふうに理解していい?

小飼:まぁそうだけれども、結局、何で商品先物という商品そのものが許されているかっていうふうに言ったら、確かに濡れ手に粟だったり、その逆に全財産ポロリだったことというのもあるけれど、結局その商品の安定供給にはプラスの影響があるからというのが、もうそれが根源的な理由ですよ。だからある意味WTIがマイナスになったというのは、正しいわけです。もう突っ込んどくタンクがないわけだから、もう熨斗付けて引き取って貰うしかないと。だからそうなれば、当然クランチするし、そこはクランチするのが正しいんですよね。だから現実のタンクというのは、あれですね、溢れたりはしないわけですよ。

山路:これって今回は特定の指標だけども、それは原油のやっぱり需要自体も思い切り下がって。

小飼:下がってるんですよね。

山路:今後やっぱり原油の需要っていうのは、そんなには増えていかないと皆思っているっていうことでもあるわけですよね。

小飼:でもあるし実際、実需要も下がっているわけですよね。

山路:これって本当にこういう状態が続いたりすると、ガソリンをタダで貰えるっていうか、貰うと金が貰えるみたいな時代が来たりとかすることもあるんですかね?

小飼:いや、だからそれはタンクがずーっとアップアップだった時で、流石に減産するので、そういうふうになったら。ただ、じゃあ何で減産というのが難しいかというふうに言うと、だからそれで食ってる国というのがいくつもあるわけですね、ロシアとか。

山路:サウジアラビアとか。

小飼:そうです、はい。

山路:いやあ、ぞっとしますよね。そういう国は、つまりタダで引き取って貰えなくなったりしたら、財政が破綻したりとかするってこともありえる。

小飼:そうなんですよ。だから盤石だったプーチン政権がこれで吹っ飛ぶかもしれない。そうなんですよ。だから原油売れないとロシアの売るものっていうのは、あと武器? アハハ

山路:あとはロケット打ち上げの手数料? というかロケット打ち上げ代みたいな。

石油の需要減と消費の減退

小飼:それでまあ割と明るいニュースとしては、やっとこさアメリカが有人宇宙開発に戻ってくるという。しかもあれですね、ファルコンで打ち上げるという、スペースXが。

山路:それは、ロシアにとっては嬉しくない話ですよね。

小飼:その通りです! その通りです、はい。

山路:アハハ、泣きっ面に蜂じゃないですか。

小飼:その通りです。

山路:へえ、本当にそう聞くとプーチン政権ヤバかったりするんかなあ?

小飼:これ、このまま続くとヤバいよね。

山路:サウジアラビアとかはどうなんですか?

小飼:も、ヤバいんだけども。

山路:1番コストが安いって言われてましたね、採掘コストが。

小飼:そうです。だから安売り競争したら、絶対に勝てるんです、サウジアラビアというのは。だから今までもそれやってきたじゃないですか。「もう少し減産してくれ」ってロシアが言うと、「いやいや、うちはそういうわけにはいきません」というふうにずっとやってたわけです。

山路:アハハ、流石にタダに近づいてきたら、いくらなんでも元が取れなくなるんじゃないですかって、普通に思うんだけど、まだまだ余裕はあるんですかね? もうそろそろ厳しいんじゃないですか? そんなことないですかね?

小飼:どうなんだろうね? いや本当にここまで実需要が下がるとは思わなかった。まず石油というのは、何処で使われているかっていうと、アメリカとかは需要の4割が輸送なんですよね。

山路:まあガソリンとか。

小飼:そう、ガソリンだったりジェット燃料だったり。ジェット燃料の需要とかっていうのは、もう1割でしょう。1割減じゃなくて、1割でしょう。

山路:凄いよな、航空会社が軒並み倒産だもんな。

小飼:だからこのレベルの実需減少というのは。

「なんでサウジの原油はコスト安いの?」(コメント)

山路:まあすっと採ったら、出せるというちょうどいい所に。

小飼:そう、だから油田の規模がでかいから。

「子供の頃あと30年で無くなると言われてた」(コメント)

山路:そうですよね、余るというふうには予想してませんでしたね。

小飼:だからこういう逆オイルショックというのは。

山路:本当にこんなのを見るようになるとは、思わなかったというか、面白い時代だなとつくづく思うんだけど、そのうち自分にも影響はきっと振りかかってくることにはなるんかなというふうには思うんですが。それにも絡んでこの金の話で、日本の日銀が、国債の買い入れを無制限にするというふうに言って。これ前回でもお金の話した時に、日本はまだまだ国債を発行して借金をする余裕はぜんぜんあるよというような話をしてたじゃないですか。それこそ日本全体の借金が今1000兆円くらいあって。

小飼:日本国政府のね。

山路:ああはいはい。国民じゃなくて、

小飼:そこを気をつけなければいけない。

山路:国民が言ってみたら、貸し付けてるっていうことですもんね。

小飼:そうそう。

山路:まあ政府の借金が1000兆円あって、それくらいだったら、それこそあの現金給付なんかかでそれが10兆100兆くらいいってもぜんぜん問題はないよみたいな話を。今回その日銀がいよいよ無制限、政府が発行する国債を無制限に買い取るよと。

小飼:いや、まあでも今でもな、ETF買いまくってたじゃない。でもどんな制限があったんだろうね、ETF買いまくるのに。

山路:これ国債購入の制限って、撤廃してもまだまだ大丈夫なものなんですか?

小飼:大丈夫だけれども、恐れているのはワイマール共和国みたいになるんじゃないかと。

山路:ハイパーインフレということですよね。

小飼:そうそう。何だけど、逆にハイパーインフレ無理じゃねえ?

山路:アハハ。国債を発行しまくっても無理じゃないかと。それはいいことなんじゃないですか?

小飼:悪いことではない。

山路:国債を発行して、政府が市中にお金を供給して、それでなおかつハイパーインフレにならなくて、適度なインフレで収まるんだったら、それ皆ハッピー。

小飼:適度なインフレでなくて、これだけやってもデフレになっちゃうんじゃないかと。

山路:ふーん。

小飼:要は、逆説的にハイパーインフレを起こす1番簡単な方法というのは、実需要が供給をいつも上回っている、だからカツカツの状態、皆モノが欲しいんだけども、ぜんぜん足りませんという状態であれば、ハイパーインフレというのは簡単に起こせるんですよ。